不漁が続き価格の高騰が続いているタコ 成功すれば世界初のマダコの陸上養殖の研究が静岡県内で行われています

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 不漁が続き、価格の高騰が続いているタコ。この海の幸を守ろうと、成功すれば世界初となる研究が静岡県内で行われています。

 全国に500店舗を展開するたこ焼きチェーン「築地 銀だこ」。その商品の肝となるにタコの価格に、今異変が生じています。

◆20代男性:
「(価格は)多少高いイメージがある」

◆20代女性:
「高いですね。 (食卓でタコは出しますか?)ないですね 」

 総務省によりますと、タコの価格は年々じわじわと上がり、10年前と比べ今では1.6倍以上に。一体なにが起きているのでしょうか。

◆株式会社ホットランドホールディングス 丸山美嘉さん:
「温暖化や世界中の方がタコの美味しさに気づき始めて、いろいろな料理で食べられることがスタンダードになってきたので結局価格もあがるし、量も取れなくなってくる」

 実は、国内におけるタコの水揚げ量は近年激減。消費されるおよそ半数がアフリカからの輸入に依存している状況です。

◆株式会社ホットランドホールディングス 丸山美嘉さん:
「このままの状況だと本当に(タコ自体)獲れなくなってしまう可能性も。危機感がある」

 この危機的状況を打破しようと動きだしたのが、県内にもキャンパスを置く東海大学です。

◆ 東海大学  秋山信彦教授:
「将来的にタコを養殖して食べるためのタコ、天然からとらなくてもいいよということで研究をスタートしたわけです。(研究の)技術をもとに養殖をすればこれは恐らく世界初だと思います。」

 世界初を謳うのは…マダコの陸上養殖の事業化。東日本大震災の復興支援の一環として14年前から研究が始まり、「銀だこ」の運営会社も出資をしています。

◆佐々木アナ:
「こちらでは何をしているんですか?」

◆秋山信彦教授:
「親(ダコ)の人工飼料を作っています。タコは貝とかカニが大好物でカニの中身だけを吸い出すというか、半分溶かして食べちゃうんです。」

 実際の貝やカニをエサにするには、手間やコストがかかりすぎるため、開発されたのが、こちら。コラーゲンの袋に魚を中心としたペーストが入っています。

さらにー

◆秋山信彦教授:
「これがタコのシェルター。この隙間にたくさんタコが入る。一つの隙間に1匹じゃなくて何匹も入るんです。タコつぼは陶器でできているので割れるし結構大変で…」

 養殖の事業化に必要な大量飼育に向けつくられたこちらは、その名も「タコマンション」。縄張り意識が強いタコは同じ水槽の中に入れてしまうと、脱走や共食いをしてしまうこともあるそうですが…。このシェルターを使えば、その心配はありません。

◆秋山教授:
「どうしてケンカをしないかは分からないですけど、1つの水槽の中で大量に飼えるんですよ。本当に不思議ですよね」

 いわゆるタコ壺では、重く・割れやすいなど大量に養殖するには、不向きだそうです。

 ただ、養殖に向けては課題も。いま直面しているというのが、赤ちゃんダコの育成です。

◆佐々木アナ:
「今、なんの作業をしているんですか?」

◆東海大学海洋学部 松島 柚鶴さん:
「マダコの幼生にエサをあげています」

 現在の研究では、親ダコを育て、卵を産ませるまでは成功していますが、まだまだ謎が多いという赤ちゃんダコ。産卵には、まだ海から水揚げした親ダコしか使えていないのが現状です。

◆東海大学  秋山信彦教授:
「子ダコの時には(シェルターに)ずっと入りっぱなしになっちゃうので、食べてくれない」

 それでも、生育に必要な栄養が明らかにしていくことで、事業化は大きく前進するといいます。

◆東海大学 秋山信彦教授:
「我々が食べるものを自分たちで生産できれば、自然界と切り離せる。このままだと本当に高くて食べられないものになってしまいますけどね 。それを養殖できれば、我々が食べる分は確保できる。」

 現在、ドジャースタジアムでも人気グルメとなった銀だこの「たこ焼き」

 静岡で行われている研究が将来の日本の食卓のみならず、メジャーのスタジアムグルメを救うかも・・・しれません。

不漁が続き価格の高騰が続いているタコ 成功すれば世界初のマダコの陸上養殖の研究が静岡県内で行われています