岡村牛の深いコクを包むふわとろの幸福 静岡市「シャンティ」
静岡市清水区西高町。落ち着いた住宅街に、昼と夜で違う表情を見せる店がある。「ワイン食堂シャンティ」。夜はワインと料理を楽しむビストロだが、2022年からランチタイムは“ふわとろオムライス専門店”として営業しているという。オープンは2012年。長く地域で育てられてきた店だ。
昼の主役は、卵3個分を使った柔らかな包みと、香りを控えめに仕上げたケチャップライス。タマネギと豚ひき肉を炒め、あえて薄めの味付けに整えることで、卵やソースの個性が際立つつくり。サイズはSSから4Lまで、計7段階。Mサイズでライスは約220gとのことで、空腹具合に合わせて選べるのがうれしい。
いま店でもっとも人気を集めるのが「岡村牛のビーフシチューオムライス」。富士宮の岡村さんが育てる岡村牛は、黒毛和牛と乳牛を掛け合わせた牛で、赤身が多く脂のしつこさがないのが特長だという。そのすね肉を赤ワインと野菜とともに4時間煮込み、とろける柔らかさに仕上げている。濃厚なビーフシチューがふわとろの卵と出会うと、深いコクと優しい甘みが重なり、口の中がゆっくりほどけていく。酸味のあるケチャップライスのバランスもよく、食べ進めるほど余韻が広がる一皿だ。
女性人気が高いのが、彩り豊かな「たっぷり野菜のカレーオムライス」。季節によって内容は変わるが、ブロッコリーやニンジン、コーン、枝豆など12〜13種類の野菜がごろごろ入る。スパイスの香りにフルーツの甘みが混ざり、辛さよりも香りが立つ味わい。ふわとろ卵が仲立ちとなり、野菜の甘さとカレーの香りがふくよかに広がる。
ランチでも頼めるサイドディッシュ「パリのお惣菜屋さんのサラダ」も人気だ。生ハムサラダ、キャロットラペ、ごぼうのバルサミコ風味、ズッキーニのキッシュなど7〜8種類が盛り合わせになり、食卓が一気に華やぐ。野菜の甘みが際立つテリーヌは店主のおすすめで、ワインにもよく合うという。
冬季限定ながらファンが多いという「カキのグラタン」も外せない。広島県産のカキに、北海道よつ葉のチーズとホワイトソース、ほうれん草を合わせ、熱々の小さな幸福を閉じ込めたような、冬だけの特別なひと皿だ。
昼はふわとろオムライス専門店、夜はカジュアルフレンチ。静かに佇む店の二つの顔は、どちらもこの街の日常を豊かにしている。
ワイン食堂シャンティ(昼はふわとろオムライス専門)
静岡市清水区西高町1-1 コーポS1FC
電話番号:054-352-3769
定休日: 水・木曜日
営業時間:11:30-14:00 L.O.
17:30-22:00 L.O.
Pあり

