市長「津波は1000年に1回」 市民「住民投票して」 清水庁舎の駅前移転で住民説明会 〝津波リスク〟で反発も 静岡市

YouTube Video 市長「津波は1000年に1回」 市民「住民投票して」 清水庁舎の駅前移転で住民説明会 〝津波リスク〟で反発も 静岡市
動画を再生

植田結衣子アナウンサー:「JR清水駅前に建設される方針となった新しい清水庁舎。その場所がこちら、まさに駅前の一等地です。駅を中心とした清水のまちづくりはどのように進んでいくのでしょうか」

 多くの観光客が訪れる「河岸の市」が駅直結でリニューアルされるなど、再整備が進みつつある、JR清水駅周辺。数年後には、さらに景色が変わることになりそうです。

住民説明会始まる

 11日の夜、現在の清水庁舎では…。

植田アナ:「静岡市役所清水庁舎です。この清水庁舎の新築移転について住民説明会が行われるということで、多くの区民が集まってきています」

 11日に行われた、清水庁舎の移転に関する住民説明会。会場には、難波市長の姿も…。

 耐震性に問題がある現在の庁舎を改修する場合の初期費用はおよそ132億円、清水駅東口への移転・新築では、177億円余りとされています。

静岡市の担当者:「価格面においては、新築後は初期費用が改修案と比較して高額であるものの、年間あたりのライフサイクルコストは5.6億円で、改修案の6.3億円を下回りました」

 市は完成後の運用コストが改修案よりも抑えられることや、街づくりの観点から、駅前に移転・新築する方針を固めています。ただ、移転をめぐる最大の懸念は、新しい庁舎の建設場所が津波の浸水想定区域にあることです。

地元住民:「桜ヶ丘病院(の跡地)に新しい区役所を移して、まちづくりを始めるのも市民レベルとしては非常にいい案だと思います。なぜなら区役所に行くのに一番安心な場所なんです」

市長「津波は1000年に1回」 市民「住民投票して」 清水庁舎の駅前移転で住民説明会 〝津波リスク〟で反発も 静岡市

静岡市 難波喬司市長:「まちづくりは清水駅の中心でやるべきだと私は考えておりますし、それについてはすでに十分議論されたと理解しております」

地元住民:「少し反論させてもらいます。さくら病院に通っている人は非常に不安だと言ってました。なぜか、津波がいつ来るかわからないからです」

静岡市 難波喬司市長:「では、私から一言だけ反論させていただきますけど、今どこに人が集まっていますか。それだけ不安であれば、清水駅のところに誰も行けないですよね。河岸の市になんであんなに人が行っているんでしょう。あれほど駅前にあるところはないのではないですか」

市長「津波は1000年に1回」 市民「住民投票して」 清水庁舎の駅前移転で住民説明会 〝津波リスク〟で反発も 静岡市

2017年から二転三転の議論

 建設から42年が経過し、老朽化が進む清水庁舎。二転三転の議論が始まったのは、2017年のことです。

静岡市 田辺信宏市長(当時):「活気を取り戻していくには、この日本の30年間の…、聞いてください、聞いてください、ぜひ聞いてください(やじ大きくなる)」

 一度は決まった、駅前への庁舎移転に関する「タウンミーティング」では、津波の浸水想定区域への移転について、市民の不満が爆発。清水の街づくりでネックとなるのが、駅周辺を含む中心部の“津波リスク”です。

市長「津波は1000年に1回」 市民「住民投票して」 清水庁舎の駅前移転で住民説明会 〝津波リスク〟で反発も 静岡市

駅前への病院移転の時も…

 駅前に、「清水さくら病院」の移転が決まった時には…。

(2021年)
市民:「話している最中はやめさせてくださいよね」
担当者:「やめません」
市民:「やめない? あなたそれで責任者?」
担当者:「はい」
市民:「市長を連れてきな!市長を! 東日本の教訓を全然学んでいませんね。市の方たちは」

 建設に反対する市民が、市の職員に詰め寄ったことも…。

 その後、清水庁舎は一度は現在の場所での改修が決まりましたが、2023年4月の難波市長の就任で、再び潮目が変わります。庁舎を駅前に移転・新築した方が現庁舎の改修よりも、“投資効果”が高いというのが難波市長の考えです。

静岡市 難波喬司市長(4日):「庁舎単独ではあまりにもったいないので、民間活用は不可欠だと思っています」

市長「津波は1000年に1回」 市民「住民投票して」 清水庁舎の駅前移転で住民説明会 〝津波リスク〟で反発も 静岡市

 住民説明会でも、市長は理解を求めました。

静岡市 難波喬司市長:「皆さん、清水庁舎を毎日お使いになるわけです。1000年に1回の(津波で)どうなるかという対応を優先するのか、毎日の利用を優先するのか、どっちがいいかということですね。交通の便が良い、ここがやっぱりまちづくりの中心だと思います」

 庁舎単独での整備の場合、完成までは5年程度、複合施設として整備する場合は、さらに時間がかかる見通しです。市はパブリックコメントなども実施した上で、年度内に整備方針を取りまとめる予定です。

静岡市 難波喬司市長:「私が一番心配しているのは、清水の中心市街地全体の防災性をどう高めていくかを一緒にやっていかないと。しっかりとした防災対策をここ10年ぐらいでどのくらいやれるかがポイントだと思っています」

市長「津波は1000年に1回」 市民「住民投票して」 清水庁舎の駅前移転で住民説明会 〝津波リスク〟で反発も 静岡市

市民からは厳しい声

 説明会に参加した市民からは…。

参加した市民:「納得感はきょうの段階ではありません」

参加した市民:「難波さんがもうあそこに決めたということを前提にして話をしている。簡単には決めないでほしい」

参加した市民:「ここが旧清水の、あの一番の繁華街だったんですよ。それが今どんどん寂れて、まちづくりは確かに大事なんだけれども、今の行政の方針には反対です」

参加した市民:「今回の場所を選択するのか、違う場所を選択するのか、やっぱりそれは住民が決めることですので、できたら住民投票をしていただきたい」

市長「津波は1000年に1回」 市民「住民投票して」 清水庁舎の駅前移転で住民説明会 〝津波リスク〟で反発も 静岡市