静岡・伊東市の老舗弁当廃業で物価高騰対策を打ち出さない田久保市長に苦言! 落選した小野達也前市長は「商品券事業案」を上程する予定だった
静岡県伊東市で長年親しまれてきた創業79年の老舗弁当「祇園」が10月1日破産手続きに入り廃業。長引く原材料費やエネルギー価格の高騰が主な要因で、これ以上の事業継続は不可能であるという結論に至ったといいます。
突然の閉店に惜しむ声や物価高騰対策をしない田久保市政に対する苦言も。
伊東商工会議所の石井裕介専務理事は「伊東の老舗が無くなったことは寂しく、商工会議所として力になれなかったことが残念で悔やまれる。物価高騰が影響していると報じられており、他企業への連鎖が最も怖く心配だ」と話し、また地元飲食店店主も「閉店したことは悲しいし、早く市政の混乱を解決してもらい、何らかの経済対策をして欲しい」と言います。
伊東商工会議所では、「資金繰りや財務改善の相談」が増えているそうで、石井専務理事は「夏休み明けの伊東駅周辺や商店などの状況から、経済対策の必要性は高いと考えている。(市と連携して)何らかの物価高対策や地域活性化に繫がるような経済対策を講じていきたい」と話します。
また飲食店店主に現状を聞くと「値上げをして表面上の売り上げは増えたが、人件費や原材料費の高騰で利益を圧迫し、収入は横ばいだが実質賃金は減っている」と苦しい台所事情を話してくれました。

これまで物価高騰対策として、伊東市では2022年度から2024年度まで商品券事業やキャッシュレスによるポイント還元事業を行い、3年間で約49億4000万円の経済効果があったと試算しています。
・2022年度 経済効果9億5163万5500円(伊東市民応援クーポン)
9億4203万0756円(キャッシュレス)
・2023年度 経済効果3億8444万1500円(いとうスペシャル商品券)
4億1570万3492円(キャッシュレス)
・2024年度 経済効果8億8848万2000円(いとう市民プレミアム商品券)
13億5743万2790円(キャッシュレス)
廃業した「祇園」も商品券事業の取り扱い店舗になっており、飲食店店主は「企業努力はしないといけないが商品券事業などがあると1~2割ほど売り上げが増えるので助かっている。市の物価高騰対策を、今は待っている状況だ」と話します。
今、伊東市で物価高騰などの経済対策が取られていないのは何故なのか? 実は、5月の市長選で落選した小野達也前市長は、「再選したら6月の市議会定例会で、物価高騰対策として2024年度と同程度の商品券事業案を上程する予定」でしたが、田久保新市長は継続せず、事業を止めました。

その理由について、6月の議会で次のように答えています。
「商品券やポイント還元事業について、即効性の高い経済政策、物価高騰対策の一つとして、一時的には効果が期待できるものと認識しているが、継続的な効果を生むために、私たちのまちにとって本当に必要な施策は何かを見定めていく必要があると考えいる。今後は、地域経済の動向や市民生活への影響を注視していくとともに、これまでに経済政策、物価高騰対策として実施した事業の効果を検証し、課題を明らかにしていく中で、どのような経済政策、物価高騰対策が最適であるのかを検討してまいりたい」と自身の考えを示しました。
また「一過性の即効性の高いカンフル剤よりも、経済が回り人が巡る仕組みづくりが必要であると考えることから、プレミアムクーポン等の発行については現在検討を進めておりません」と述べています。
この発言から3か月余りが経つ中での老舗弁当「祇園」の廃業。6月定例会で田久保市長は「市内経済への影響につきましても十分に配慮し、スピード感を持って市政を進めてまいりたいと考えております」と強弁していましたが、市産業課の担当者に確認した所、祇園の廃業を受けて市長から「何か指示を出されたことはない」という事でした。
帝国データバンクによると、9月の倒産件数は909件で4カ月連続で前年を上回り、業種別にみると「サービス業」と「小売業」が9月としては2000年以降で最多。主な要因は「販売不振」が744件と全体の81.8%を占めています。(倒産集計 2025年 9月報|株式会社 帝国データバンク[TDB]より)
他企業への連鎖が心配される中、田久保市長は伊東の経済対策をどのように考えているのか? 市長の学歴詐称疑惑を発端に市政が機能不全に陥っている今、一日も早い経済対策と市政の安定が求められています。
