自宅に温泉を持ち帰る!?地元民御用達の「温泉自販機」

伊豆といえば、全国的にも有名な温泉地。観光で訪れたことのある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そんな伊豆半島の中央に位置する伊豆市には、地元の方に愛される、ちょっと変わった温泉があるんです。

■飲み物の自販機?・・・実は温泉!

 伊豆市の道を車で走っていると、数百リットルもの容量があるような、大きなタンクを積んだ軽トラックをたまに見かけます。どこかの業者の車かと思いきや、実は一般市民の車なんです。そんな軽トラックが向かうのは、例えばこんな場所。お肌すべすべ原保(わらぼ)温泉。

原保温泉

一見すると、「地元の共同浴場かな?」と思いますが、遠景はこんな感じ。

原保温泉スタンド

そこに並んでいるのは2台の自動販売機。片方は普通の飲み物の自販機ですが、もう片方には「原保温泉」の文字が、、!

原保温泉スタンドの自販機

原保温泉の自販機

そうです。これが温泉なんです。どのように使うのかというと、まずは大きなタンクを積んだ軽トラックを、この場所に横付けします。

タンクを積んだ軽トラック※軽トラックの最大積載量は350kgです

 その後、自販機横のホースをタンクの口に入れます。そして、欲しい容量(18L、200L、300L、500L)のボタンを押し、レバーを回すと、そのホースから温泉が出てくるという仕組みです。18リットル100円からで、200リットル250円、300リットル300円、500Lは450円となっています。家庭のお風呂は大体200L。つまり、250円で家庭のお風呂がいっぱいになるということですね! この原保温泉は、昭和60年頃に地域おこしの一環として地元の有志が計画しました。掘削が完了したのは平成元年。当時は源泉の近くに露天風呂もあったそうです。このスタンドは、原保の住民だけでなく、近隣の町から買いに来る人もいて、順番待ちになることもあるんだとか。地元の人に愛される、隠れた“温泉地”となっているようです。

 原保温泉の泉質・効能は以下の通りです。
《泉質》アルカリ性単純温泉(無色透明、無味無臭)
《効能》神経痛、筋肉痛、関節痛、痔痛、アトピー性皮膚。

■ガソリンスタンド?・・・実は温泉!

実は、伊豆市内にはまだ温泉スタンドがあるんです。それは、伊豆市青羽根(あおはね)にある『湯の国会館』という日帰り温泉施設内。湯の国会館は、狩野川(かのがわ)を見おろす露天風呂や、心も体もリフレッシュできる薬草風呂、さらにはサウナやレストランまで併設されている、立ち寄り天然温泉施設です。さらに、1つの施設で「ナトリウム硫酸塩温泉」と「アルカリ性単純温泉」という異なる2つの泉質の源泉を持っている、全国的にも珍しい温泉施設です。ちなみに温泉スタンドから出てくる温泉は、少し“ヌメリ”のあるナトリウム硫酸塩温泉の方です。

湯の国会館

湯の国会館の温泉スタンド

給湯口

 見た目はまるで、ガソリンスタンドの給油機のよう。しかし、出てくるのはやはり温泉です。こちらの温泉は、1Lあたり1円で購入できます。ただし、100円硬貨しか使えないそうなので使えませんのでご注意ください。つまり、最低でも100Lの購入。大きなタンクを準備する必要がありそうです。
また、こちらの温泉スタンドも、原保温泉と同様、地元(伊豆市内)の方の利用が多いのだとか。自宅で温泉に浸かることができるなんて、温泉地伊豆ならではですよね。

湯の国会館の温泉スタンドから購入できる温泉の泉質・効能は以下の通りです。
《泉質》ナトリウム硫酸塩温泉
《効能》きりきず、やけど、動脈硬化症、慢性皮膚病、神経痛、筋肉痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え症、病後回復期、疲労回復、健康増進

■買いに行くには?(温泉スタンドまでのアクセス)

 地元(特に伊豆市内)の方に愛されている温泉スタンド。皆さんも、「自宅で温泉に浸かる」という贅沢体験をしたくなってきましたか?ということで、最後に、今回訪れた2つの温泉スタンドへの行き方についてご紹介します!

【原保温泉スタンド】
〒410-2514 静岡県伊豆市原保305
伊豆縦貫自動車道「修善寺IC」から車で約25分。

【湯の国会館】
〒410-3213 静岡県伊豆市青羽根188
伊豆縦貫自動車道「月ケ瀬IC」から車で約3分。

温泉を購入する場合は、ポリタンクなどの容器のご用意をお忘れなく。とはいえ、遠くにお住まいの方は、自宅に着いた頃には冷めてしまいます。そういう場合は、自宅のお風呂を熱めに沸かし、そこに温泉を投入するのが良いかもしれません。

 伊豆半島には、熱海温泉や修善寺温泉、伊東温泉など、全国的に有名な温泉地がいくつもあります。しかし、伊豆半島には約2,300の源泉があり、そのほとんどが知られていません。今回ご紹介したものに限らず、現地でしか出会えない温泉がまだまだたくさんあります。自分のお気に入りの温泉を探しに出かけてみてはいかがでしょうか。