清水庁舎「津波避難ビル」の指定を解除 地域住民は別の避難ビルを確認するための避難訓練を実施 静岡市清水区

耐震性の問題から静岡市役所清水庁舎は3月「津波避難ビル」の指定を解除されました。これを受けて地域住民が別の避難場所を確認する避難訓練を行いました。
板垣亮記者:
「こちらが指定が解除された清水庁舎です。耐震性が確認されなかったということで、住民は別の場所への避難を余儀なくされます」
清水庁舎は津波から命を守る「津波避難ビル」に指定されていました。
津波避難ビルは地震と津波に対する安全性が必要ですが、清水庁舎は2023年度の耐震診断で「耐震安全性」が確認されず、3月1日に指定を解除されました。
庁舎の周辺は巨大地震が発生した場合、15分から20分後におよそ2メートルの津波が到達すると想定されています。
庁舎の半径500メートル以内には津波避難ビルが6カ所あるものの、清水庁舎の指定解除に住民からは不安の声があがっています。
小松房枝さん:
「やっぱり不安ですよね。(清水庁舎は)一番安心していられる場所。少しでも近くにあればと思いますよね」
清水庁舎からおよそ450メートルの距離に住む小松房枝さんです。
新たな避難場所は
防災無線:
「訓練です。地震が発生しました。直ちに避難してください」
避難訓練は清水庁舎の津波避難ビル指定解除を受けて行われ、周辺3つの自治会の住民が参加しました。
高齢化が進む地区。
住民同士、手を携えて避難していきます。
小松さんと住民:
「経験するのもいいことですからね。ちょっと家からは遠くなるかもしれないけど、何かあったときに、行くところが分かっていれば」
住民が向かったのは清水庁舎の近くにある施設。
これまで庁舎に避難していた住民は、今後この場所に身を寄せることになります。
小松さんが到着したのは訓練開始から7分後。
すでに100人以上の住民が集まっていました。
万世町2丁目自治会 堀池泰夫会長:
「丸14年になりますが、あの映像がまだまだ頭に残っております。ここは皆さんの命を救う場所でございますので、ぜひこの場所に来ていただきたい」
その後、住民は施設に併設されている立体駐車場の屋上も確認しました。
友達:
「スロープがあるということがわかった。勉強になった。(施設の)中はガラスが割れるからってことも聞いたので、そういうのも頭に置いていた方がいいかなって感じです」
小松房枝さん:
「電柱が倒れているかもしれないし、がれきがいっぱいあってそこを夜間だったらどうなんだろうなとか、そういう不安はありますよね」
自治会では、住民ひとりひとりが避難経路や避難場所を確認することが大切だとしています。
万世町2丁目自治会 堀池泰夫会長
「一番大事なのは住民が自分の頭でわかるかどうか。自分の命は自分で守るしかないということで、十分それを何回も刷り込んで言っていくしかない」
津波避難ビルのガイドライン策定に携わった専門家は
ビルの指定や解除は地域防災を見直す点で重要だとする一方で、行政と住民、民間が一体となって避難場所の確保に向け連携することが求められるとしています。
静岡大学防災総合センター 岩田孝仁特任教授
「一歩外に出てすぐに駆け上がれる場所をそれぞれ求めていくことが必要になってくる。そういったときに民間の地域にある色々な施設を全て活用できるような手立て。これを行政も一緒になって協力して津波の時にどこに逃げるか、そういった計画を作っていくことが必要ですね。自分がどうするか。いざというときに自分がどう行動するかどこに安全な場所があるかということ。自分主体にぜひ考えてほしいですね」
