初日順調も「解禁2日目からダメ」…シラスが苦戦 仲買人「モノはいいけど…」 静岡・富士市

 美しくきらめくシラス丼。静岡県富士市にある田子の浦港漁協食堂には、地元のみならず、県外からもこのシラス丼を目当てに客が訪れます。

画像1: 初日順調も「解禁2日目からダメ」…シラスが苦戦 仲買人「モノはいいけど…」 静岡・富士市

富士市 70代:「おいしいですよ」

Q.ほかのお店もあると思うんですけど、なぜこちらに来られる?

A.「やっぱり、新鮮だしさ、おいしいから」

富士市 70代:「これね、きょう、今年初めて食べに来たんですよ。まあここしかないでしょう。地元の富士の人間なんだけど、きょう初めて来ました」

Q.朝とれたての新鮮のお知らせっていうのはどうですか?

A.「おいしいでしょうね。やっぱね、うん」

埼玉県 40代:「初めてです。今まで食べたやつよりプリプリでおいしい」

 シーズンが始まったシラスですが、実は今、品薄状態が続いているんです。

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シラス漁に同行すると…

画像: シラス漁に同行すると…

 午前5時過ぎ。田子の浦漁港ではこの日、14隻がシラス漁に向かいます。

 3月21日に解禁となったシラス漁。初日は順調だったものの、2日目からは苦戦続き。この2日前は漁には出たものの、何も獲れずそのまま港に戻ってきていました。果たしてこの日は…。

 魚群探知機を使い、シラスの群れを探します。船を走らせること30分。シラスの群れを見つけ14隻が一斉に走りだしました。群れがいる海域に到着すると、漁師たちは一斉に網を入れ、船で引っ張ります。

白鳥衛記者:「出港からおよそ30分が経過しました。3人掛かりで網を引き揚げています」

 網の中にシラスの姿が。しかし…。

田子の浦漁業協同組合 芹澤豊組合長:「少ないです」

 去年は1日に200キロほど獲れる日もあったということですが、この日は3回網をかけても、水揚げはたったの20キロでした。

この日の価格は去年の2倍 仲買人「モノはいいけど高すぎ」

画像1: この日の価格は去年の2倍 仲買人「モノはいいけど高すぎ」

 港に戻ると獲れたばかりのシラスが競りにかけられます。去年4月、田子の浦漁港のシラスの水揚げ量は1日平均437キロ。1キロ当たり平均1400円でした。それがこの日の水揚げ量は71.5キロ。価格は1キロ当たり2750円と去年のおよそ2倍に。この価格に仲買人は。

仲買人:「モノはいい。モノはいいけど値が高すぎ」

Q.きょうはどのくらい買った

A.きょうは1キロ。安ければ1キロ以上買いたいけど。

画像2: この日の価格は去年の2倍 仲買人「モノはいいけど高すぎ」

 田子の浦漁協によりますとシラスの不漁の原因は明らかになっていませんが、シラスの群れがいる黒潮が蛇行して日本沿岸から離れてしまっていることや、天候の影響が大きいとみられています。

組合長:「まだ海水温がね今年は冬が下がらなかった。その海水温がずっと同じで上がってもこないし、黒潮でもさしてくれれば期待できるかな。初日はけっこうあったんだけど、800、900キロくらい。2日目からダメで今1日おきで出てるけど少ない」

漁師:「去年もそんな多くはなかったけど、3月4月春にいっぱい獲らなきゃダメなんで、ちょっと厳しい結果です」

スーパー「利益はないがこれ以上値上げできない」

 不漁の影響は食卓にも。こちらのスーパーでは、田子の浦港や御前崎港から30種類以上の魚を仕入れています。

スーパーオカムラ 川口康雄店長:「季節柄、生シラスが一番欲しいアイテムなんですけど、生シラスが獲れないってことで、うちの商品も一つ減ってしまうという形でちょっと寂しい思いもします」

Q.季節の味ということで、シラスが欲しいという声もあるんでしょうか

A.「ありますね。特にこの辺はもう生シラス生シラスっていうお客さんが多いもんで」

画像1: スーパー「利益はないがこれ以上値上げできない」

 この日は朝、田子の浦と御前崎で獲れたシラスが8キロほど入荷しました。

富士市 70代
Q.ちなみに何買われたんでしょうか?
A.「きょうはシラス。これはシラスで、あと大きいあの茹でシラス2つ」
Q.どうですか? この地元の朝の採れたてのシラスは。
A.「おいしい。やっぱりおいしいよね」
Q.しらす不漁が続いているみたいだけど
A.「きょうはあってよかったと思って、ちょっと用事の帰りによってね。早く買ってこよと思って来たんだけど」

富士市 80代:「ここで生まれてね、ここで育って、小さい頃からずっとこういうものを食べてきてるから、春のこの時期になると。早くシラスが生シラスが出ないかなって。気にしてるんですよ毎年。出ると買いに来る。やっぱり春の味です。これは私たちにとってはね」

 地元の人も待ち望むシラスですが、前日は水揚げがなく、1パックも並びませんでした。そして、品不足から仕入れ価格も高騰。現在、100グラム当たり398円で販売していますが、ほとんど利益はないと言います。

画像2: スーパー「利益はないがこれ以上値上げできない」

Q.今って価格自体はどういったものになっていますか
A.「あとはもう倍、下手すると、もう倍とか言っちゃう時もありますよね。だから、うちも利益も無しで、ほぼ横流しみたいな値段で出してる時もあります」

Q.価格が高騰することも辛さってのはある
A.「そうですよね。うちも売ってても何も利益がないもんで、そういう所は辛いですけど。もうこれ以上値段はあげられないので、据え置きっていう形でうちは売らせていただいてるんですけど」
 
 静岡が誇る特産品、シラス。来年1月まで続く漁の行方が注目されます。