全国でクマの被害が多発する中、静岡県内でもクマの捕獲や目撃情報が相次ぐ 対応に迫られる施設も

 全国でクマの被害が多発する中、静岡県内でもクマの捕獲や目撃情報が相次いでいます。対応に迫られる施設も出ています。

◆静岡市 難波喬司市長:
「(クマの)目撃情報は11月19日現在で60件。もう少し頻繁に出てくるようになってくると、やはり人的被害が発生する恐れがあるので、箱わなを設置するとか、そういったことをしっかりとやっていきたい」

 21日の定例会見でクマの出没状況について言及した静岡市の難波市長。市によると、人的な被害は出ていないものの、柿や栗といった農作物が食べられる被害が出ているといいます。全国的に人里でのクマの出没が相次ぐ中、静岡市では23日も「目撃情報」が・・・。

◆坂井剣一郎記者:
「目撃した人の話によりますと、体長1mぐらいのクマのような黒い動物が、こちら竹藪の向こう側に走り去っていったということです」

 その場所は、静岡市葵区瀬名。常葉大学静岡瀬名キャンパスの近くで、住宅街が広がるエリアです。その後、クマはいったい?

 静岡市によると23日午後1時ごろ、竹林でクマのような動物が山の斜面をうろつく様子が目撃されたといいます。その後、市の職員が捜索をしましたが、クマは見つかりませんでした。

全国でクマの被害が多発する中、静岡県内でもクマの捕獲や目撃情報が相次ぐ 対応に迫られる施設も

 各地で深刻化するクマの出没。国の資料によると、クマを呼び寄せる要因の7割が柿だといいます。木に登って大好物の柿の実を食べるクマの姿が相次いで目撃されています。

 群馬県前橋市では、11月7日から柿の木を伐採する人に1本あたり1万円を交付する事業がスタート。ところが、わずか10日あまりで予算の上限150万円に達し、受付を終了しました。

●柿の木を切った人(70代):
「テレビでも(クマが)柿を食べていて、やっぱり危険かなと思って」

●柿の木を切った人(70代):
「思い出もあるけれど、やっぱり危険なのが大きいので」

●岩手大学農学部 山内貴義准教授:
「基本的に熟してから食べます。熟すまではそのまま素通りして、熟してから食べ始めている。通常11月になったらおとなしくなるはずですけど、全くその気配がないので、12月に入っても、もしかしたら出没が続くと思います」

 実際、静岡県内でも柿の木や栗の木をあさるクマが目撃されています。紅葉シーズンで観光客が山を訪れる機会も増えている中、クマが捕獲された事例も・・・

●板垣亮記者:
「クマが捕獲されたのはあちらの公園の近くです。あたりには木が生い茂っていますが、遊歩道やクロスカントリーコースが整備されている場所です」

 裾野市須山の水ヶ塚公園近くでは、クマが箱ワナに。体長130cm、重さ100キロとみられるメスの成獣で、猟友会などによって駆除されました。

 県内のクマの目撃情報は、4月からですでに137件。これは2024年1年間の出没件数に迫る勢いです。
 

全国でクマの被害が多発する中、静岡県内でもクマの捕獲や目撃情報が相次ぐ 対応に迫られる施設も

 影響を受けている施設もあります。

●県立観音山少年自然の家 大橋英之所長:
「11月、12月に利用する予定だった団体からはキャンセルの連絡が相次いで来ているという状態」

 浜松市の山間部にある宿泊施設、「観音山(かんのんやま)少年自然の家」。例年、1万人近い小中学生が林間学習や野外活動先として利用していて、秋のこのシーズンは特に利用者が多くなるといいますが、今年は20校以上の学校からキャンセルが相次ぐ事態に・・・。キャンセルの理由は、やはり「クマ」です。

●県立観音山少年自然の家 大橋英之所長:
「ちょうどこの脇のあたりを所員が帰宅途中に車で走ってるときに(クマが)歩いているのを目撃した」

 こちらがその時撮影された、クマとみられる写真。11月12日、帰宅途中の職員が発見し警察へ通報したということです。

●県立観音山少年自然の家 大橋英之所長:
「約80cm弱ぐらいと聞いている。(目撃した)その日は3つの小学校が宿泊で利用していたので所員がすぐ施設に戻って子どもの安全確保を一番に行いつつ対応した。これまでも危機意識をもって取り組んできたが、今まで以上に危機意識を高めてやっていかなければと実感している」

 大橋さんによると、周辺ではっきりとクマの姿を確認したのは今回が初めて。施設にはクマよけの鈴やスプレーも対策として常備していますが、今回の目撃を受け、今年は夜間のレクレーションなどの活動自粛も決めました。

 また、野生動物の動きを確認するために山に設置している定点カメラも目撃した翌日から3台増設して7台にするなど、職員による見回りも強化し、例年とは異なる対応を迫られるいっぽうで、教育施設としては複雑さも感じているといいます。

●県立観音山少年自然の家 大橋英之所長:
「学校を離れ、こういう自然の中で宿泊を伴って自然体験をするのはとても大事なことだと思っているし、多くの人に経験してもらいたいというのはとても強く思っているが、危険が心配される状況の中で無理にやるというのはとてもできることではないので、安全管理、安全対策に精一杯取り組んでいきたい」

全国でクマの被害が多発する中、静岡県内でもクマの捕獲や目撃情報が相次ぐ 対応に迫られる施設も