安定供給に期待の『陸上養殖』 すし職人絶賛も9割は輸入に頼る「バナメイエビ」 静岡・磐田市
幅広い世代に人気のサーモンに、高級魚(クエタマ)まで。県内各地で行われている水産物の「陸上養殖」。大量生産に成功すれば物価高騰に「待った」をかけることにも期待が集まる中、注目の施設が県内に…。
NTTグリーン&フード 横井優子さん:「こちらがNTTグリーン&フードでバナメイエビの養殖をしている放水槽になる」
Q.エビの陸上養殖施設ということ?
A.「そうです。エビの陸上養殖です」
2年前、磐田市に完成した、エビの陸上養殖施設。もともとは、自動車メーカー・スズキの部品工場でしたが、「NTTグリーン&フード」が工場を借り上げ、いまは“エビを育てる工場”として生まれ変わりました。
NTTグリーン&フード 横井優子さん
Q.何匹ぐらい水槽にエビがいる?
A.「だいたい10万尾ほどここに入っている」
Q.(水槽が)いくつあるんですか?
A.「全部で16個あります」
Q.てことは、160万尾?
A.「ぐらいはエビの赤ちゃんが入る施設になる」
Q.その量は国内で見るとどれぐらいの規模?
A.「国内最大級になる」
Q.そうですか! まさか磐田にあるとは思いませんでした。
こちらの施設で養殖されているのは、食用として広く流通している「バナメイエビ」。エビチリやパスタなどでも使われることの多い“あのエビ”です。ただ、日本で流通しているおよそ9割は海外からの輸入品で、安定供給への不安が指摘されています。また、現在は輸送コストの上昇などを背景に価格も上昇傾向に。そのため、安定供給のカギを握っているのがこの「陸上養殖」なんです。
NTTグリーン&フード 横井優子さん:「陸上養殖には大きく3つの養殖方式があり、(施設の養殖方式は)バイオフロック方式と言って、この水はバイオフロック方式になる。特殊な消化細菌とエビを共存させて、このなかで水を一切抜かずに使い続けるというもの」
一見、濁っているようにも見えるこちらの水槽ですが、なかにいるのは大量の“微生物”。実はこれが“バイオフロック”と呼ばれるもので、エビの排せつ物や食べ残しを分解し、自動で水を浄化してくれるという技術なんです。他にも陸上養殖には、海のように外部から細菌やウイルスが侵入するリスクがほとんどなく、安定した供給につなげられるというメリットも。
こちらの施設ではさらに、出荷直前にもある工夫を行っているといいます。
NTTグリーン&フード 横井優子さん:「1日エビにエサを与えずに絶食させて、きれいな状態で出荷している。いわゆる東南アジアの沼みたいなところで(養殖されたエビは)、腸管がそのままだとものによってはガリっとする、砂が入っていたりする。それが嫌なので、飲食店の料理人は必ずに背ワタを取っているが、私たち(の養殖エビ)は背ワタが残っていてもそのまま食べられるので」
“陸上養殖エビ”の味は
現在、年間100トン以上を生産しているという磐田の“陸上養殖エビ”。気になるそのお味は…。
能地アナ:これはもうこのまま?
横井さん:「頭から食べられます」
能地アナ:(食べて)最初びっくりしたのが食感! プリップリですね!
横井さん:「海外(の養殖)だと、どうしても自分を守ろうと殻が固くなる。うちはストレスフリーな環境なんで、殻が全体的に柔らかくなる。そうすれば頭から食べると食品ロスにもなるし、栄養を丸ごととれるので」
能地アナ:ちょっと驚きです、正直。すごい。
この磐田産のエビ。すでに県内の飲食店でも…。
横井優子さん:「だいたい10万尾ほどここに入っている」
能地アナ:10万尾!
磐田市で陸上養殖されている「バナメイエビ」。安定供給に向けて注目される中、市内の飲食店では…。
沖之寿司 甲賀進一代表
Q.ここにあるのが陸上養殖されたエビ?
A.「そうです」
Q.どうですか、陸上養殖のエビは?
やっぱり評判はいい。車エビに負けないくらいのプリプリ感と見た目で、磐田の顔になる食材だと思ってずっと使っている」
磐田市で30年以上店を構えている沖之寿司。養殖場の完成後すぐに、“磐田産”のエビを使い始め、現在では店のおすすめメニューの一つに。仕入れているのは養殖されたなかでも一番大きい特大サイズのエビで、プロの料理人から見るとこんな特徴があるといいます。
沖之寿司 甲賀進一代表:「食感がプリプリという言葉じゃ表せないほどブリブリで。筋肉質でマッチョのエビなんで。噛みながら、うまみと甘みが出てきて、それがまたうちのシャリにマッチして、ひとつの寿司として完成しているので、これは塩で食べても醤油で食べてもすごい」
握りたての陸上養殖エビ。おすすめだという岩塩をかけていただきます。
食レポ
「(食べて)すごい!弾力がもうブリンブリンです! 身に歯が入るとちょっと跳ね返ってくる感じがある。うまみも甘みも濃いし、濃厚です」
輸入に頼るエビだからこそ、地元で育て、地元で味わう取り組み。食の安心だけでなく、地域の新たな産業としても期待されています。
沖之寿司 甲賀進一代表:「本当に(陸上養殖エビは)誇りに思うし、地元愛をみなさんにどんどん広めていって、そういったPRに少しでも貢献できるように一生懸命やりたい。日本最大級の養殖ができるということで、日本中の寿司屋がこのエビを使ってもらえるようになるとうれしい」
