学校に通えない児童・生徒のために…「バーチャルスクール」を試験運用 静岡県教育委員会
不登校の児童や生徒の数が最多となる中、静岡県は学校へ通えない子どもたちに向けて、新しい形の学びの場を作ろうとしています。顔も声も出さなくていい学校とは?
根方ゆき乃記者:
「こちらでは朝のホームルームが行われています。学校の教室…ではなく、インターネット上のバーチャル空間です」
スタッフ:
「おはようございます。では教室入りましょうか」
午前10時。
デジタル空間の教室には、動物や着ぐるみを着た児童・生徒たちが集まってきました。
自分の「分身」となるアバターでスタッフや友達にチャットであいさつを交わします。
スタッフ:
「きょうの朝ごはん何食べたかというのを教えてもらってもいいですか?」
「皆何食べたの?」
「何食べましたか?」
「あ、食べてない。あららら…」
これは静岡県が1月から試験的に運用を始めた「しずおかバーチャルスクール」。
参加できるのは、学校やフリースクールに継続的に通っていない、または病気で学校へ行くことができない小中学生です。
この学校に「先生」はおらず、小中学校の教師を15年間務めた職員が、「先生」ではなくサポーターとして1人1人に寄り添います。
学校生活の一日は朝のホームルームから始まり、自主学習や交流の時間が設けられています。
静岡県教育委員会 義務教育課 渡部彰教育主査:
「不登校の児童・生徒が年々増加していて、子どもたちの居場所というところで活用いただければ」
静岡県によりますと、昨年度の県内の不登校の児童・生徒の数は、小中学校ともに過去最多となっています。
今回「バーチャルスクール」の参加応募には、150人の定員に対して2倍以上の応募がありました。
静岡県教育委員会 義務教育課 渡部彰教育主査:
「顔を出す必要がないし、1人1台端末を利用してどこでもここにつながることができるということでは、どこかに行くという距離的なものや、精神的な負担が低い中で、しずおかバーチャルスクールを活用いただけるのかなと感じている」
「実際に学校に参加させてもらいます」
30種類以上あるアバターから好きなものを選択。
「こちらのルームがスタディルームでオンライン教材で自主学習ができる」
「そしてスタディルームを出たこちら…。こちらで自由に会話を楽しんだり、プライベートで悩み事を相談するなどのチャットもできる」
「今撮影スタッフの格好をまねて、皆さん宇宙服に着替えてくれている。このように自由にアバターも選べる」
「アクションを使って、皆さん私たちにペンライトを振ってくれている」
この日はおよそ20人が参加。
それぞれ自主学習をしたり、スタッフや友達との交流を楽しみました。
ただ、バーチャルスクールが「出席扱いになるか」は今後の検討課題です。
静岡県教育委員会 義務教育課 渡部彰教育主査:
「どのような形にすれば出席扱いになるかということも含めて、今後検討していければ」
試験的な運用は3月14日まで行われる予定で、県教委は来年度の早い時期の本格実施を目指して、子どもたちのニーズに合ったプログラムの検討などを進める方針です。