田久保市長の決断は「議会解散」…理由は「不信任可決が議会初日だった」 大儀なき解散に市は大混乱 静岡・伊東市

静岡・伊東市 田久保真紀市長(10日午前10時):「伊東市議会議長中島弘道様。令和7年9月10日に議会を解散するため通知をいたします」
不信任決議案可決から9日。田久保市長が選択したのは「議会の解散」でした。
伊東市議会 中島弘道議長(1日):「起立、全員であります。市長に対する不信任決議は可決されました」
伊東市政初となる、市長に対する不信任決議案の可決。ことの発端は、自身に降りかかった学歴詐称問題。市の広報誌に掲載された「東洋大学法学部卒業」という学歴でした。「辞職」か「議会の解散」かの判断が迫られる中…
質問に答えない田久保市長
板垣亮記者:「午前8時半ごろです。田久保市長が登庁しました」
記者)市長、おはようございます
田久保市長)おはようございます
記者)辞職ですか解散ですか、どちらに決めましたか?
田久保市長)おはようございます(小声)
記者)決断きまりましたか
田久保市長))……
この日も挨拶だけを交わして去っていきました。

古賀りなアナウンサー(10日午前9時半):「午前9時半すぎの伊東市役所です、きょうも多くの報道陣が駆けつけています。もう間もなく田久保市長がやってきて、辞職、または議会解散の判断をするものと思われます」

田久保市長は「議会解散」を選択
登庁から1時間半後、田久保市長は議長室へ。
伊東市 田久保真紀市長(10日午前10時ごろ):「伊東市議会議長中島弘道様。議会の解散について、令和7年9月1日、貴職から令和7年市議会9月定例会において、私に対する不信任案の決議をした旨の通知があったので、地方自治法第178条第1項の規定に基づき、令和7年9月10日に議会を解散するため通知をいたします」
中島議長に書面を手渡し、すぐに議長室を後にしました。

議長「大儀なき解散」副議長「自分ファースト」
伊東市議会 中島弘道前議長(10日午前10時すぎ):「この大義なき解散につきまして、本当に今、私ども怒りしかありません。本当に多くの市民も納得いくものではないと思います」

伊東市議会 青木敬博前副議長(10日午前10時すぎ):「自分のため、市民ファーストよりも自分ファーストなんだなっていう印象です」

報道よりもSNS!?
10日付で議会の解散に踏み切った田久保市長。議長室を出た後、すぐにSNSを更新しました。
田久保市長のXより(午前10時22分投稿):「先ほど、議長室を訪問しまして市議会の解散の通知を致しました。10時半からの発表を控えて報道陣が集まっております。伊東市政の改革と刷新のため、そして地域を守る為に引き続き全力で尽くして参ります」
自撮り写真と共に決意表明。田久保市長の登場を待つガラスの向こう側のカメラには、自撮りをしているであろう姿が映っていました。SNS投稿から数分して、報道陣の取材に応じました。

解散の理由は「不信任可決が議会初日だったから」
伊東市 田久保真紀市長(10日午前10時半):「伊東市議会の9月初日、私に対しまして不信任案決議が全会一致で可決となりました。初日に決議が可決されましたため、その後の審議は全てストップをいたしまして、現在、議会の方は行われておりません。9月議会での重要な案件が無事審議された後、つまり議会の最終日に私の不信任案を決議するという結論に議会が至らなかったことに関しましては、非常に残念な思いであると言わざるを得ません。よって、本日、議会を解散するという結論をもって、議長へご報告にあがりました」
議会側が初日に不信任案を提出したことで審議がストップしたことを解散の理由とした田久保市長。記者からは「辞職」も選択肢にあったのか問われました。
伊東市 田久保真紀市長(10日午前10時半):「議会の方が最終日まで滞りなく進みまして、最後の段階で私に対する不信任決議が出た場合には、違った選択肢もあったのではないかと」
つまり、「辞職の可能性もあった」ということになります。ただ、田久保市長は「解散」を選択。その原因は議会側にあることを改めて強調しました。
伊東市 田久保真紀市長:「議会がしっかりと最終日まで行われることを、私としては非常に期待をしておりましたので、大切な議案が全てストップという形になります。このようなあり方については、もう一度再考する必要があるのではないかということで、今回の決断に至りました。以上でございます」

市長の証言を幹部が否定
市長によると、9月議会で審議される予定だったことの1つに「教育長の人事案」があるといいます。
伊東市 田久保真紀市長:「最終日には教育長の人事が上がるようにということで、私の方では進めさせていただいておりました」
市長は人事について調整が進んでいることを示唆しましたが、市の幹部はこれを否定しました。
伊東市教育部 西川豪紀部長:「現状、特段どなたに教育長がついていただけるかということは、全く決まっていない状況です」
Q:田久保市長が言っていたような話までは全く進んでいなかった?
A.はい、そのとおりでございます。

6300万円の出費に市民は…
田久保市長の選択によって、今後40日以内に行われる市議会議員選挙。市によると費用はおよそ6300万円かかるとみられています。その原資はもちろん税金です。
伊東市民70代:「予想はしていた、最悪のことだと思って残念」
伊東市民40代:「ちょっと笑ってしまった、こんなことが起きるんだと思って」
伊東市民80代
Q:(市議会)解散・選挙となるが?
A.「やむを得ない、制度がある以上仕方がない、お金がかかるがシステムがあるから仕方がない。もったいない」
伊東市民50代:「変わってほしいという気持ちがあって、応援していた部分もあったが、今回このようなことになってしまい残念」
選管「日程は大変タイト」
選挙管理委員会は11日、10月12日告示、19日投開票の日程で伊東市議選を行うことを決めました。
伊東市選挙管理委員会 菊間徹夫委員長:「(解散から)40日というのは大変タイトで厳しい選挙なので、職員の協力を得ながら無事執行できればな思っております」

田久保市長の目標は田久保は7人当選か
告示まで1カ月を切った市議会議員選挙。定数は20人で、仮に新しい議会で再び不信任案が可決されれば市長は失職となります。可決に必要な条件は3分の2にあたる14人以上の出席。ただ、7人の“田久保市長派”が市議選で当選すれば、田久保市長は職にとどまることができる、ということにもなります。
関係者によると田久保市長は市議選に自身の支援者を複数人擁立する方針です。
選挙準備は急ピッチ
板垣亮記者:「市議選の日程が決まりました。こちらの選挙管理委員会では本格的な準備がスタートしています」
11日からポスターの掲示場所や入場券の配布に関する打ち合わせを始めた選挙管理委員会。10月19日に向けて投票所を押さえる必要もあり、市では臨時の職員を13日から配置するなど、態勢の強化も調整しています。

伊東市 木村光男総務部長(午後2時すぎ):「専決で予算を組まないと市議会議員選挙がまずやれないということでしたので、その補正予算の専決に関してのご相談を今してきたところです」
市議選の実施を受け、市は11日、急を要するとして、選挙予算などを専決処分。市議選には、物価高騰などの影響もあり、前回から12.5%増えた6300万円を計上しています。これに対して市長は…
伊東市 木村光男総務部長(午後2時すぎ):「特にそれでお願いしますという感じですね。何これがこれをやってほしいとか、これがどうこうとかという話はなく、我々の説明を聞いて、最終的にじゃあそれでというか、そんな感じです」
揺れる伊東市政…市議選の行方が注目されます。
