放課後デイサービスの児童指導員をするプロボクサーと彼にあこがれる少年が抱く夢は… 静岡・焼津市

静岡県焼津市にプロボクサーをしながら児童指導員として子どもたちと向き合う選手がいます。ある少年との間に生まれた絆とは。
大場舞桜アナウンサー
「こちら駿河ボクシングジムというボクシングジムなのですが、中に入ってみるとたくさんの子どもたちが宿題をしたりボール遊びをしています」
焼津市の駿河ボクシングジムが3年前から始めた放課後デイサービス、「子どもスポーツスクールするが」。障害のある子どもや学校生活に難しさを抱える子どもに、運動療育などを行っています。
「投げるんだよ、そうそう!」
指導をしているのはプロボクサー、細川弦汰選手です。
細川選手は2年前、18歳でプロデビュー。
1年後にライトフライ級中日本新人王になるなど、期待の若手ボクサーです。
「うわーはやいはやい!はい、タッチー!」
「細川先生ってどんな先生?」
「優しくて強くて協力的」
細川弦汰選手
細川選手は小中学生の頃、学校生活になじめず休んでしまう時期があったといいます。
細川弦汰選手
「ちょっと周りの子より勉強が出来ないのが、不安定な時期が結構長かった」
全力で打ち込めるものを探していた中学3年生の時、このボクシングジムに入会。
そして、スクールの子どもたちとも関わるようになり、かつての自分を思い出します。
そして、高校卒業後はここでボクシングをしながら子どもの指導をしようと決めました。
細川弦汰選手
「子どもたちのために何かできれば、何かできる事があればっていうふうに思って教員(指導員)にならせてもらった」

小栗滉太郎くん
そんな細川選手の影響を強く受けているのが、小学5年生の小栗滉太郎くんです。
小学1年の時に不登校になり、その後発達障害と診断されました。
「学校に代わる居場所になれば」と母親がこのスクールを見つけ、通い始めます。
そこで細川選手と出会い、徐々に元気を取り戻していきました。
小栗滉太郎くん
「スポーツをすると気持ちがすごく楽になる」
母親・小栗さゆりさん
「今まで色々諦めてたりしたことがどんどん前を向くようになっていきいきしだすようになった。」

「ボクシングを始めたい」
細川選手の試合は、全て会場で観戦しているという滉太郎くん。
細川選手が高校生の時、全国大会で優勝すると滉太郎くんから驚きの一言がありました。
「ボクシングを始めたい」
細川弦汰選手
「めっちゃうれしかったですよ。すごい今も覚えています」
小栗滉太郎くん
「(細川選手は)ずっと前に出て戦っているからすごく体力多いなーって。自分もそうなりたいなって」
母親・小栗さゆりさん
「大丈夫かなって不安もありながらも、やりたい事ができたって喜びが勝ったというかうれしかったです」
おととし、駿河ボクシングジムに入会し、ボクシングを始めた滉太郎くん。
憧れの細川選手をスパーリング相手にトレーニングに励むうち、さらに大きな夢ができました。
小栗滉太郎くん
「世界で一番強くなりたい」
細川弦汰選手
「皆に僕も強くしてもらっているし、僕の事を見て皆も頑張ろうっていう気持ちになってくれていると思うんで」
ボクサーとして頂点を目指す細川選手。
自らの背中を追いかける子どもたちの夢のサポートも続けます。
細川弦汰選手
「強くなっていく過程っていうのを皆に見てもらって本当の強さっていうのは何かっていうのを皆に見せたい。」
