【解説】被災地を取材した林記者 能登半島の豪雨災害は?

石田和外アナウンサー)現地で取材した林さんです。いつからどこで取材を?

林輝彦記者)輪島市を中心に28日から取材に入りました。豪雨からちょうど1週間が経ったときでした。その頃はまだ6人の安否や行方が分からない人がいたので捜索現場の取材が中心でした。

石田)豪雨では川が氾濫して甚大な被害が?

林)輪島市を流れる塚田川が氾濫しました。

林)今も1人の行方が分かっていません。行方が分からない人の捜索は川の上流から河口、海岸のエリアと広範囲にわたっています。捜索にあたった消防によりますと、今回の豪雨では塚田川の元々の地形がわからない程になっていたので、どこを捜索したのかドローンやヘリコプターを使って確認しながら捜索にあたっているということです。

石田)映像を見ると被害の大きさがわかりますね。

林)流域の家は流され、基礎や土台しか残っていない家も複数見られました。川の周辺には大量の土砂や流木、瓦礫が散乱していて捜索と瓦礫などの撤去を同時並行で行っています。また現場では土が乾いて砂埃が舞っていてマスクをして咳き込んでいる被災者も多くいました。

石田)能登半島は元日に地震があり復旧作業をしていた中での豪雨でした。被災者の様子は?

林)VTRの中で「泣きっ面にスズメバチ」と答えてくれた被災者がいます。創業70年以上の輪島塗の店の店主です。

林)店の中は商品やエアコンが落ち、窓ガラスも割れて復旧作業をしています。地震以来9ヶ月休業しています。近くにある工場も被害を受けたままで、一時は店の中を片付けて、仲間の避難所代わりにしていたそうです。すぐ近くの自宅も被災したままで、今夫婦は店の中で生活されています。疲労困憊の様子で、「泣きっ面にスズメバチ」という言葉は非常に重く感じました。このように感じている被災者は多いと思います。

石田)今も輪島市などでは2325戸が断水するなどライフラインの復旧にも時間がかかっていますね。

林)仮設住宅に住む高齢男性に取材をすると、地震から豪雨まで自宅は4回も断水しているといいます。

林)仮設住宅ではタンクに貯めた水で生活しているということです。また仮設住宅に住むことができる期間も限られているため、仮設住宅を出なければならなくなった際は自宅近くの離れにテントを張って生活するしかないと話してくれました。「もうあきらめた」「楽しみが何もない」と話す姿を見ると長引く避難生活で被災者の精神面はギリギリの状態だと感じました。

石田)今回の取材を通してどんなことを呼びかけたい?

林)行方が分からなくなっていた中学3年生 喜三(きそ)翼音(はのん)さんの父・鷹也(たかや)さんの表情は取材を通して一生忘れることはないと思いました。県内でも2重の災害に見舞われる可能性は十分に考えられます。自宅や職場からの避難経路や避難場所の確認、備蓄の状況など今一度確認をお願いいたします。また、県内の各自治体には断水した際の対応を今一度確認するとともに、2重被災の際の被災者へのケアをどうするのか改めて考えてほしいと思います。

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