「ひとりの人間の運命がかかっている」袴田ひで子さんが法制審議会後の会見で再審制度改正について訴え

再審で無罪が確定した袴田巌さんの姉・ひで子さんが再審制度を巡り、見直しを議論する法制審議会の部会後の記者会見で「ひとりの人間の運命がかかっている」と訴えました。

 都内で開かれた部会では、有罪判決に関与した裁判官がその後の再審手続きに関わらせないという規定を設けるかどうか、裁判官の除籍忌避について話し合われました。

 法制審の部会では、再審制度について最大の論点となっている
「証拠開示」をめぐって、日弁連側の委員が再審請求審での幅広い証拠開示を求めているのに対し、検察・裁判所側の委員が反対していて、開示範囲を「再審請求理由と関連する証拠」に限る案が有力になっています。

袴田ひで子さん
「証拠は検察官のものではない。やっぱりオープンにすべき。証拠もあるものは全部出して審判を仰ぐってことなら話はわかるが、隠してしまうってことでは困ります」

 さらに、「再審開始決定後の検察の抗告」も論点ですが、部会では禁止に反対する意見が多数を占めています。

 袴田さんの場合、再審開始決定から再審が始まるまでに9年を要しています。

袴田ひで子さん
「(再審請求審と再審で)同じことを何度もやっている。死ぬまでやられたらこちらが持ちません」

 超党派の国会議員連盟は「裁判所が幅広く開示を検察に命じる」ルールや検察官の不服申し立て禁止を盛り込んだ法改正案をまとめ国会に提出していて、今国会での審議入りを目指しています。

袴田ひで子さん
「一人の人間の運命がかかってる。それを裁くのにフェアでないってことはもってのほかだと思う。法制審議会があてにならないのなら、議連の皆様にすがるしかございません。せまて巌が47年7カ月頑張ってきたということを、人間として考えていただきたいと思っております」

 法務省は法制審からの答申を踏まえたうえで、内閣提出法案としての改正法案を作り2026年の通常国会での提出を目指しています。

法制審議会の部会後の記者会見
法制審議会の部会後の記者会見