高校生2人が地元の池で水死(後) 専門家が指摘する恐ろしさ「深いのに浅く見える」 『2m先は深さ4m』…具体的に危険周知を 静岡・沼津市

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 2日、静岡県沼津市の門池でボートイベントを手伝っていた高校生2人が亡くなりました。「水難学会」理事の専門家は、この池の隠れた怖さを指摘します。

 長岡技術科学大学大学院の教授で「水難学会」の理事の斎藤秀俊さんです。全国で依頼を受けた水難事故の調査を行う団体で、着衣泳を学校で教えるなど、水難事故を未然にふせぐ活動も行っています。斎藤さんは水辺の危険を自ら体験し、動画として配信もしています。

 専門家の目には、門池はどのように映るのでしょうか

長岡技術科学大学大学院 斎藤秀俊教授:「(ボートが)1個2個3個ありますよね。ということはここが出入り口。入る場所なんですよ。池に入りやすい入る場所」

 池にロープ柵がありますが、高校生たちにとってこの場所は、危険な場所ではなく、よく使う入り口として認識されていたのではないかと指摘します。

 さらに…

長岡技術科学大学大学院 斎藤秀俊教授:「どうですかここから見ると結構深いところが見えませんか? これは見る場所によって見える深さが変わってくる典型例なんです。ここから見た時の深さのイメージはだいたい2倍ぐらいの水深があると思ってください」

伊地アナ:そこだとどのくらいになる?
斎藤教授:「2m近くあるかもしれない」

 水の中のさんばし等は見る場所によって実際よりも浅く見えることがあるそうです。今回高校生が水深を見誤った可能性もあるといいます。これは沼津市のデータをもとに作成した断面図です。岸から5メートル程度までは水深1メートルですが、その先はいきなり深くなっていることがわかります。その深さは3メートル以上です。

伊地アナ:ボートをやっている時はライフジャケットをしてるのに、どうしてライフジャケットを無くてもいいと思っちゃうんですね

斎藤教授:「これは別に高校生ばかりじゃなくて、例えば消防の水難救助訓練ってあるんですけど、消防の殉職例で一番多いのが水難訓練中の事故なんですよ。しかも撤収の時ですよ。訓練を終わって撤収の時に溺れて亡くなるという事故が圧倒的に多い。消防でも」

伊地アナ:そこに救助用とみられる浮き輪が2つありますが、あれを投げて助けるってことは出来なかったんですかね

斎藤教授:「今回のケースで言えば無理だったでしょうね。深い所に急に沈むと、人間って垂直のまま沈んでいくんですよ。一回沈むと出てこないので、(水面に)いなければ浮き輪は役に立たない。もしすぐに力を抜いて背浮きという形でぷかっと浮いてくれば、あれが役立つわけですね」

高校生2人が地元の池で水死(後) 専門家が指摘する恐ろしさ「深いのに浅く見える」 『2m先は深さ4m』…具体的に危険周知を 静岡・沼津市

 これは水難学会が監修した訓練の様子。

「背浮きだよ!」

 背浮きとは、仰向けになり顔を水面に出している状態。慌てなければ靴の浮力も手伝って、自然とこの姿勢になるといいます。水に落ちた時は「浮いて待て」を呼びかけています。

 痛ましい事故を防ぐために、斎藤さんは注意喚起の強化を指摘します。

斎藤教授:「これは高校生や子どもの問題でなくて、地域としてどう考えるかってことだと思う。実際にちょっと周囲を見て、注意喚起看板、水の深さに言及している看板は無い。具体的にここは2メートル進んだら、4メートル深くなる。そういう具体的な『何が危ないか』をきちっと知らせる。そういう看板はぜひとも欲しい」

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