「わかんなかった、風が強くてね」…親子ひき逃げ死亡事件の裁判 被告は「気づかなかった」と主張 静岡地裁沼津支部

 2024年1月、静岡県沼津市で親子をトラックではねて死亡させ、そのまま逃げた罪に問われている男の5回目の公判が行われました。

 起訴状などによりますと、ひき逃げなどの罪に問われている沼津市の男(87)は、2024年1月15日の早朝、沼津市で荷台のパネルが開いたままトラックを運転し、ゴミ出し登板で路側帯にいた59歳の母親と33歳の息子にパネルをぶつけ死亡させそのまま逃げた罪に問われています。

 15日は静岡地裁沼津支部で5回目の公判が開かれました。

 裁判長から「担当する裁判官が変わったから」と起訴内容について改めて問われると、男は事故を起こしたことについて「間違いない」と話しました。

 一方で、事故に気付いたかについては「わかんなかった、風が強くてね。朝4時ごろでしょ」などと話し、ひき逃げの罪については争う姿勢を示しました。

 男は裁判長から促され、補聴器をつけましたが、質問に対し、何度も聞き返す場面もありました。

 裁判では、検察側が事故当時の状況を再現した動画を証拠として提出。速度46キロのトラックが荷台のパネルを開いたまま走り、パネルが人形にかすめたときやぶつかったときの映像を法廷で流しました。

 検察は「ぶつかったときはかすめたときに比べ3倍から10倍の衝撃がある」などとと主張しました。

 次回は証人尋問が行われる予定で、弁護側は今後、男の聴力検査の検査結果などを証拠として提出するとしています。

静岡地裁沼津支部
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