10年で半減…廃業続くコメ農家 それでも継いだ29歳『祖父母の味を守りたい』 富士山の湧水でコメ作りを始めた若者の思い 静岡・富士宮市

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 高齢化などを背景とし、コメ農家の撤退が過去最多のペースとなる一方、祖父母から受け継いだ田んぼでコメ作りに奮闘する農家1年目の男性がいます。その思いに迫りました。

富士山望月ファーム 加藤匠さん:「この完成した稲を、きょうはみんなの力で協力して収穫してもらおうと思います」

 この日、静岡県富士宮市の田んぼで行われていたのは稲刈り体験会。放課後デイサービスに通う子どもたちおよそ20人が参加しました。

富士山望月ファーム 加藤匠さん:「最後の1本刈る時に、鎌をこっちまでやらないように。オッケー」

去年10月から本格的にコメ作り

 富士山望月ファームの加藤匠さん(29)。亡くなった祖父母が残した田んぼを受け継ぎ、去年10月、本格的にコメ作りを開始しました。

富士山望月ファーム 加藤匠さん:「祖父母のお米のファンだった。祖父母が亡くなって、お米を作る人がいなくなった時に、このお米の味を守っていきたい、さらにこのお米をもっといろんな人に食べてもらいたいなと(思った)」

 会社員として働く傍ら、手探りで始めたコメ作り。手伝いをしていた幼い頃の記憶を頼りにしながら、先輩農家のアドバイスも生かします。

富士山望月ファーム 加藤匠さん:「水の入れ具合や肥料のまき具合で稲の成長が変わってくるので、日々田んぼと対話をしながら、一筋縄ではいかない」

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 それでも、土地の特徴を生かしたコメ作りにこだわりました。

富士山望月ファーム 加藤匠さん:「富士山の湧水を使っているので、一般的な水より5度~10度くらい冷たいと言われている。しっかりと稲を夜に冷やすことでおいしいお米ができる」

 加藤さんがコメ作りに励む背景にはこうした危機感も…。

富士山望月ファーム 加藤匠さん:「10年後、20年後お米農家はどれだけ減ってしまうのかと思っている。コメをしっかり守り続けていくことが一次産業の生産者として大事なことだと感じている」

コメ農家は10年で半減 平均年齢は65歳超

 農林水産省によりますと、県内の販売目的で水稲を行う農家は2015年には1万4000軒余りありましたが、2025年には半減。(2015年:1万4618軒→2025年:7380軒)

 さらに県内の農業従事者の平均年齢は65・63歳。農家の減少と高齢化が課題となっています。

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 この日、加藤さんが配達に向かったのは、産後ケア施設。1歳の誕生日を迎えた子どもに餅を背負わせて健やかな成長を願う「一升餅」。これをコメに置き換える「一升米」が近年広がりつつあります。加藤さんはこうした需要に合わせ、一升米のサービスも始めました。

 この日は施設を運営する佐野さんの息子のお祝いです。

てって 佐野安以代表:「お餅はまだ赤ちゃんが食べられないので、せっかく1歳でお祝いしてももったいないなと」

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そして収穫

 待ちに待った収穫の日。

富士山望月ファーム 加藤匠さん:「約4カ月しっかり水やりをして、うまく育てられて無事に収穫ができることにほっとしている。今までずっとやってきた祖父母の大変さやすごさを感じた」

 長雨が続き、刈り取り作業に遅れが生じたものの出来栄えは上々。今年は去年より600キロ多いおよそ3900キロ収穫できました。無事収穫を終えた加藤さん。気になるのは乱高下するコメの価格です。

富士山望月ファーム 加藤匠さん:「これだけコメの価格が安定しないと、経営の見通しが立たないのが一番難しい。私たちとしては高く売れることに越したことはないが、せめて安定できるような国の支援などがあればうれしい」

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 農林水産省によりますと、20日までの1週間に全国のスーパーで販売されたコメ5キロあたりの平均価格は2934円。前の週に2年ぶりに2000円台まで下落し、この後も値下がり傾向が続くとみられます。加藤さんは、卸売業者を通さず、直接取引ができる販路を築くことで、市場価格に左右されない安定した収益確保を図っています。

富士山望月ファーム 加藤匠さん:「この土地でコメ作りを何が何でも続けていきたいと思うので、時代の変化に対応した経営ややり方を模索していきたい」

 まだ始まったばかりの挑戦。祖父母への思いを胸に加藤さんはこれからもコメ作りに励みます。

富士山望月ファーム 加藤匠さん
富士山望月ファーム 加藤匠さん

栗田麻理アナウンサー:「加藤さんは番組スタッフの親族ということもあり、今回の取材に至りました。若手ならではの発想も大事にしていて、商品のチラシを作る際にはAIを活用するなど効率的な業務につなげているということです」

栗田麻理アナウンサー
栗田麻理アナウンサー