老舗の酒蔵がつくる『みりん』 酒蔵の強み生かした「味」にファン急増 「みりんドリンク」も登場 今年は「みりんコーラ」販売へ 静岡・藤枝市
笹村アナリポ「んーっ!うわっ!衝撃の甘さです。こんな甘いんですか?」
7代目 杉井健太郎さん「そうですね。」
笹村朱里アナウンサー:「ここに、日本酒杉錦と書いてあります。建物を見てみると…ものすごく趣があります。」
1838年(天保9年)、江戸時代に創業した杉井酒造。藤枝市でこだわりの地酒を造り続けてきた、老舗の酒蔵です。案内してくれたのは、杉井酒造7代目、杜氏でもある杉井健太郎さん。いったいどんな商品を作っているのでしょうか?
笹村アナ:「失礼致します!…すごい!かなり種類があります!」
杉井酒造では、純米大吟醸をはじめ…焼酎、そしてお酢なども作っています。
看板商品の1つ、純米大吟醸を試飲させて頂きました!
笹村アナ「いただきます。ん―っ!うわっ、ものすごくフルーティーです。上品な甘さなんですけれども、しっかりお米の味わい、コクを感じます。」
実は杉井酒造、酒蔵では珍しいあるものも作っているんです。
杉井酒造7代目 杉井健太郎さん「今、ここで、みりんを熟成させています」
笹村アナ「この場所で?」
杉井さん「はい」
それは…みりん! みりんといえば、言わずと知れた和食には欠かせない調味料。杉井酒造では、明治の頃から100年以上に渡って、みりんを作り続けています。実はみりんを作る酒蔵は、全国的に見ても希少なんです。
酒蔵で作るみりん。どのようにして作っているのでしょうか?
笹村アナ「作業をしている方がいるんですけど…」
杉井さん「この中には、もち米と、米麴と焼酎が入っていまして、まだ、固体と液体の部分が混じってるので、それをかき混ぜる作業をしています」
まず焼酎に、蒸したもち米と、米麹を入れ、2か月間熟成させ、もろみに。昔ながらのみりんの製法です。
笹村アナ「こうなってるんですね。えっ、これみりんですか?」
杉井さん「そうですね、みりんを絞る前の物になります。」
笹村アナ「麹はどういう役割?」
杉井さん「麹はもち米を糖化させて、(みりんを)甘くさせるために、入れています」
この熟成させる2か月の間に、米麹に含まれる酵素がもち米のデンプンを分解し糖に。みりんの自然な甘みは、”糖化”と呼ばれるこの工程から産み出されます。
酒蔵の強み生かして「みりんづくり」
そして、杉井酒造が使うみりんの原料には、酒蔵ならではの強みが…
笹村アナ「(みりんの原料として使っている)焼酎は、どこでも入手できるもの?」
杉井さん「弊社は、日本酒も作っておりますので、その日本酒で出た酒粕を用いて、酒粕から作った粕取り焼酎になります」
酒蔵ならではの強みを生かしたみりん作り。多くのこだわりが詰まっています。
Q.自家製焼酎を使う理由は?
杉井さん「粕取り焼酎を使うと、みりんの風味が良くなります。で、自分で焼酎を作りますと、その風味をどれだけ出すかコントロールできる」
私が酒蔵にお邪魔したこの日は、みりん作りの最終工程が行われていました。
杉井さん「今、みりんは米と液体部分が混じった状態にあるので、それを袋の中に入れて、圧力をかけて搾っていく、という作業を行っていきます」
まず、樽に入ったもろみをホースを通じ、酒袋(さかぶくろ)と呼ばれる専用の袋に移し替えてもろみを入れた袋を圧搾機にセット。
船と呼ばれる圧搾機の底にセット。上から重しをのせ、みりんを絞り出していくのですが、その際、重しの圧力を、袋に均等にかける必要があるため、酒袋は整然と積んでいかなくてはなりません。
Q.この作業の難しい点は?
A.「しっかり、正確に積んでやらないと、うまく絞れない。気も遣わなくてはいけない」
笹村アナ「これはまさに職人技ですよね」
A.「そういう風に見て頂ければ嬉しい」
笹村アナ「何年ぐらい、この作業に携わってるんですか?」
「えっーと、40年くらい…」
と、ここで、驚きの事実が…
社員「ちょっと社長、持ってもらっていいですか?」
均之介さん「はい」
杉井酒造6代目代表 杉井均之介さん
笹村アナ「社長ですか?」
均之介さん「はい」
笹村アナ「えっ?…6代目?」
均之介さん「はい」
笹村アナ「失礼致しました!」
こちらが6代目の均之介さん。親子2人3脚で、酒蔵を守っています。
笹村アナ「だんだんと、蓋と呼ばれるものが降りてきています」
酒袋を並べ終えると、重しをのせ圧力をかけて、袋の中のもろみを搾り、みりん粕と呼ばれる固形分、そして液体のみりんとに分離していきます。これがまさに搾りたてのみりん。
笹村アナ「非常にいい香りがしています。いやー、こんな光景初めて見ました」
実はもろみからみりんを搾りだす工程は、全て機械で行うことも可能。しかし、杉井酒造では、もろみを酒袋に移し替える工程、重しの圧が均等にかかるよう、酒袋を積んでいく工程など、あえて手作業で行っています。
杉井酒造7代目専務杜氏 杉井健太郎さん
Q.手作業にこだわる理由は?
