掘り出し物がいっぱい? 静岡市の官公庁オークションに参加してみた

静岡市は不用となった市の物品を売却する、インターネットオークションをほぼ毎年実施しています。今回のオークションには過去最多となる193品が出品されました。一般にはあまりなじみがありませんが、掘り出し物がありそうな市のオークション。記者も参加してみました。(取材・文=三浦徹)

静岡市のインターネットオークションは、市役所や市が管理する施設で不用になった物品をオークションで売却するものです。

毎年ほぼ実施されていますが、昨年は実施されなかったため今回は2年ぶりとなります。今回は過去最多の193品がエントリーしています。

インターネットオークションは「KSI官公庁オークション」のサイトを使って行われます。「KSI官公庁オークション」には全国の自治体からの出品がありますが、だれでも参加可能です。つまり、静岡市が出品した物でも、静岡市民以外の人でも入札はできます。ただ落札した商品の輸送は、基本的に落札者の負担になるので、遠方の人が落札するケースは少ないということです。

今回自転車が初出品
今回自転車が初出品

今回は記者も初めてオークションに参加してみることにしました。ターゲットは今回初めて出品された自転車です。まず「KSI官公庁オークション」に会員登録をしてサイトにログイン。お目当ての自転車を検索します。自転車は様々な角度からの写真が掲載され商品を確認することができます。条件が合えば、現物を見ることも可能だということです。

写真を確認して、お目当ての自転車にエントリー。入札保証金(市が定めた「予定価格」の10分の1)はカード決済のみなので、カード情報を入力。予定価格は静岡市がオークションサイトなどを参考に算出したということです。

お目当ての自転車の「予定価格」は1万円。入札保証金1000円がこの段階で登録したクレジットカードから引き落とされます。入札保証金は入札できなかった場合は、後日返却されるそうです。

通常のネットオークションサイトではこれでエントリーが完了ですが、官公庁オークションの場合はまだ仮登録の状態。ここで得た「会員識別番号」を静岡市の「市有物品売却一般競争入札参加申込書」に記入。申込書に、住所、氏名など必要事項を記入して市に提出。マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類の写しも必要です。これを提出してやっと申し込みが完了。

記者は直接市役所に申込書を持っていきましたが、メールやFAXでも受け付けています。郵送も可なのですが、書類提出の期間が決まっているため(消印有効ではなく必着)、余裕をもって送ったほうがよさそうです

ネット上で仮登録はしても、面倒になったのでしょうか、それ以降の作業をせず、無効となってしまうケースも多いといいます。

このあと、市では警察に照会するなどして入札参加資格を確認(暴力団等は参加できません)した上で、正式な申し込みとなります。しかし、入札できる期間はおよそ2週間後。ここでもフリマサイトと比べてかなり手間がかかる印象で、だから入札が少ないのかと思ってしまいます。

各自治体のイチ押し物件 マンションのとなりに「やかん」も(KSI官公庁オークションのサイトより) 
各自治体のイチ押し物件 マンションのとなりに「やかん」も(KSI官公庁オークションのサイトより) 

そしてようやく入札できるようになりました。入札は一発勝負、いうまでもなく入札価格が全てです。予定価格は1万円なので、これ以上の金額で入札する必要があります。なるべく安く落札したい、でも安すぎると落札出きないかも…。

静岡市の担当者によれば、おおよそ他のフリマサイトで落札される価格に近い値で落札されるケースが多いとのこと。フリマサイトで確認してみるとお目当ての自転車は1万5000円くらいで落札されていました。

そうなると落札価格は1万5000円くらいか。でもせっかくの官公庁オークションなのでなるべく安く手に入れたいという思いもあります。

記者は悩んだ末、間をとって1万3000円で入札することに。やはりみんな1000円単位の入札だろうと予想し、入札価格は刻んで1万3010円にしました。オークションではよくあるテクニックだそうです。

ようやく入札可能に
ようやく入札可能に

およそ1週間後。結果発表となる開札を迎えました。サイトを見ると落札価格は1万3010円! 無事自転車を落札しました。

喜びの気持ちでサイトをよく見ると入札件数は1。つまり私以外の入札者はいなかったということです。それなら1万円でよかったのに…。何か損した気分です。それでも自分の1万3010円が、静岡市の貴重な財源になると考えを改めました。

このあとは物品の引き取りも自分で行わなければいけません。「自治体オークション」は上手に利用すれば、欲しいものをお得に手に入れることとができますが、やはり民間のオークションサイトに比べると、面倒くさいというのが正直な感想です。

しかしそれゆえにライバルが少なく、落札の可能性が高くなるということもあると思います。

静岡市によりますと、今回のオークションの入札者はのべ154人。ちなみに今回、初出品となる自転車は7台出品されていましたが、入札は自分の1件だけだったということです。

落札したものの…
落札したものの…