香りが食欲を呼び覚ます。和のエッセンスが光る創作イタリアン 静岡市「ベアーズキッチン」
料理は、香りで記憶に残る。そんな皿に出会えるのが、静岡市清水区千歳町に店を構える「ビストロ Bear's Kitchen(ベアーズキッチン)」。オープンから7年、イタリアンをベースに和の食材や調理法を織り交ぜた創作料理で人気を集めるダイニングだ。カウンターで1人静かに食事を楽しむ客もいれば、週末には家族連れで賑わうなど、幅広い客層に親しまれている。
まず味わいたいのが、店の看板とも言える「大葉のパスタ」。皿が運ばれてきた瞬間、視覚的なインパクトに思わず目を奪われる。仕上げにのせられるのは、細く刻んだ大葉をなんと十枚分。こんもりと盛られた緑の山から、爽やかな香りがふわりと立ち上る。ベースはニンニクとベーコン、オリーブオイルで仕立てたシンプルなオイルパスタ。そこに大葉を一気に混ぜ合わせて口へ運べば、清々しい香りが鼻へ抜け、ベーコンの旨みとニンニクのコクがあとから重なる。オープン当初から続く人気メニューというのも納得の一皿だ。
続いては、ショートパスタで味わう「ゴルゴンゾーラ」。青カビチーズと聞くと強い個性を思い浮かべるが、ここではクリームを合わせてやさしい味わいに仕立てている。濃厚でありながら重たすぎない、マイルドなコク。チーズの風味がゆっくりと広がり、ショートパスタのもちっとした食感とよく絡む。
メイン料理として人気なのが「ガーリックチキン」。一般的なイメージとは少し違い、ニンニクと鶏肉を一緒に焼くのではなく、パリッと焼き上げたチキンソテーに和風のニンニク醤油だれを合わせるのがこの店のスタイル。皮目は香ばしくパリパリ、中は驚くほどジューシー。皿の下に敷かれたタレをまとわせれば、ニンニクの香りと醤油のコクが鶏の旨みをぐっと引き立てる。
黒板に並ぶ日替わりメニューにも、この店らしさが表れる。例えば「里芋のフリット」。一見シンプルな揚げ物だが、実は下ごしらえに秘密がある。下茹でした里芋を、やや強めの和風だしに浸して味を含ませてから揚げることで、噛んだ瞬間にカツオだしの香りがふわり。外はカリッと軽く、中はしっとりやわらか。仕上げに削りかけるグラナ・パダーノチーズが、和と洋の境界を軽やかに越えていく。
素材を生かし、シンプルに仕立てる。その中にさりげなく和のエッセンスを忍ばせる。香りを楽しみながら味わう一皿一皿が、ここならではの魅力だ。清水の街角で、創作イタリアンの自由な発想を味わえる一軒。ベアーズキッチンは、今日も香り豊かな料理で食卓をにぎわせている。
ビストロ Bear's Kitchen
静岡市清水区千歳町7-20
電話番号:054-351-0639
定休日:火曜日
営業時間:17:00-22:00 フードL.O.21:00/ドリンクL.O.21:30
金土-23:00 フードL.O.21:30/ドリンクL.O.22:30
Pあり