薄衣が織りなす博多流の天ぷら美学 静岡市「おひるごはん」
静岡市葵区瀬名川。「博多天ぷら専門店 おひるごはん」。店名のとおり、当初は昼営業のみを想定していたが、評判を呼び、いまでは夜も賑わう人気店となった。暖簾をくぐると、香ばしい油の香りとともに、衣がはじける軽やかな音が迎えてくれる。ここの天ぷらの特徴は、なんといっても薄衣。素材の持ち味を生かすため、衣は極力軽く仕上げる。天つゆで味わっても、もちろん塩でいただいてもいい。おすすめは「レモンブラックペッパー」「ガーリック」「唐辛子と山椒」の3種の塩。揚げたてのえび天や肉天にひとふりするだけで、香りと旨みが一層引き立つ。

さらに、九州の甘口しょうゆをベースにした天つゆは、昆布や煮干しのだしがしっかり効いた深みのある味わい。このつゆを活かした裏メニュー的な楽しみ方が「悪魔のおにぎり」だ。天かすと青のりをごはんにのせ、天つゆをかけるだけ。罪深いほどの旨さに、思わず笑みがこぼれる。しかもごはんの大盛りは無料。お惣菜も取り放題という太っ腹なサービスもうれしい。

看板メニューの「大名天丼」は、迫力ある大ぶりの器で登場。海老や野菜、肉の天ぷらが豪快に盛られている。天つゆは別添え。かけてもよし、塩で味わってもよし。店主の信条「熱いものは熱く、冷たいものは冷たく」が貫かれた一杯だ。

続いて紹介したいのが、博多名物を生かした「冷やし明太子うどん定食」。こだわりの明太子に、ホイップを加えた特製つゆを合わせるという一工夫。最後に残ったつゆにごはんを入れて食べるのが通の楽しみ方だ。明太子の塩気とクリーミーさが調和し、満足感の余韻が長く続く。

そして新作にして自信作なのが「えごま油のつけ蕎麦」。えごま油のまろやかな甘みと、麺つゆの旨みが合わさった一杯で、仕上げには鰹節とブラックペッパーを。残ったつけ汁はごはんを加えて“ねこまんま”に。最後の一粒まで楽しませてくれる構成に、店主の遊び心が光る。

揚げたての香りが食欲をそそる博多流の天ぷら処、「おひるごはん」。昼にも夜にも訪れたくなる一軒だ。

博多天ぷら専門店 おひるごはん
静岡県静岡市葵区瀬名川1-22-41
電話番号:054-265-0055
定休日:不定休 正月三が日のみ休
営業時間:10:10~15:00/17:00~20:00
火曜日 夜のみ休業 ※祝日の場合は営業
Pあり