一杯にフレンチのエスプリと和の滋味が共存 島田市「麺屋とらいわ」

厨房から漂うのはガーリックの香りか、それとも昆布の旨みか。島田市本通に店を構える「麺屋とらいわ」は、一見するとラーメン店。しかし、その丼には、フレンチのエスプリと和の滋味が共存している。店主・虎岩隆之さんは、元フレンチシェフ。和食店だった実家を継ぎながら、自身の経験を生かして、全く新しいラーメンを構築してきた。「川根産ゆず塩ラーメン」はその代表格。名古屋コーチン、豚の頭、魚介の三層仕立てのスープは、丸みがありながらも澄んだ輪郭を保つ。そこにゆずパウダーの香りが加わりスッと体に染み込んでいく。麺はうどんに近い国産の「地粉」で打った特注。やわらかさと噛み応えの両立が、食感の記憶に残る。

川根産ゆず塩ラーメン(1000円)
川根産ゆず塩ラーメン(1000円)

一方、しょうゆ味の「ワンタン麺」は、懐かしさを裏切らない正統派。4種の醤油を合わせたタレは、芳醇にしてキレがあり、手包みのワンタンは全粒粉入りの皮がもっちりと、具の肉がジューシーにあふれる。シンプルだからこそ、誤魔化しが効かない一杯に技がにじむ。

ワンタン麺(1250円)
ワンタン麺(1250円)

この店の本領は創造性にある。例えば「ガーリックシュリンプラーメン」(7月限定)。皮ごと食べられるエビを塩麹とガーリックでマリネし、注文ごとにソテー。エビ出汁のスープにバジルオイルを垂らせば、まるでイタリアの港町にいるかのような錯覚に陥る。

7月限定のガーリックシュリンプラーメン※数量限定1600円→1400円
7月限定のガーリックシュリンプラーメン※数量限定1600円→1400円

夏季限定の「冷やし貝だし昆布水ラーメン」は、生ハムと梅オイルで彩られた清涼感たっぷりの一杯。スープは、アサリとがごめ昆布のブレンド。飲み干すほどに、体に涼が満ちていく。

7月限定の冷やし貝だし昆布水ラーメン※数量限定1500円→1300円
7月限定の冷やし貝だし昆布水ラーメン※数量限定1500円→1300円

2周年記念はローストビーフをのせた冷やしラーメン。焼津産のカツオをベースにしたスープに、低温調理したローストビーフを合わせた。ここまでくると、もはやラーメンというより“冷製肉そば”とでも呼びたくなる風格だ。

6月28日~7月6日までの冷し巴醤油ラーメン(ローストビーフ添え)※数量限定1600円→1400円
6月28日~7月6日までの冷し巴醤油ラーメン(ローストビーフ添え)※数量限定1600円→1400円

「他にはない、唯一無二を目指したい」。虎岩さんの言葉には、フレンチの背景と、ラーメンというキャンバスへの情熱がにじむ。進化を止めない「とらいわ」は味の枠を軽々と飛び越えていく。

一杯にフレンチのエスプリと和の滋味が共存 島田市「麺屋とらいわ」

麺屋とらいわ
島田氏本通4‐6‐7
TEL 090-1783-1758
営 11:30~14:00(L.O.13:30)/17:30~20:00(L.O.19:30)
休 水曜日・第1、3木曜日
Pあり