41年変わらぬブラウンソースの深み──黒毛和牛100%、洋食の王道を守る味 静岡市「クック・ドール」
静岡市駿河区東新田の「クック・ドール」は、1984年の創業以来41年、地元で愛され続ける洋食レストランだ。厨房に立つのは、店主でありシェフの稲木久代さん。料理人一家に生まれ育ち、父母、叔父といった家族に囲まれながら技を磨いてきた。「料理は家庭で学んだものが基本」と話す姿に、食への誠実さがにじむ。
看板メニューは、創業時から変わらぬ「クリームチーズ煮込みハンバーグ」。黒毛和牛100%のパティを焼き上げ、ブイヨンスープで軽く煮込み、そこへ自家製ブラウンソースを加える。耐熱皿で直火にかけ、グツグツと音を立てながら提供される一皿だ。
味の決め手は、火加減を見極めながらじっくりと仕上げるブラウンソース。バターと小麦粉を焦がさぬよう時間をかけて炒め、深い香ばしさとほのかな苦味を引き出す。そのコクが、肉の旨みとクリームチーズのまろやかさを包み込む。おすすめの食べ方は、ソースの中にごはんを入れる“リゾット風”。チーズのコクとソースの苦味、肉の旨みが一体となり、思わずスプーンが止まらなくなる。
続いて紹介するのは「醤(ジャン)煮込みハンバーグ」。ブイヨンで煮込んだハンバーグに、コチュジャンとトマトソースを合わせた甘辛仕立て。ひと口食べれば体がぽかぽかと温まる冬の定番だ。
さらに「ビーフ・シチュー」もファンが多い。黒毛和牛のトモスネという部位を2〜3日かけてデミソースで煮込み、スプーンでほろりと崩れる柔らかさに。噛むほどにあふれる肉の旨みと、濃厚なソースの深みが絶妙だ。
「ソースは全部一から作ります。ハンバーグがおいしいのはお肉もありますが、ソースが命なんです」と稲木シェフ。ブラウンソースの香りとともに、厨房から漂う湯気。その向こうにあるのは、40年以上変わらぬ洋食のやさしさだ。静岡の老舗「クック・ドール」。一口ごとに、時の積み重ねが感じられる。
クック・ドール
静岡市駿河区東新田4-17-1
電話番号:054-258-4960
定休日:月曜日・不定休
※祝日は営業、翌日休み
営業時間:11:30-14:00 L.O.13:20
17:30-20:30 L.O.20:00
Pあり

