世界からバイヤーが来日…静岡ホビーショー人気のヒミツ　『トランプ関税』で不安定要素も　静岡市

　１５日木曜日のツインメッセ静岡。一般公開が始まる２日前ですが、すでにたくさんの人が。一足早く、“模型の祭典、静岡ホビーショー”は始まっていたのです。

伊地健治アナウンサー：「１４日水曜日から始まった静岡ホビーショー。きょう（１５日）は２日目、業者向けの開催日なんですけれども、ご覧のように会場の中に入ると多くの人たちで賑わっています。主催者によりますと、年々、海外からのバイヤー、買い付け担当者が増えているということなんですね。ホビーの町・静岡の盛り上がりを感じます」

　一般公開に先駆け、２日間に渡って行われた業者向けの展示会。一般公開の日に引けをとらない混雑ぶりです。国内外から多くのバイヤーが集まり、会場のあちこちで商談に臨みます。

横浜から来たバイヤー：「一番早く情報が取れるので、そこからいろいろやっていくというものになりますね」

オーストラリアからきたバイヤー：「このような場所は、世界中どこを探してもないよ」

　６３回目を迎えた今年は、９９の企業や団体が出展。世界中から売り手と買い手が静岡に集結。一般客に先駆けて公開された、その全貌に、じっくり迫ります。

　まずは、静岡ホビーショーには欠かせない、こちらのブースへ。

伊地健治アナウンサー：「静岡を代表するホビーの企業であるタミヤのブース。大きいですね、戦車系、ＲＣカーいろいろなものがあります」

伊地アナ「ちょっとね、見てください。古いフォルクスワーゲンですね、５月２４日ごろ発売、まだ発売されていないんです」

　発売を前に、まだ見ぬ新商品が数多く公開されています。それが世界中からたくさんのバイヤーを呼び込む、大きな要因の一つなんです。

伊地アナ「あ、すごいですね。ここデモ走行をしているところですけど、たくさんのトラックとかトレーラーが走っています」

　こちらは、今年３月に発売されたばかりの新商品。

操縦者「これ、連結切り離しができまして」
伊地アナ「バックして繋げることもできる」

伊地アナ「音がリアルですね。ガシャン、プシューとか言ってますよ…走った、走った」

伊地アナ「トレーラーって長いから、曲がる時に、だいぶ大回りにしないと本物を運転する時も、たいへん難しいですね。それをコントローラーで、だいぶ習熟されていますね」
操縦者「いえ、いえ。そんなことありません」

伊地アナ「実際に車の免許は特殊な免許をもっていらっしゃるんですか？」
操縦者「いえ、いえ。そんなの持っていないです」
伊地アナ「あ、普通免許だけ」

　こうした実演走行は、いわばショーの花形。優れた性能を間近で見てもらうことで、バイヤーたちにアピールします。

タミヤ催事課　新田泰三さん
伊地アナ「例年に比べてお客さんの出足ですとか、手ごたえというのはどうなんでしょうか？」
新田さん「今年は出足がよくて勢いがある。昨年よりも熱量を感じている。コロナ禍をきっかけにホビーのよさは見直されたと思っている」

伊地アナ「じゃ、コロナ禍以降、過熱は続いている状況なんですね」
新田さん「そうですね。以前よりも熱心な勢いを感じる」

　年々、過熱するホビー需要。それを象徴するかのように、ひと際大きな人だかりが…

　静岡市内に工場を構える「ＢＡＮＤＡＩＳＰＩＲＩＴＳ（バンダイスピリッツ）」のブースです。

伊地アナ：「バンダイのブースの中でも、やはり注目を集めるのは、あれ。ガンプラですよね」

　今年は「ガンダム」のプラモデルの発売から、４５周年のアニバーサリーイヤー。それを記念した新商品が、このイベントで初公開されるということで、大きな話題に。

　その商品が、こちら。１９８８年公開の映画「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」に登場した機体を６０分の１スケールで緻密に再現したもの。

伊地アナ「もう先ほどからバイヤーの方ですとか、食い入るように見ているんですけど、細かいところの描写や質感が全然違いますね。アムロさんがここにいますよ」

伊地アナ「私のようなおじさん世代はね、ここにいてジッと見ているだけで１時間ぐらい平気で見ていられるようなね。ガンダムがいて、アムロさんがいて、そして僕がいるみたいなね」

