令和のコメ騒動…備蓄米放出に長い行列 今年の収穫量は1割増でも安くならないワケ /静岡の2025年
静岡市10代女性「お米が高くなったな。探しに行ってもお米が無かった」
静岡市20代女性「お米の高騰ですかね、家計苦しめかな」
富士市20代女性「お米の値段が上がったことです。パンに代わりました、ご飯が」
令和の米騒動その行方は…
5月。価格高騰の中、迎えた田植えシーズン。富士市でコメ作りを営む高橋さんは、東京ドーム4個分の田んぼに、およそ1カ月かけて苗を植えていきます。
やまたか農場 高橋梓さん:「何がどうなってそこまでの金額になっているのかなって疑問がある。ほとんどの農家が新米が取れた時に集荷業者に全部出荷している。その価格だったのに、なぜいま上がっているんだろう。どうなのかな、これが適正価格なのかな」
備蓄米に長蛇の列
コメ不足に対し政府がとった対策が「備蓄米」の放出。6月。沼津のスーパーではこんな光景も…
消費者「午前4時半から並んでます。少しでも安いお米を買いたかったので」
安いコメを求めて多くの人が殺到しました。政府が備蓄米の追加放出を発表して2カ月後の8月。スーパーでの販売の現場を訪ねると…
伊地健治アナウンサー:「いま見た感じ、売り場にびっしりと並んでいる」
富士市ポテト中里店 工藤哲也店長:「2~3カ月前(4-5月)は商品が2点3点なくなると、欠品してる状態でした」
売り場に米はあるものの、並んでいたのは…。
伊地アナ:「5kgで3855円ですね」
4000円を切っていたブレンド米、そして2000円台の輸入米でした。備蓄米は入荷が未定。売り場を空にしたくないというスーパー側の思いが見えました。
いよいよ、新米の時期に突入した10月。こんな発言も…
去年の1割増の収穫量も…
小泉進次郎農水大臣:「この約10年で最大の増産ですから、コメが足りなくなることはないとご理解いただき、必要な時に必要なだけのコメを安心して買い求めていただきたい」
今年、主食用のコメの収穫量はおよそ747万トン。去年より68万トン増えて、2016年以来9年ぶりに740万トンを超えました。農水省は、全国的に作付面積の増加に加えて、多くの地域で天候に恵まれたことが、増加につながったとしています。静岡県の収穫量は、およそ7万6700t。これは前年に比べ1割ほど増えています。
ところが消費者は…
富士市20代女性「ご飯おいしいので食べたいんですけど、高いから食べられないのが悲しいです」
静岡市20代女性「一番安いのはどれかなって見るので、そういう手間をする度にやっぱり高いって感じます」
豊作なのに価格が下がらないのはなぜ
これは「スーパー」でのコメ5キロあたりの平均価格の推移です。11月末に過去最高値4335円を更新、12月に入っても4321円と依然、高止まりがつづいています。新米が出て来たのに、価格が大きく下がらないのはなぜなのか。コメの流通に詳しい専門家に聞きました。
品薄で苦労したので業者が早めに契約…価格が下がりにくく
流通経済研究所 折笠俊輔主席研究員:「JAとか集荷業者が令和6年産米が不足して苦労したので、米があればとりあえず契約しとけと取り合いになって価格が上がっていったのが、令和7年産の新米。生産者間の買取価格が高い値段で早めに決まっていたので、実際は令和7年産米はかなり余ってきてますけど、値段が下がりにくいということです」
倉庫には新米の山
これは県外のある卸業者の倉庫、11月中旬には大量の新米が積みあがっていました。県内でも…
加戸米飯代表 加戸宏典さん:「まだまだ備蓄米が並んでいないものもありますし、輸入米、ブレンド米の安いものから徐々に売れていってる状態。令和7年産の銘柄米という高値の物は最後まで残ってしまう」
静岡県東部を中心にコメの卸を行っている「加戸米飯」。米を年間500トン扱う卸業を営んでいます。問屋、JAなど集荷業者、時には農家から直接コメを購入し、県東部の飲食店やスーパーなどに販売しています。
お米が積まれていてコメ余りの状況がある一方で、ここは?
加戸米販 加戸宏典さん:「タイムリーな仕入れで、なるべく安いものをお客さんに提供できるように仕入しているので、逆に在庫が少ない」
新米は早く契約し『在庫』に
Q.いろいろな米の銘柄コシヒカリ。富山・静岡・福島のお米もありますけど、このあたりはどういうお米なんですか?
加戸米販 加戸宏典さん:「問屋集荷業者が米余りの物を投げてきている」
Q.米余りの物を投げてきている?
A.「換金するような形で提供してきているので、そういうものを安く仕入れさせてもらっている」
ただ、こちらの5キロ5千円相当の新米は…
加戸米販 加戸宏典さん:「令和7年新潟産。割と早い段階で仕入れしたもんですから、値段の高かったものを持ってる。高く買って在庫としてもってる。安いものが出てくるとこういうものも、損をしてでも下げざるを得ない状況。我々も上がった分、そのまま販売は難しかったりした。1年2年でしたね、この米騒動」
ではいつ安くなるのか? コメの流通にくわしい専門家は
流通経済研究所 折笠俊輔主席研究員:「もう下がり基調にはなっている。業者間の取引価格とかも店頭に影響してくるのは2-3週間遅れてくるので、1月中旬以降価格は下がっていくと思われます」
コメ作りの苦労を知れば、今までが安すぎたと言われるお米の販売価格。落ち着く先は…
加戸米販 加戸宏典さん:「5kg3000円ぐらいのところで落ち着くんじゃないかな、と言われている問屋集荷業者がいるので、その辺が米の流通の落としどころじゃないかなと私は思ってます」
