高額な住宅の耐震工事に踏み切れない場合は一時的な避難場所を作り出す耐震シェルターという方法も

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 静岡県でも、南海トラフ巨大地震による被害が危惧される中、命を守るために重要なのが住宅の耐震化です。

「(昭和)56年以前の家ですと4つ枠があるんですけど、 一番下のランクにほとんど100%(入る)。一応現状の強さを知ってもらうっていうことで」

 2月下旬、 静岡市清水区の住宅で行われていた耐震強度の診断。

 市から派遣された建築士が天井の梁(はり)の本数や壁の仕上げなどをくわしく調べ、どれほどの揺れに耐えられるかを分析していました。

 30年以内に80%程度の確率で起こるとされる南海トラフの巨大地震。

 静岡県は備えとして耐震診断を無料で実施したり、耐震補強工事に補助金を出したりするプロジェクト「TOUKAI-0」を進めてきました。

 その成果もあり、静岡県内の住宅の耐震化率は全国平均を上回る89・3%に達します。

高齢化が進む自治体では

 その一方で課題も。

静岡県建築安全推進課 鈴木貴博課長:
「取り組みを始めたのは全国的にも早かったが、最近は助成制度の活用もちょっと停滞気味。高齢化率が高い過疎地域等においてなかなか耐震化が進んでいない現状がある」

 静岡県によりますと、高齢化率が高い自治体ほど耐震化率が低い傾向があるといい、伊豆半島南部の賀茂地域などでは全ての自治体が全国平均を下回っています。

静岡県建築安全推進課 鈴木貴博課長:
「跡取りがいないとか耐震補強に費用がかかるっていうことでなかなか耐震化に踏み切れない方が多いのかと考えています」

 去年1月に起きた能登半島地震では耐震化されていない古い木造住宅の倒壊が被害拡大につながりました。

 そこで静岡県は新年度から住民の命を守る「減災化」への支援も新たに始めることに。

賀茂地域
賀茂地域

減災化の切り札は耐震シェルター

 その「切り札」が…

山﨑琢也記者:
「私が今いるこの空間、部屋の中のように見えますが実はここ、耐震シェルターの中なんです」

一条工務店 特建設計部 平野茂部長
「この耐震シェルターは建物の部屋の中に頑丈な箱を作ることで地震時の命を守るという物になっています。この(シェルターの)場合ですとベッドを2台置いて、多少ゆとりありますので生活の空間としても一部使えるような…」

 室内に頑丈なフレームを設置することで一時的な避難場所をつくりだせる耐震シェルター。

山﨑琢也記者:
「こちらのシェルターには通常の板よりも3倍の厚みがあるこちらの板が使われています」

 住宅に使われるものよりも強度がある材料を特殊な構造で組み立てることで、およそ45トンの重さに耐えられ、小さいサイズのものは四畳半ほどの広さがあれば、
設置できるということです。

 浜松市に拠点を置くこちらのメーカーは、独自に開発した木製のシェルターを販売していて、今までに全国で
1000件以上の施工事例があるといいます。

 静岡県によりますと、シェルターはおよそ60万円ほどから設置できるということで、数百万円かかることもある耐震補強よりも安く、設置期間も短いことがメリットです。

 静岡県はこうした耐震シェルターを設置した場合、新年度から最大で50万円補助する方針で新年度予算に関連費用4500万円を盛り込んでいます。

 補助制度がない一部の自治体にも新設を働きかけていくということです。

静岡県建築安全推進課 鈴木貴博課長
「地震に備える意味では耐震補強していただくのが一番いいんですけれども、耐震補強に踏み切れない場合であっても命を守るということをしっかり取り組んでいただけたらなと思っております」

山﨑琢也記者
山﨑琢也記者