滞在しながら農業体験「ファームステイ」…外国人にも人気 フィリピン人男性の夢は〝観光農園〟 静岡・掛川市

 静岡県掛川市の「キウイフルーツカントリーJapan」。東京ドーム3個分の広大な敷地を誇る日本最大級のキウイ農園です。こちらでは、入場料を支払えば旬のキウイが食べ放題。県内外から観光客が訪れる人気スポットです。

キウイフルーツカントリーJapan 平野耕志代表:「ここはキャンプ場兼BBQ会場という形になります。キウイの畑だがここでBBQすることで、出る煙がキウイの病害虫予防になったり、燃え残った灰とか炭がキウイにとってすごくいい肥料になるので、そういうことを活用している場所です」

 自然を満喫することができる農園。ここで働いているのは…。

平野耕志代表:「今こちらでは、うちのスタッフが農作業をしています。」

マルコ・マリグメンさん:「コンニチハ~!。私はここでファームステイをしています」

 フィリピン出身のマルコ・マリグメンさん。今年4月末から、この農園で「ファームステイ」をしています。ファームステイとは、観光だけでは味わえない農業体験をしながら、日本に滞在すること。住み込みで働きながら、日本の農業や文化を学ぶことができます。

マルコ・マリグメンさん
マルコ・マリグメンさん

 農林水産省によると2023年には外国人が国内で39万泊ファームステイを体験しているといいます。こちらの園では1980年頃からファームステイの受け入れを開始し、これまでに2000人以上が農業を学んでいます。マルコさんは、週5日・1日8時間農作業を手伝っていて、代わりに宿と生活費の提供を受けています。

マルコ・マリグメンさん
Q.どうしてファームステイをしようと思った?
A.「農家の勉強。経験とテクニックとか(を学びに来た)。私はフィリピンの若い農家です」

 フィリピンでパイナップル農家をしているマルコさん。日本の農業技術だけでなく、農業と観光を組み合わせた“農業観光型”の経営モデルについても学んでいます。

 この日は収穫を終えたキウイの剪定(せんてい)作業です。

平野さん「マルちゃんこれくらい細いのは切っちゃっていい」
マルコさん「はい」
平野さん「(切りながら)これくらいね」

 日常の会話は基本的に日本語。難しい時だけ平野さんが英語でフォローをします。

平野耕志代表:「彼は農業の勉強で来てますけど、外国語を喋れるっていうのは農業界で重要なので、日本語を喋れるだけでも、彼がフィリピンに戻ってからすごく強みになると思うので、覚えてほしいって思って、日本語でコミュニケーションを取っています」

滞在しながら農業体験「ファームステイ」…外国人にも人気 フィリピン人男性の夢は〝観光農園〟 静岡・掛川市

 来日して8カ月。今では日常会話ができるほどに上達。農園に来た観光客の接客をするまでに成長しました。

マルコ・マリグメンさん:「めっちゃ楽しいです。休みの日は農業勉強します。日本語、新しい言葉、勉強します。掛川城と駅、観光しました」

 休みの日は自主的に農業と日本語の勉強を行うマルコさん。富士登山や回転寿司で食事をするなど、日本文化も積極的に体験しています。

マルコ・マリグメンさん:
Q今はどんな作業をしているんですか?
A.「今はティアドロップの収穫です」

 収穫を1人で任せてもらえるまでに成長したマルコさんについて平野代表はー

平野耕志代表:「すごく真面目に頑張っています。農作業1つにしても、フィリピンとはかなり違うので、こっち(日本)では機械も使いますし、いろんな技術が必要になってくるので、ちょとずつ覚えながら、彼なりにすごく勉強して頑張っていると思います」

マルコ・マリグメンさん:「ここで学んだ作業や管理方法を、自分の農園で育てているパイナップルの生産にも生かしたい。将来的には、平野さんのように、自分の農園をもっと有名にして、海外にも商品を届けられるような存在になりたい」

滞在しながら農業体験「ファームステイ」…外国人にも人気 フィリピン人男性の夢は〝観光農園〟 静岡・掛川市

 まるで親子のような関係性の2人。

マルコさん「(平野さんは)めっちゃ優しいです。」
平野さん「ハハハハハ。怖い時もあるよね?」
マルコさん「(笑)」

 そもそも、なぜファームステイを受け入れているのでしょうか。

平野耕志代表:「海外の方が来てくれることで、私たちにも新しい発見や気づきがあるので、お互いの良い学び合いになっていると思う点がたくさんある、母国に帰って活躍してほしいなという気持ちもあって、両国の農業の活性化に繋がるんじゃないかなと感じているので引き受けをしている」

 こちらの農園では、日帰りから長期滞在まで、様々なスタイルでファームステイが可能で、キャンプをしながら農業体験をすることもできます。

平野耕志代表:「将来的には彼らが来なくなることが大事かなと思う。今度はビジネスパートナーとか、そういう展開になっていったら嬉しいなと。彼が2つの国で農業するとか、そういったグローバルな視点で農家っていうのも、これから成長していければな」

滞在しながら農業体験「ファームステイ」…外国人にも人気 フィリピン人男性の夢は〝観光農園〟 静岡・掛川市

 ファームステイで日本の農業を学ぶマルコさん。胸に抱く“夢”は。

マルコ・マリグメンさん:「フィリピンの仲間たちにもこの知識を共有し、いずれは自分の農園も“観光農園”のように発展させ、国内外の多くの人に知ってもらえる農園にするのが夢です。諦めないで、仕事毎日頑張ります」

滞在しながら農業体験「ファームステイ」…外国人にも人気 フィリピン人男性の夢は〝観光農園〟 静岡・掛川市
  • 駿河湾フェリー
  • 静岡クリスマスマーケット2025