A.「みりんだと、こちらの機械を利用すると、(雑菌が入って)腐りやすくなってしまって、火入れが必要になります。ただ、火を入れてしまうと、香りも同時に飛んでしまうので、風味を保つためには、手作業でやった方がいい」
原料には、自家製の焼酎を使い、搾りの工程は手作業で。こうした妥協のない姿勢が、おいしいみりんを生み出しています。
丹精込めて作られた杉井酒造のみりん。そのお味は…。
笹村アナ「いただきます! うわっ!衝撃の甘さです。こんな甘いんですか?」
杉井さん「そうですね。」
「えっ!…砂糖では出せないような、丸みを感じる、そんな甘さです。深みと、複雑さを感じられます」
杉井酒造が作り続けているみりん。その味には、多くのファンが…。
伊達巻き
丸生食品3代目代表取締役 松本一幸さん「失礼します!こんにちは、よろしくお願いします!」
丸生食品・3代目 松本さん「自社製品になります。」
ディレクター「こちらが?」
松本さん「うち、(製造しているのは)伊達巻きだけなんですけれども」
ディレクター「伊達巻きだけ?」
松本さん「はい」
伊達巻きはご存知の通り、魚のすり身を使った、卵料理の一種。甘みを加え、魚の臭いを消すなどのため、みりんや、みりん風調味料が使われます。伊達巻きの製造に特化したこちらの会社の商品の中から、杉井酒造のみりんを使った伊達巻と、ベーシックな伊達巻を、ディレクターが食べ比べさせていただきました。
ディレクター「身が詰まったかんじがする、あと甘みもしっかりあって」
ディレクター「続いて、杉井酒造さんのみりんが入っている伊達巻。いただきます! おいしいです。こっちの方がすごい、ふわって甘みが広がるのと、あと、甘さが自然なかんじがします」
松本さん「それが、みりんの甘みだと思います。」
丸生食品・3代目松本さん
Q,どうして杉井酒造のみりんを使うのか?
A.「上品な甘みで、他の発酵調味料だったり、他社さんのみりんに比べて、奥行きがあるというか、甘みがしっかりしてるというか…。(杉井酒造のみりん)が無くなっちゃうと困る」
ミリンレモネード
この杉井酒造のみりん、調味料としてではなく、ドリンクとして提供するお店も…
笹村アナ「小川港魚河岸食堂に来ています。焼津の港でとれた、新鮮な魚をお手頃価格で楽しむことができる人気なお店です。実はこの4月から、このお店で、杉井酒造のみりんを使ったメニューの提供を始めたそうなんです」
笹村アナ「すごい、メニューの数が、すごい数ですよ。これですね、レモネードって書いてあるんですけども、ここに、ミリンレモネードって書いてあります」
そのドリンクとは…杉井酒造のみりんを、牧之原産のレモンと炭酸で割った、ミリンレモネード!
焼津で人気!みりんを使ったレモネードその味とは?
笹村アナ「それでは炭酸を入れます! おーっ…キレイな色合いです!」
みりんを使ったレモネード。想像の斜め上をいくそのお味は?
笹村アナ「いただきます!うん、うーん!すごい!。レモネードなのに、みりんを感じます。最初はさわやかなレモンの香りが来るんですけれども、その後に、上品なみりんの甘さがやってきます」
小川港魚河岸食堂店長 椿原祐司さん「結構いい評判を頂いております。リピート率が高い印象。砂糖は極力使わないで、なんとかできないかと。そういえば、藤枝、地元の酒蔵さん、杉井酒造さんでみりんがあるなと。試行錯誤しながら、商品完成まで至った」
古くは、高級酒として飲まれていたみりん。江戸時代後期に入ると、和食に欠かせない調味料としても利用されるようになります。しかし、みりん風調味料の普及などもあって、次第にみりんには「安い調味料」というイメージができあがってしまったと杉井さんは言います。
みりんコーラ
そんなみりんを再び盛り上げていこうと、杉井さんには今、取り組んでいることが…
笹村アナ「あっ、えっ?なんかものすごくスパイスの香りがします」
杉井さん「(樽の)中で、クラフトコーラを作っております」
笹村アナ「えっ?」
それは、みりんを使ったクラフトコーラの製造。参考にするためのレシピから、材料となるスパイスまで、全て自ら調べて調達。100回以上もの試作を重ね、作り上げました。
みりんに、ショウガやシナモンなど様々なスパイスを加えて作ったクラフトコーラ。どんな味なんでしょう?
笹村アナ試飲「じゃあ、いただきます! …うん!クラフトコーラの味わいプラス、しっかりスパイスがやってきて、あとからほんのり、みりんも感じられます..新感覚ですね、これは。」
Q.なぜみりんを使ったコーラを作ろうと?
杉井さん「みりんは、調味料のイメージがありますので、なかなか飲まないですよね。そのイメージを壊そうと思って、みりんを使ったクラフトコーラを作りました」
みりんを使ったこのクラフトコーラ。来月から、県内の酒店などで販売を開始する予定です。
杉井健太郎さん「スーパーに行くと、安さばかり見られてしまって…その安さに勝つためには、本当においしいものを作らなければならない。ちゃんと、昔ながらの製法の、しっかりとした原料を使った製品を広げていきたい。」