【独自試算】浮上の「サンラグ式」 前回選試算では与党の議席占有率ほぼ変わらず 野党は“明暗” 「中小政党に有利」の触れ込みも…狙いは野党の切り崩しか

 次の臨時国会では先の国会から持ち越しとなった「議員定数の削減」が重要テーマの一つとなる見込みだ。先月10日に開かれた、衆議院の選挙制度改革をめぐる与野党の「選挙制度協議会」。鈴木馨祐座長(自民党)は、比例(定数176)の議席配分方式として「サンラグ式」を導入するなどの改革の骨子案を示した。現行の「ドント式」と比べ中小政党に比較的有利な議席配分方式とされ、比例定数45減を目指す与党による“野党の懐柔策”との狙いも透けて見える。

 しかし、静岡朝日テレビが鈴木座長の試案に基づき、2月の衆院選の結果から各党の獲得議席を「サンラグ式」で試算した結果、自民党・日本維新の会の与党は議席を減らすものの、小選挙区を含めた与党の議席占有率は「横ばい」となることが分かった。

【独自試算】浮上の「サンラグ式」 前回選試算では与党の議席占有率ほぼ変わらず 野党は“明暗” 「中小政党に有利」の触れ込みも…狙いは野党の切り崩しか

■浮上の「サンラグ式」 狙いは?

 鈴木座長が提示したのは、比例復活当選の厳格化や比例定数配分方式の見直しなどの試案。現在は小選挙区での得票率が1割を超えれば比例で復活当選できるが、案では「得票率6分の1以上」への引き上げのほか、「惜敗率3割以上または5割以上」が新たな基準として示された。2月の衆院選では、自民党が名簿不足から14議席を他党に譲り渡したが、試案では名簿不足が発生した場合、「他党に配分せず欠員」としている。与野党の意見の隔たりが大きく、秋の臨時国会に持ち越しとなった議員定数は「P(調整中)」として明記を避けた。サンラグ式については、「小選挙区と比例代表の議席数の割合が大きく変化する場合、民意の集約と反映のバランスの観点から検討すべき」として盛り込まれた。

 静岡朝日テレビでは議員定数を「比例で45議席削減」と仮定し、2025年国勢調査の速報値から各ブロックの定数を算出。試算は①現行のドント式、②サンラグ式で配分+比例復活当選の基準を「惜敗率30%以上・得票率6分の1以上」、③サンラグ式で配分+比例復活当選の基準を「惜敗率50%以上・得票率6分の1以上」とした場合の3パターンで行った。(添付の表を参照)

 惜敗率にかかわらず21議席減の自民党が最も多くの議席を減らし、67議席から46議席に。連立を組む維新は16議席から8~10議席減らし、ほぼ半減となった。

 野党では明暗が分かれる結果に。共産・れいわ・保守の3党は現行のドント式で定数削減を行えば、議席が「減少またはゼロ」になるが、サンラグ式を導入した場合はいずれも議席増に転じる。共産党は倍増の6議席、れいわ新選組(現・いのちの党)もゼロから2議席となり、現在衆院で議席を持たない保守も近畿ブロックで1議席獲得できる。

 一方で、中道改革連合は42議席から27議席へと約4割減。名簿不足で獲得した議席がゼロになることも影響し、大幅減となった。現有議席の半数以下となったのが参政党。所属15人のうち14人が比例復活当選で、惜敗率は40%以下。復活当選の基準が厳格化されれば現職ほぼ全員が落選するが、比例単独候補で踏みとどまった形だ。

 国民民主党は5議席減らすが、ドント式と比べて減少議席は少なくなる。サンラグ式の導入を主張するチームみらいは11議席から8議席に。名簿不足で1議席の欠員となるため、試算上は現行方式と減少議席数が同じになる。
 

【独自試算】浮上の「サンラグ式」 前回選試算では与党の議席占有率ほぼ変わらず 野党は“明暗” 「中小政党に有利」の触れ込みも…狙いは野党の切り崩しか

■試算から判明 2つのポイント

 今回の試算で明らかになったポイントは主に2つ。1つ目はサンラグ式の導入によって比例における与党の議席占有率は減少する一方で、小選挙区を含めた与党の議席占有率はドント式で削減した場合は80%、サンラグ式は79%とほぼ変わらないこと。野党に対して与党が譲歩したようにも思えるが、衆議院全体のパワーバランスに大きな影響はなく、「少数政党に有利」との触れ込みとは異なる状況が浮かびあがった。

 2つ目はサンラグ式による“恩恵”に野党間で差があること。これまで定数削減に一致して反対してきた野党の切り崩しにつながる可能性もあり、特に与党少数の参議院で一部野党から賛成を取り付ける思惑もにじむ。ただ、定数削減に対する野党の反対は根強い。国民民主党の玉木雄一郎代表は「実際にどういう影響があるか、よく見極めることが必要」と慎重な姿勢を示す。

 7日、静岡朝日テレビの「とびっきり!しずおか」に出演した日本維新の会の吉村洋文代表は「試算を見てどの政党に有利・不利と言い始めたら定数削減なんてできない」とし、定数削減について「絶対にやりきるべき。次の臨時国会でやります」と改めて主張した。野党の主な反対理由は「少数政党の意見が反映されなくなる」だと指摘。共産・れいわなど少数政党の議席が増加した試算を踏まえてサンラグ式を「検討に値する」と評価し、議論に応じない野党をけん制した。

 与野党は国勢調査の確報値が出る今月末をめどに定数削減を含め選挙制度の在り方について結論を得ることにしているが、野党は「定数削減ありきではない」として抜本的な選挙制度改革を主張している。

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