【リニア】静岡・川勝知事「ボーリングは即やめるべき」 海外に『飛び火』した静岡問題 /今週の静岡

 リニア工事でJR東海が始めたボーリングについて、静岡県の川勝平太知事は「即やめるべきだ」と話しました。そして、静岡問題がアメリカでも影響が出ているようです。

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【リニア】静岡・川勝知事「ボーリングは即やめるべき」 海外に『飛び火』した静岡問題 /今週の静岡

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JR東海がボーリング開始

 リニア中央新幹線のトンネル工事が計画されている南アルプス。2月27日、その南アルプスを上空から眺めてみると…。半月状の湖が特徴的な田代ダムは、半分ほどが氷に覆われていました。

 リニア工事の静岡工区で最も北にある「西俣ヤード」には、工事のものとみられる建設資材は置かれていましたが、建物や人の姿は見られませんでした。

画像: JR東海がボーリング開始

 しかし、同じ南アルプスでも、東側の山梨工区では静岡県側に向かって着々とトンネル工事が進められています。その先端は、県境からおよそ800mの所まで迫っています。

JR東海の文書(2月20日付)
「2月21日より、山梨県内でのボーリング調査を進めてまいります」

 JR東海は本体工事の前に小さな穴をあけ、地質や湧水の「調査」をするためという主旨で、山梨県内でボーリングを先週からスタートしました。ボーリングでは、湧き出た水の量を継続的に測ること、県境100mに近づいてからは、特に慎重に作業を行い、湧水の量が基準を超える場合は、作業を中断して対応を検討することなどが、JR東海から示されています。

「静岡県の水が山梨県側に流れ出る恐れがある」

 一方、静岡県の川勝平太知事は2月28日の会見で、これまでに不安を解消するための説明を求めているにも関わらず、一方的にボーリングを始めたなどと反発。JR東海の姿勢を批判しました。

静岡県 川勝平太知事:「何を急がれているのかという感じ。今ボーリングをする差し迫った必要性は必ずしもない。彼ら(JR東海)の資料に基づくと、静岡県側における断層帯と、山梨県側の断層帯は明らかに繋がっていると読み取れると、これの説明が必要である」

画像: 「静岡県の水が山梨県側に流れ出る恐れがある」

 知事は、JR東海の資料を使って、県境付近から山梨県側にある地質のもろい区間と静岡県側にある断層帯が繋がっている可能性を指摘。ボーリングを進めることで、静岡県の水が山梨県側に流れ出る恐れがあると強調したのです。さらに、JR東海が特に慎重を期すとする、県境から100メートルの区間についても設定の根拠に疑問があるため、3月中旬までに専門部会を開き、こうした懸念に対する説明をJR東海に求めることを明らかにしました。

川勝知事:「やっぱり説明してもらわなきゃいかんと。説明するまで、こちらが納得するまで、双方向のコミュニケーションがきっちりできるまでは工事に着手するべきではないと、即やめるべきである」

JR東海はボーリングの進捗状況をホームページで公開

 こうした中、JR東海は2月28日からボーリングの進捗状況について、ホームページ上での公開をはじめました。ボーリングは県境から815メートルの地点から始まり、2月21日から25日までの5日間で、掘り進めたのは50メートル。湧き出た水の量は、1週間平均で毎秒10mlとなっています。

リニア問題がアメリカにも『飛び火』?

 水問題をめぐり、議論が続くリニア問題。2027年に予定される品川―名古屋間での開業が見通せない一方で、この影響が日本から遠く離れたアメリカでも出てくる可能性が持ち上がっています。

 2月、JR東海の柘植会長がニューヨークを訪問、100人余りの聴衆を前に、リニアの魅力をアピールしました。

画像: リニア問題がアメリカにも『飛び火』?

JR東海 柘植康英会長(ニューヨーク 2月22日):「当社はワシントンからニューヨーク間を超電導リニアで1時間で結ぶことを目指す。東海道マグレブプロジェクトに取り組でいる」

 2月、JR東海の柘植康英会長がニューヨークを訪問、100人余りの聴衆を前に、リニアの魅力などをアピールしました。

JR東海 柘植康英会長(ニューヨーク・2月22日):「東京、名古屋、大阪を1時間で結ぶことで、約6600万人という世界最大のひとつの巨大都市圏、メガリージョンが誕生して、日本の経済、社会に革新的な便益と発展の可能性をもたらします」

 JR東海は、超電導リニア技術のアメリカへの輸出を計画していて、ニューヨークと首都ワシントンを1時間で結ぶプロジェクトを進めています。早ければ10年後には、第1段階の路線をワシントン―ボルティモア間で完成させる予定です。

 そのアメリカの地で記者から静岡県に関する質問が…。

記者:「静岡の工事の遅れによって、2027年開業の見通しが立たなくなっているが、この遅れが北東回廊プロジェクトに与える影響をどのように考えているのか?」

JR東海 柘植康英会長:「本当は、日本で営業を開始されてから、アメリカでいろいろな活動を進めるのが望ましい形だと思う。インフラというのはスタートから営業開始までに非常に時間のかかる作業。時間はかかるかもしれないが、この素晴らしいプロジェクトの実現に向けて一生懸命やっていきたい」

川勝知事「リニアの技術は日本独自のもの」

 アメリカでも注目が集まる「リニア」の技術。静岡県の川勝知事はどう見ているのでしょうか。

静岡県 川勝平太知事(2月28日):「10cm浮かせて時速500km以上で走ることは、他国ではできない。この技術は高く評価している。リニアは長い歴史がある。宮崎の実験線から含めても半世紀近い歴史がある。この技術は日本独自のものです」

【解説は映像で】

画像: 川勝知事「リニアの技術は日本独自のもの」