「取材に応じて」…地元記者クラブの要請に田久保市長は「ノー」　観光の落ち込み著しいも「酷暑や物価高が原因」　静岡・伊東市　

　月に一度の定例会見に、異例の数の報道陣が集まりました。田久保真紀市長の学歴詐称疑惑によって、混乱が続いている静岡県伊東市。

司会：「ただ今より市長定例会見を始めます」

　会見に先立って、「発表項目以外の質問には答えない」として、最も重大な関心事である“疑惑”については、「一切質問に応じない」との意向を幹部職員に伝えていた田久保市長。会見の冒頭、報道陣から“異例”の要請が…。

伊東記者クラブ幹事社：「田久保真紀伊東市長に要請します。学歴詐称疑惑に端を発し、３カ月間にわたって市政が混乱する中、報道の取材には答えず、市長は自身のＳＮＳで市民の不安を煽るかのような市の見解と異なる発信を続けています。市民に対する説明責任を果たすことを放棄していると言わざるを得ません。今回の定例記者会見を含め、今後誠実に報道機関の取材に対応することを強く求めます。よろしくお願いします」

　市民や県民の知る権利に応えるのは、市長としての重要な務めです。会見での一つ目の発表事項は、今年夏の観光客数について田久保市長が報告しました。

伊東市　田久保真紀市長：「宿泊客数は前年度比９３％に減少いたしました。観光施設入場者数は前年比９６％に減少しております。物価高騰の影響や酷暑により野外施設が伸び悩んだことが原因と、そのように分析をしております」

Ｑ．大手旅行会社のオンラインの予約状況では、熱海は７月前年比８４．５％、伊東は４６％、非常に低い数字になっています。

Ａ．「伊東市だけが極端に悪いようであれば、一体何が原因なのか早急に分析をしまして、必要な対策を講じていきたい」

　観光の街・伊東にとって、書き入れ時となる夏休み期間。市長に対して早期の辞職を要望した観光協会などが懸念していたのも、一連の騒動による、伊東市のイメージダウンです。

伊東市　田久保真紀市長
Ｑ．イメージダウンが影響しているということは可能性としてあると思う？
Ａ．「可能性としてはもちろん考えていかなければいけない部分でありますが、まず客観的なデータの抽出と比較検討、これが重要でございますので、あまりにも伊東市の状況が悪いということであれば、そういった状況があるかもしれないと考えていくことができるのではないかと思っております」

　２９日で就任から３カ月を迎えた、田久保市長。伊東市政で異例の混乱が続いているのは、市長が自らの学歴詐称疑惑について、十分な説明をしていないからに他なりません。

　新しい図書館建設の反対を強く打ち出し、現職との接戦を制しました。田久保市長の誕生は、伊東市民１万４６８４人の民意です。

伊東市　田久保真紀市長：「市民の勝利だと思いますので、これから市民のために本当に頑張っていきたいと思っています。最優先の課題は、まず市民の声をちゃんと聞くことです」

　「市民のために」と話したこの日から、わずか３カ月。今の市長は、市民にどう映っているのでしょうか。

伊東市　田久保真紀市長
Ｑ．図書館の視察についても意見を聞きますにとどまっていて、一向に市長のやりたいことや方向性が示されていない。

Ａ．「図書館のこともそうですが、今準備を進めておりますので、もうしばらくお待ちいただければと、そのように考えております。こうした定例会見で項目としてお示ししまして、それに対する質問は、現在もそうですけれども受けていくと、そのような姿勢に変わりはございません。以上でございます」

　会見の最後、田久保市長が報道陣からの要請について回答しました。

伊東市　田久保真紀市長：「要請につきましては真摯に受け止めさせていただきます。しかし、過日私につきまして、行方不明になったというような報道がおどりまして、大変市民の皆様にもご心配をおかけいたしました。秘書課とは連絡を何回も取り合っておりまして、私が行方不明になったというような事実は一切ございませんでした。不信任決議についての報道も、まだこれから議会にお諮りして、皆さんで審議をなさって決定をなさる、そこは尊重すべきと思います。このようなことも含めまして、しばらくの間、こういった形での対応とさせていただきます。以上でございます。本日はどうもありがとうございました」

Ｑ：一つ事実関係、事実ではないことを…、行方不明ではなく所在不明です
田久保市長「ありがとうございました」
Ｑ：行方不明とは書いていない。所在不明と書いてある
Ｑ：そもそも自身の学歴詐称についての説明はしないんですか？
Ｑ：市長、カメラの向こうに伊東市民の皆さんもいらっしゃいますよ

　学歴詐称疑惑について、市長から新たな説明はありませんでした。

伊東市　近持剛史企画部長：「市民の方の素朴な疑問や不安に答えるのが記者会見で、市長の口からわかりやすく丁寧に話してもらうことが目的ですけど、それがなされなかったことはかなり残念だと思っています」

嶋田光希アナウンサー：「今夜、伊東市内のこちらの広場では、民間団体主催の盆踊り大会が開かれます。そこには田久保市長の一連の騒動による市政の停滞が影響しているようです」

　学歴詐称疑惑に揺れる町を、どうにか元気にしたい…。行政に頼れない今、民間が協力して、祭りの開催にこぎつけました。

祭りに協力　虫明弘雄市議：「市民の皆様が本当に一丸となって伊東市を盛り上げようという、本当に民間だけの力で、資金もそうですし、こういった企画もそうですし…」

　言ってみれば、田久保市長への不信感が祭り開催の“原動力”です。

　ただ、当の市長はそうした市民感情を理解してはいないようです。

伊東市　田久保真紀市長：「民間のイベントが盛んになることは私としても感謝といいますか、大変喜ばしいことであると思っております。（民間が）できるだけイベントが開催しやすい環境の整備を来年度は進めていきたいと思っています」

　それどころか、議会で不信任決議が可決される公算が高まる今、田久保市長からは「来年度」という発言も…。

祭りに協力　虫明弘雄市議
Ｑ．田久保市長はきょう来るんでしょうか
Ａ．「そこはちょっと私には分からないです。来てほしくないですね。やはり市民の皆様のお気持ちでできたこのイベントですから」