廃校した小学校で「海ぶどう」養殖 沖縄の名産品を静岡・沼津市で…「最適な環境だった」そのワケは

様々な海産物の陸上養殖の取り組みがさかんな静岡県。沼津市でも新たな取り組みが行われています。 

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廃校した小学校で「海ぶどう」養殖 沖縄の名産品を静岡・沼津市で…「最適な環境だった」そのワケは

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 水槽を悠々と泳ぐサーモンに生食として披露されたサバ。これらは、海や川で取れたものではなく、すべて陸上養殖で育てられたものです。県内には他にもエビやキャビアなどが陸上で養殖されていて、静岡県はまさに今、陸上養殖ラッシュとなっています。

 そんな「陸上養殖界」にニューフェイスが! その舞台は沼津市です。

沼津市民 20代:「沖縄の名産、沼津産で楽しめるということが魅力」

三島市民 60代女性:「プチプチと触感が良くて、夏に合う食材だなって思いました」

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 お客さんからも高評価の食材、それが「海ぶどう」。沼津で陸上養殖されている沖縄の名産品です。まるで宝石のようなこの海ぶどう。作られていたのは…。

廃校の小学校のプールで養殖

笹村朱里アナウンサー:「小学校のプール跡地です。当時使われていた水道がそのまま残っています。蛇口をひねってみますと、まだ水が出まして、当時の名残を感じることができます。
そして、こちらにはビニールハウスがあるんですが、この中で海ブドウの養殖を行っているということです」

画像1: 廃校の小学校のプールで養殖

 沼津産の海ぶどう。陸上養殖が行われていたのは内浦小学校跡地。児童数の減少で、おととし3月に閉校しました。

庄司昌弘さん(2022年10月):「養殖は初めてということなので、沼津産、つくって食べてもらいたいですね」

 養殖場長を務める庄司昌弘さん。「しずおか海ぶどうLABO」と名付けられたこの施設では、廃校となった学校のプールを活用して去年10月から海ぶどうの陸上養殖をスタートさせました。

画像2: 廃校の小学校のプールで養殖

庄司昌弘さん(2022年10月)
Q.沼津産これからできますけど、どんな気持ちですか?
A.「子どもを見守る気持ちというか、本当に毎日成長を見て、少し伸びているのを見て、うれしくなりますし、やっぱり全部みんなに食べてもらいたいなという、そういう気持ちですね」

沖縄県宮古島市で海ぶどうの養殖技術を学ぶ

 庄司さんは三島市出身。沖縄県宮古島市で海ぶどうの養殖を行う友人に誘われ、現地で養殖技術を学びました。そして、地元に新鮮な海ぶどうを届けたいと、去年、地元静岡に戻り、この施設で養殖を始めたということです。この日は沖縄から持ってきた海ぶどうを増やしていくための“植え付け”の日。海ぶどうの養殖では、まず親となる「母草」を水槽の中に植え付けます。その後、沖縄の海に近くなるように、プールの水温を調整。40日から50日ほどかけて成長を促します。この成長したものが「沼津産」の海ぶどうです。

画像: 沖縄県宮古島市で海ぶどうの養殖技術を学ぶ

 そもそも、なぜ、陸上養殖に廃校となった小学校を選んだのでしょうか?

庄司昌弘さん:「養殖に必要な排水の設備がまず備わっていますので、それがすごくいいところ。沼津という土地で育てていくことによって、沖縄と同じような新鮮なものが、こちら(静岡)のお客様にご提供できると思っています」

海ぶどうにとって最適な環境

 養殖場が港に近いということも海ぶどうを生産するのには大きな利点です。プールがある学校跡地は内浦漁港まで車でわずか2分ほど。海の水が命となる海ぶどうにとっては、この場所が最適な環境だったんです。

庄司昌弘さん
Q.駿河湾の海水は海ぶどうにあいましたか?
A.「意外と沖縄と同じように海ぶどうには元気を与えてくれました。塩分も、少しこっち(静岡)のほうが高かったんですけど、塩分は薄いよりは濃いほうがよかったりするので。水温も向こう(沖縄)と同じように冷たくて、いいものがとれると思います」

 ところが、庄司さんにとって陸上養殖は初めての経験。苦難の連続で、去年1年間はうまくいかなったといいます。

庄司昌弘さん:「機械が壊れてしまったこととかで、生育に不具合がでてしまった」

画像: 海ぶどうにとって最適な環境

初出荷…JA職員「魅力を発信し続けたい」

 あれから10カ月。21日に「沼津産海ぶどう」が初出荷の日を迎えました。

画像1: 初出荷…JA職員「魅力を発信し続けたい」

笹村朱里アナウンサー:「新鮮でぷりっぷりです。塩味もしっかり感じられますね。おいしいです」

 収穫された海ぶどうはファーマーズマーケットにも出荷。地元の人も「沼津産」の海ぶどうとご対面です。

画像2: 初出荷…JA職員「魅力を発信し続けたい」

三島市民 40代女性:「なかなか沖縄まで行けないので、地元で、静岡でとれると思わなかったので、すごいびっくりしたし、これからも食べていきたいなと思いました」

 販売する側も、ブランド戦略を考えることに力が入っています。

画像3: 初出荷…JA職員「魅力を発信し続けたい」

JRふじ伊豆 外岡賢大さん:「今後ですね、やっぱり静岡県内また沼津市の特産になっていけるように、我々としてもこの海ぶどうの魅力を発信し続けていきたいと思っております。我々(JA)って、どうしてもお野菜のイメージが強いと思うんですけど、やっぱりこういう地域の非常にいいものは野菜に限らず、発信していって、お客さんに喜んでいただけたら嬉しいなと思っているので、今後は野菜と海ぶどうセットでなにかPRしていけるようなことも、やっていけたら嬉しいなと思っています」

 沼津で陸上養殖が始まった沖縄の名産品。干物に並んで海ぶどうが、沼津を代表する海の幸となる日が来るかもしれません。

庄司昌弘さん:「沼津といえば海ぶどうくらい、有名になっていただけたら一番うれしいです。海ぶどうがあるから沼津に来たと言ってもらえるようになりたい」