食い違う証言…田久保市長の〝19.2秒〟 悪いのは東洋大学?…議論はますます〝あさっての方向〟へ 静岡・伊東市 学歴詐称疑惑この1週間②

すでに1カ月半にわたっている、静岡県伊東市の田久保市長の学歴詐称疑惑。その期間、伊東市政では混乱と停滞が続いています。田久保市長が「卒業していたと思っていた」との主張を続ける一方で、証拠としてきた“卒業証書”の提示に応じないことが事態の長期化の一因となっています。
なぜ検察庁に上申しないのか
百条委員会 四宮和彦委員:「今現在まだ出ていないわけじゃないですか、(検察への)上申書は。だから、そのことについて、なぜ出すのを取りやめられたのかと聞いているわけですよ」
伊東市 田久保真紀市長:「補助人の助言を求めてよろしいでしょうか」
卒業証書の扱いをめぐっては、度々弁護士の助言を求める場面も…。
伊東市 田久保真紀市長:「提出しない理由については、重ね重ねで大変恐縮ですが、回答書の方に文書で記載しておりますので、そちらが全てになります」
百条委員会 四宮和彦委員:「卒業証書を百条委員会に出せない正当な理由は他にも存在するのかどうかと伺っています。田久保市長ご本人の判断な訳ですよ。田久保市長が調査に協力しますと。だって、あなたは行政の長なんですから、行政調査をやっている人たちには協力する義務があるんじゃないですか」
伊東市 田久保真紀市長:「出したくない、出したいといったような希望のことではありませんので、回答書に記載した以上の理由というのは今のところ特段ございませんので、私としてはこのように回答するしかないと、そのように考えております」

そもそも、東洋大学を除籍となるのは、授業料の未納や既定の休学期間を超えた場合などと定められています。
伊東市 田久保真紀市長:「休学届を出したといった記憶は一切ございません。学費の方は4年間しっかりしておりました」
質問に対してはっきりと回答しない場面も目立った田久保市長ですが、はっきりと反論したのが…。
重岡秀子委員:「議長・副議長には卒業証書をしっかり見せない。チラ見せいう言葉がはやっていますけれども」
伊東市議会 中島弘道議長:「(ジェスチャーしながら)サッと出されて、サッと目をいったら、スッと引かれて」
Q.チラ見って感じですか?
A.「チラ見です」

〝卒業証書〟はチラ見せか…19.2秒見ていただいた
重岡秀子委員:「議長・副議長にどのように見せたのかその辺を伺いたい」
伊東市 田久保真紀市長:「チラ見せといった事実はありませんで、私の方としては、こうやって私の方で提示をいたしまして、約19.2秒見ていただいたと記憶しております。そして、その後の議長の発言、その他のことにつきましては、私といたしましては事実と異なる点があります」

田久保市長「議長からは『いいじゃん』と」
田久保市長「議長からは『いいじゃん』と」
19.2秒という、妙な数字が飛び出しました。その後の報道陣の取材に…。
伊東市 田久保真紀市長:「会話の方は録音の記録を持っております。それでストップウォッチで計りました」
Q.市長としてはきちんと見せた認識か
A.「19.2秒提示した後に、議長からは「いいじゃん」というコメントをいただいております」
議長は
対する議長側は…。
伊東市議会 中島弘道議長:「幸いにして、こちら側も録音していました。一連のやり取りの中でそのぐらいの時間があったのかもしれませんけど、実際に私たちに見せてくれたのは2回、本当にちらって見せた、ちらっと見せたのが2回ということですね」

田久保市長の〝19.2秒〟を再現
議長側が録音していた音声に基づいて、田久保市長が主張する「19.2秒」を再現すると、こんな感じになります。
田久保市長「はいはい、分かりました。ちょうど学歴証明用に持って来いと言われていたので、持って来てますね」
副議長「ありがとうございます」
★19.2秒のスタート
田久保市長「卒業アルバムと証書ですよ」
議長「ちょっと見せて」
田久保市長「いや、もう」※証書を閉じられる
議長「いやいや、ちょっと」
田久保市長「はいはい」※ちらっと見せる
議長「いいじゃん」
★19.2秒の終わり
田久保市長「いや別に、普通に、家の中になかったので、相当探しましたから」
また、議長から「いいじゃん」というコメントがあったと主張する田久保市長ですが、肯定する意味での「いいじゃん」と、見せてくれても「いいじゃん」では、その意味合いは随分異なります。

そして、核心からますます遠ざかっていきそうな論点も飛び出します。
伊東市 田久保真紀市長:「東洋大学に対して一方的に事務にミスがあったと決めつける発言があった上で、悪の組織といったような看過できない発言があり」
田久保市長が問題視しているのは、百条委員会での一幕。市長を追及する中で飛び出した、この発言です。
百条委員会 四宮和彦委員:「東洋大学が授与したものに間違いないという場合、東洋大学は除籍であるにも関わらず、田久保市長に授与したことになっちゃうわけですよね。もはや田久保市長個人の問題じゃないんですよ。伊東市民全員が巻き込まれているんですよ。東洋大学のせいで。だから、もはや東洋大学は悪の組織と言っていいぐらい」

田久保市長の主張通りであれば、「なぜ大学の責任を追及しないのか」という文脈でしたが…
伊東市 田久保真紀市長:「しっかりと大学側にも謝罪してくださいというお願いですので、それはもうしっかり検討してください」
四宮市議は発言後、委員長に促され、発言を撤回しています。
伊東市議会 中島弘道議長:「議会としても真摯に対応させていただきたいと思っております。(田久保市長は)揚げ足を取って、さもこちらにもいろんな非があるようなことを大げさに世間にも言いたいような、そういう気があるんだなという気がします」

伊東市 田久保真紀市長:「私に起因するものであれば、何でも発言していいというのは違いますので、それはしっかり区別をしていただきたいと、そのように思っております」
Q.19.2秒っていう、あえて秒数を言ったのは意味がある?
A.「それはチラっとしか見せなければ確認できないこともあるかと思いますけれども、チラっと見せておりません。チラっと見せただけではないので、それで確認できなかったのですかというところの問題を提示させていただいたまででございます」