二酸化炭素「排出ゼロ」目指し開発中 水素で走るゴルフカーに「水素バーナー」 静岡・磐田市

 日本の経済成長のカギを握る、巨大プロジェクトが始動します。

高市総理:「高市内閣では大小の産業クラスターを戦略的に形成することによって、地域での投資を促進し、働く場所を作り、それを支える人材育成のエコシステムを生み出します。予見可能性の高い予算措置のもとで、国と地方自治体が二人三脚で日本列島に産業クラスターの花を咲かせてまいります」

 「強い経済」の実現に向けた成長戦略の柱の一つとして、打ち出されたのが、「産業クラスター」という考え方。全国を10のブロックに分けて、それぞれ重点分野を設定し、次世代ビジネスの“強力なかたまり”をつくる、国家戦略です。

 静岡県で産業クラスター形成の“将来性”が評価されているのは、「海洋」、「光・電子」、「航空・宇宙」、「医療健康」といった分野。ただ、“ものづくり県”の静岡には、その枠に収まらない、技術革新に向けた取り組みが…!

大場舞桜アナウンサー
大場舞桜アナウンサー

ヤマハ発動機

大場舞桜アナウンサー
「やってきたのは、磐田市のヤマハ発動機・本社です。世界的な乗り物メーカーの頭脳が集まるこの場所で今、“水素”を使った“あるもの”の開発が進んでいるんです」

 ヤマハ発動機の雪島さんの案内で向かった先にあったのは…!

二酸化炭素「排出ゼロ」目指し開発中 水素で走るゴルフカーに「水素バーナー」 静岡・磐田市

雪島さん:「見た感じは普通のゴルフカーなんですけど、そこにH2と書いてあるように、水素で走るゴルフカーになります」

 ヤマハ発動機が開発を進めているのが、「水素モビリティ」。エンジンを動かす燃料が水素のため、排出されるのは、「二酸化炭素」ではなく、「水」。環境にも配慮されたモビリティです。

雪島さん:「ここがいわゆるエンジンルームなんですけど、元々ガソリンエンジンだったものを水素エンジンに改造した試作車。燃料を噴射する部品を水素専用に変えていて、それ以外はほとんどガソリンエンジンと部品をそのまま流用しています。燃料タンクはこの下に入っていて、ここに水素のタンクが入っています」

 まだ世界に2台しかないという、水素エンジンのゴルフカー。特別に試乗させていただきました!

二酸化炭素「排出ゼロ」目指し開発中 水素で走るゴルフカーに「水素バーナー」 静岡・磐田市

大場アナ:「エンジンスタート!おお!エンジン音は普通のガソリンと変わらないですね」
雪島さん:「変わらないです。独特の振動もエンジン??のままですね」
大場アナ:「でも今CO2は出ていないということですよね?」
雪島さん:「そうですね。排気ガスのにおいも全然しないと思う」
大場アナ:「まったくしないです」
雪島さん:「ガソリンエンジンだと排気ガスのにおいが気になるけど、そこがまったくしないのが特徴」
大場アナ:「走っていても空気を汚さないってことですもんね」

 ガソリン車と同じような乗り心地を維持できる、水素モビリティ。水素の充填は数分で済み、部品やパーツも、ガソリンエンジンから流用できるものが多く、エンジンづくりのノウハウを生かせるといいます。

ヤマハ発動機水素エンジン実験グループ 雪島涼さん:「地球環境のことも考えながら製品づくりをしていかないといけない。キーワードはカーボンニュートラルの対応だと思っています」

 とはいえ、水素エンジンには課題も…。

 同じ燃料タンクを使った場合、気体である水素は、ガソリンの7分の1ほどしか充填できず、走行距離を延ばすことが難しいのが現状です。燃えやすいという特徴もあり、安全性を担保するため、様々な安全対策も講じてきました。

ヤマハ発動機水素エンジン実験グループ 雪島涼さん:「すごく苦労も多かったけど、やっとここまで来た。私自身もエンジンが好きですし、カーボンニュートラルの時代でも、エンジンを悪者にしない、その辺が使命感」

 高い技術力を持つエンジンメーカーが手がける、「水素」の研究。その研究は、モビリティーにとどまりません。

二酸化炭素をなくす実証実験

大場アナ:「森町工場にやってきましたけど、あちら、「未森」って書いてあります。この施設では二酸化炭素をなくす実証実験が行われているそうなんです」

 未来と森をかけあわせた、「未森(みもり)」。水素を活用することで製造工程での、二酸化炭素の排出「実質ゼロ」を目指す、実証実験施設です。去年、稼働が始まったばかり。メディア初公開となる、最新の施設には…。

二酸化炭素「排出ゼロ」目指し開発中 水素で走るゴルフカーに「水素バーナー」 静岡・磐田市

大場アナ:「ここの機械では今何をしている?」
鈴木さん:「この機械では水素バーナーを使用してアルミを溶かしています」

 中の様子を覗いてみると…。

大場アナ:「ええ!すごい!もうアルミどろどろに溶けています!滴っていますね~。上からどんどん溶岩のように流れてきています」

 こちらが実証実験を進めている「水素バーナー」です。施設全体に張りめぐらされたパイプから水素を供給し、二酸化炭素を出さない、“エコな炎”を実現。将来的には、製造ライン全体への技術展開を見据えています。

二酸化炭素「排出ゼロ」目指し開発中 水素で走るゴルフカーに「水素バーナー」 静岡・磐田市

大場アナ:「すごくドロドロに溶けているけど、あまり火が見えないですね」
鈴木さん:「そうですね。それが水素ガスの特徴で、化石燃料に比べて炎が見えづらいのが水素の特徴です」

 こちらは、水素と都市ガス=LNGの炎を比較した映像。

 炭素を含む化石燃料は、燃焼時の化学反応として、二酸化炭素を排出すると同時に光を出しますが、炭素を含まない水素は、光をほとんど発しないといいます。

大場アナ:「水素にすることでCO2の排出はどれくらい削減できる?」
鈴木さん:「理論上は水素に完全に転換できればゼロになる」
大場アナ:「その未来って近くにある?」
鈴木さん:「近くにあるといいですね」

二酸化炭素「排出ゼロ」目指し開発中 水素で走るゴルフカーに「水素バーナー」 静岡・磐田市

 しかし、こちらも、まだまだ課題が…。

 同じ熱量を確保するのに水素は都市ガスの3倍の量が必要で、輸送費なども加わると、現状かかるコストは10倍以上。また、鋳造するために溶かしたアルミにも水素が含まれてしまい、製品の強度を保つ対応も課題となっています。

ヤマハ発動機CN工法開発グループ 鈴木芳典さん:「一番はCO2をなくすことなので、インフラが整わないと生産利用というのは難しい。主要部にインフラが整えば技術の展開は進んでいくと思うので、そこのインフラ展開に期待している」

 技術革新とカーボンニュートラルの両立へ―。静岡から、“エネルギー革命”が進んでいくかもしれません。

二酸化炭素「排出ゼロ」目指し開発中 水素で走るゴルフカーに「水素バーナー」 静岡・磐田市