知事「2度と起きないよう条例を厳しく改める」 副知事「不適切な盛り土見抜けなかった行政の責任も検証」 静岡・熱海市の土石流災害

片山真人アナウンサー(15日午後1時半)
「土石流発生の起点となった伊豆山第一配水地付近です。土石流発生から13日目。いまも茶色と黒の山肌が露わになっています。いまなお、この付近では小規模な崩落が続いているということです」

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 土石流の起点にあった盛り土。静岡県は盛り土の一部は崩れずに、今も現場に残っているとしています。

盛り土崩落の原因は「パイピング現象」か

画像: 盛り土崩落の原因は「パイピング現象」か

静岡県 難波喬司副知事(14日)
「水圧が高いので、ここが最初に吹き出して、この辺りがなくなるので落ちて、支えがなくなるのでさらに上から落ちてくると。(盛り土が)仮に10段だとすると、ここは最初の5段ぐらいが落ちて、下が支えを失って上が連鎖的に落ちるという」
 
 盛り土が崩落した原因について、県は「パイピング現象」が起きたと指摘しています。記録的な雨量により、盛り土の中にたまった水が噴き出したことをきっかけに、小規模な崩落が誘発され、最終的に大規模な崩落につながったという見立てです。

盛り土問題で連日の会見 

 この盛り土問題で連日会見を開き、説明を重ねる難波副知事。13日の会見は2時間半、14日の会見はこれまでで最も長い3時間20分に及びました。

難波喬司副知事(14日)
「ものすごい水分量の多い泥流が一気に下に流れ落ちた。海にも相当出ていますから、水分量が多くなければあんなに早く出ないので、水分量が多い泥流です。ただ、下に落ちるにしたがって石も巻き込んでいますから、そういう意味では土石流といえる」

熱海市の担当者「普通の民間会社と違うので…」

 県によりますと、土砂の搬入が始まったのは2009年3月。当時、土地を所有していたのは神奈川県小田原市の不動産会社です。

画像: 熱海市の担当者「普通の民間会社と違うので…」

 この会社をめぐっては、2007年に熱海市とのトラブルがあったことが分かっています。今回の現場近くで土砂崩れが発生し、熱海市は当時の所有者に撤去を求めました。ところが、会社側は市の要請を拒否。当時、この問題を市議会で問われた市の担当者は―

市の担当者
「ちょっと普通の民間会社と違いますので…」

 当時の様子を知る関係者はこう証言します。

開発会社の関係者
「要するに10入れていいというのを20入れちゃったり、他のものを入れちゃったからこうなったんだけど」

Q.いわゆる産業廃棄物のような?

A.「そうそうそう。入れていたのは間違いないですよ」

さらに、別の関係者は―

土地の紹介をしていた 不動産関係者
「2010年の11月から12月にかけては、盛り土自体は終わっていた。私が見たときは盛り土の上に産業廃棄物みたいなものが積まれていた」

「静岡県は規制が緩い」

 当時の所有者が隣接する神奈川県の業者だったことを踏まえ、難波副知事は―

難波喬司副知事(14日)
「何が問題だったのか、確実に言えるのは県の条例が神奈川県より低いんです。規制レベルが。神奈川県の規制基準が高いから低いほうに来るのは当たり前。神奈川ではなく、静岡で処分するほうがいろんな手続き面でも楽なわけです。そうするとこちらに流れてくる。そこに行政上の不備があったということは間違いありません」

 県は土石流の原因究明と行政手続きが適正だったのかを検証する専門チームを設置。川勝知事も条例を厳格化する方針を示しています。

川勝知事「条例を厳しく改める」

画像: 川勝知事「条例を厳しく改める」

静岡県 川勝平太知事(13日)
「私どもは条例で対処してきたと思っていたが、しかし、それではだめだった。2度とこういうことが起きないように条例を厳しく改めるのが目的です」

 県は今後、第三者による検証も実施する方針です。今後、究明を進めるにあたっては透明性の確保が課題になります。

難波喬司副知事
「県が資料をいっぱい集めても隠しているのではないか、どっかから既に焼却しようとしているのではないか、そういう懸念が出てくると思うが、そういうことはしないということは明確に申し上げたい。自然要因と、不適切な盛り土という行為と、それを見抜けなかった行政要因。そういう面で行政の手続きなり、チェックがちゃんとされていたかどうか。これは原因究明の時は必ず検証しないといけない」