　静岡ホビーショーに出展しているのは、プラモデルやＲＣカーだけではありません。

伊地アナ「あ、こちらの一角には、お馴染みのウッディジョーのブースがありますね」

　毎年、静岡ホビーショーに出展しているウッディジョー。静岡市駿河区の模型メーカーで、木製だけにこだわっているのが特徴です。

伊地アナ：「へぇ、あ、おもしろい。ウッディジョー、お城のイメージでしたけれども、海外ですよ。ドイツ、オランダ、イギリスの街並みを再現したような模型もあります。木の風合いがよくでてますね」

　実はいらしゃったんです、常木則男社長。毎年、社長自ら、静岡ホビーショーに参加しているそうで。

伊地アナ「営業マンがいなくて困っているって８年前におっしゃったんですよね」
常木社長「だから、伊地さんに、こういうの作ってるぞって言ってもらって」
伊地アナ「僕が営業マンになると。今はじゃあ、営業マンの方はいらっしゃらないんですか？」
常木社長「いない」
伊地アナ「いないんですか」
常木社長「買いたい人が買えばいいじゃんって感じで」

　営業マンがいないからこそ、静岡ホビーショーは多くの人たちにＰＲできる絶好の機会。毎年、社員総出で力を入れているそうです。

　そうして大盛況を迎えている「静岡ホビーショー」ですが、参加している企業にとって、今年は気がかりな点も…。

青島文化教材社　青嶋大輔社長：「状況が二転三転というか、不透明な部分が非常に大きい」

　先行きの不透明さは、この人が原因です。２期目に入って初めての本格的な外遊に出たトランプ大統領。その訪問先のサウジアラビアで、“一時休戦”となった中国との貿易戦争について語っています。

トランプ大統領：「中国はアメリカに対して、貿易を含むあらゆる分野で市場を開放すると合意しました。しかし、本当に実行されるかどうかが重要です。これからどうなるか注目していきましょう」

　プラモデルなどを含む玩具を、日本で一番輸出している静岡県。全国の輸出量の４割を静岡が占めています。

青島文化教材社　青嶋大輔社長：「アジア地区の売り上げが大きいんですが、その次がもうアメリカ。非常に大きい市場。中国が１０に対してアメリカが８ぐらい、そんな割合」

　追加関税によってアメリカで売られるプラモデルの店頭価格が上がれば、売り上げへの影響も懸念されます。

青島文化教材社　青嶋大輔社長：「実際にアメリカのお客様からは私たちに値下げの要求が来ていたり、そういった動きが一部見られます。売り上げの減少は予測されるかなとは感じています」

　一方で、プラモデル業界は「不況に左右されない」とも言われるそうです。

ハセガワ　長谷川勝人社長：「結局趣味のものなので、好きな方は高くても好きなものを好きなだけ買う感じなので、あまり影響を感じたことはありません。ただ、今回のトランプ関税がどうなるのかは全く不透明です。輸出の中でも半分近くを占めるのがアメリカなので、期待していますし、影響が出ないことを祈っています」

　そんな中、海外から訪れた外国人バイヤーに静岡ホビーショーの感想を聞いてみました。

ホンコンからきたバイヤー：「とても面白いイベントね。たくさんの新商品に出会えて楽しかった」

オーストラリアからきたバイヤー：「このような場所は、世界中どこを探してもないよ」

　こちらはアラブ首長国連邦ドバイ首長国から来たバイヤーさん。

ドバイからきたバイヤー：「静岡ホビーショーには何度もきているよ。とても重要な展示会だからね。ホテルの近くで食べる寿司も楽しみなんだ。人生で一番のおいしさだよ」
　
　静岡ホビーショーで訪れた際には、毎回必ず静岡観光も楽しんでいるそうです。

　観光客の誘致を図ることは、静岡ホビーショーの狙いの一つです。開催期間中、静岡駅は毎年、県外からの利用者で賑わいます。駅だけでなく、駅周辺のホテルにも影響が…

ホテルアソシア静岡　本田淳史支配人「各国のお客様、ホビーショーの期間中は多数宿泊してくれている」

　大きな経済効果も期待されている静岡ホビーショー。去年の来場者は、およそ８万人。今年はそれ以上の来場が見込まれています。