磯の香りを纏う、牡蠣ラーメンの濃厚な波　「むかん浜松」

　東京、中野坂上で産声を上げ、阿佐ヶ谷など複数店舗で「行列の絶えない」という称号を持つ超人気店「むかん」が、ついに静岡に初上陸を果たした。舞台は浜松市中央区鍛冶町、ザザシティ浜松西館の2階。この地で今年6月にオープンしたのが「むかん浜松」だ。掲げるのは、「牡蠣ラーメン専門店」という、潔くも魅力的な看板である。
　この店の名刺代わりの一杯が「牡蠣塩ラーメン」だ。その最大の特徴は、文字通り牡蠣を100％使用した、他に類を見ないスープ。牡蠣を丸ごと、惜しみなく大量に使い、そこから牡蠣の旨みを深く、深く抽出している。煮詰められた磯の香りと牡蠣の滋味が凝縮されたスープを、キレのある塩だれで割ることで、奥行きのある味わいを生み出している。
　合わせる麺はスープと一体化するパツパツとした食感の細麺。濃厚な牡蠣の旨みをしっかりと持ち上げ、口の中へと運んでくれる。具材には、磯の風味をさらに高める岩のりと、しっとりとしたチャーシュー、そしてこの一杯のクライマックスともいえる「牡蠣のアヒージョ」がのっている。このアヒージョは、スープに使った牡蠣を砕き、オイルと混ぜ合わせて作られる、まさしく牡蠣のエキスパートだ。
　まずは、スープ本来の深みを味わい、次はその牡蠣のアヒージョを麺に絡めて豪快に啜ってみてほしい。アヒージョのオイルと牡蠣の風味が加わることで、スープの濃度と旨味が爆発的に増し、その美味しさが深淵へと誘う。まさに牡蠣好きを唸らせる、痛快極まりない一杯である。

　もう一つの楽しみは、セットで注文したい「釜揚げシラス丼」との見事な連携だ。このシラス丼は、そのまま食べても十分美味いが、この店の真髄を味わうならば、食べ進めた後、残った牡蠣塩スープを丼にかけて味わうこと。濃厚な牡蠣だしがシラスとご飯を包み込み、魚介の風味が重層的に響き合う、計算され尽くした「〆」の作法だ。

　より贅沢を求めるならば、「特製牡蠣塩ラーメン」も用意されている。通常の具材に味玉が加わり、さらにチャーシューは炙りチャーシューとして3枚のる。香ばしさを纏った炙りチャーシューと、牡蠣のアヒージョを一緒に頬張るその瞬間は、至福としか言いようがない。卓上に備え付けの高菜を加えれば、ピリ辛テイストに味変も可能。

　東京で行列を生み出した、この濃厚な牡蠣塩ラーメン。その熱い波が、今、浜松の地に押し寄せている。

むかん浜松
浜松市中央区鍛冶町15 ザザシティ西館2階
電話番号：090-1794-7789
定休日:なし
営業時間:11:00-20:00
共用Pあり※未提携