【静岡高校野球】県内プロ注目選手の夏
揺るぐことのない高い評価
今大会ナンバーワン注目選手が準々決勝で姿を消しました。
秋のドラフト候補に挙がる常葉大菊川の鈴木叶。大会前に、左親指をケガした影響で初戦は大事をとって欠場しました。初登場は2回戦の6回表。代走から出場して、その裏の守備からマスクをかぶると、いきなり全国トップクラスの強肩を披露します。一塁走者のリードが大きいと見るや、すかさず送球してアウトに。肩はもちろんのこと、視野の広さ、敏捷性が光ったプレーでした。
続く4回戦は初スタメン。第3打席、第4打席ともにレフト前安打を放ち、完全復活を印象付けました。
しかし、準々決勝は3安打無安打に終わり、チームも敗れました。春夏連続甲子園出場は逃しましたが、プロからの高い評価は揺るぐことはないでしょう。
プロを目指す選手の動向
静清の本格派右腕・佐山蒼空(そら)の初登板は2回戦でした。相手はシード校の掛川西。プロ2球団のスカウトが視察する中で立ち上がりは伸びのあるストレートを武器に圧倒します。ところが3回に打者が放った猛烈なライナーが左足ふくらはぎを直撃。その影響から球が浮き始めた5回に集中打を浴び、4対6で敗退しました。試合後、「プロ志望届を出したい」と明言。上のレベルでの活躍を誓って球場を後にしました。
今年の県内最速147キロを計測する浜松開誠館の近藤愛斗(まなと)は準々決勝までリリーフ登板のみ。計7回を1失点にまとめています。打者に向かってホップしていくストレートが持ち味。大会を通して、球速がどこまで伸びていくのか楽しみです。
同じく浜松開誠館の廣崎蓮もプロのスカウトが注視している選手。左腕から最速140キロのストレートとキレのあるスライダーを投げ込みます。準々決勝は投打で大活躍。先発投手として6回を無失点に抑えると、打っては二塁打2本を含む4安打をマークしました。
静岡学園の岡村シルバー魁人は身体能力の高さがウリ。豪快なスイングと塁上を瞬く間に駆け抜ける脚力が武器です。この夏は実力を発揮することができなかったものの、次のステージでの活躍が期待される原石です。
2年生では、知徳の小船翼が2回戦で先発。身長197センチの長身から、147キロを計測しました。日大三島相手に6回まで無失点に抑えるも、疲れの見え始めた7回につかまって敗戦。試合後には悔し涙を流しながら、「秋には150キロを出したい」と新たな目標を立てていました。
著者 栗山司
くりやま・つかさ 1977年、静岡県生まれ。スポーツライター・編集者。雑誌『野球小僧』の編集者を経てフリーに。2012年に地元・静岡に根差した野球雑誌『静岡高校野球』を自費出版で立ち上げ、年2回発行。ブログ『静岡野球スカウティングレポート』(http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/)でも県内の野球情報を発信する。
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