鉄板の音が食欲を誘う熟成サムギョプサルの幸福 浜松市「南大門」
熱した鉄板から立ちのぼる香ばしい煙。焼ける肉の音に誘われて足を止めたくなる。浜松市中央区海老塚。ここに、韓国人オーナーが営む「サムギョプサル専門店 南大門」がある。家庭の味から始まり、いまや地元でも評判の本格派だ。かつては“お母さんの手料理”を出す小さな食堂だった。だが、もっと自分たちらしい看板を――。そうして選ばれたのが、当時まだ日本では珍しかったサムギョプサルだったという。豚肉は、地元・浜松産のブランド豚「遠州夢の夢ポーク」。前バラの、脂がしっかり乗った部分だけを厳選して使う。厚切りにした肉を、キムチ冷蔵庫で熟成させてから提供するのが南大門流。香ばしく焼けた肉をハサミでカットし、たっぷりの野菜で包む。ごま油の塩コショウ、そして甘辛い味噌ダレ――ふたつのタレが肉の旨味を引き立てる。
食べ終えたあとの鉄板には、もうひとつの楽しみが待っている。肉汁と旨味が残るその上で作る「締めのチーズチャーハン」。濃厚なコクが舌を包み、満足の笑みがこぼれる。
熱気に包まれた厨房から、次々と香ばしい香りが漂う。人気の「石焼きチーズダッカルビ」は、鶏肉をコチュジャンベースのタレで炒め、たっぷりのチーズをのせて石焼きに。しばらく待ってから混ぜると、底には香ばしいおこげが。ピリ辛とチーズのまろやかさが絶妙に重なり合い、スプーンが止まらない。
そして、韓国の定番を食事スタイルに昇華させた「海鮮チヂミ定食」。外はカリッと香ばしく、中はもっちり。イカやエビの旨味が生地に広がり、添えられたタレが味をまとめる。ご飯と一緒に頬張れば、日本の“お好み焼き定食”を思わせる幸福感だ。
最後は「野菜キムパ」。日本のカリフォルニアロールに着想を得て、韓国では珍しいサラダ野菜を加えたオリジナル。さっぱりとした味わいが女性客を中心に人気だという。
「韓国料理は辛いだけじゃない」と店主。プルコギやチャプチェ、海鮮チヂミなど、辛くない料理も多くそろう。辛味よりも素材の香りと深みを大切にした南大門の味は、まさに家庭の延長線上にあるごちそうだ。
サムギョプサル専門店 南大門 浜松店
静岡県浜松市中央区海老塚1-2-6
電話番号:053-452-3633
定休日:水曜 昼のみ休み
営業時間:月火木金土日 11:30~14:30 L.O.14:00
月~日 17:00~翌0:00 L.O.23:30
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