天丼がもはや事件。山の街で海を食い尽くす 御殿場市「魚啓」
席に着いた時からすでに勝負は始まっている。高さ、重さ、そして収まりきらない気配。視覚だけで満腹中枢に触れてくる一杯がここにはある。御殿場市印野の「魚啓」。鮮魚店から始まり、半世紀以上続く海鮮の店だ。
名物の「地魚天丼」は、その象徴ともいえる存在。丼の上に立ち上がるのは、大判のかき揚げが2枚。タマネギやニンジン、三つ葉に加え、シラスや干しエビが混ざり、香ばしさと塩気が一体となる。さらにナスやピーマン、地魚の天ぷらが重なり、仕上げの特製だれが全体をまとめ上げる。イサキの天ぷらは脂を含み、ほろりとほどけるやわらかさだ。
その大きさに衝撃を受けること間違いなしなのが「座布団かき揚げ」。その名の通り、座布団サイズ。それもそのはず、フライヤーいっぱいに広げて揚げることで、均一な厚みとサイズに整えているからだ。分厚くても軽やかな食感を保ち、最後まで飽きさせない。持ち帰りの注文が多いのも納得の存在感だ。
海鮮の真骨頂は「騎士海戦丼」にある。日替わり丼をベースに、中トロや白身、イクラ、カニ、甘エビなどを加えた一杯は、まさに過剰なまでの充実ぶり。ネーミングの遊び心とは裏腹に、ネタは朝仕入れの確かなものばかり。厚切りのアジや炙りカツオが、丼の上で確かな主張をする。
そして異色の存在が「チキンカレー」。豚骨ベースのルウに、台形に盛ったごはん。その上にチキンカツ3枚を重ね、さらにサラダをのせて高さを出す。甘みのあとに辛さが追いかけてくる味わいで、見た目のインパクトと食べ応えがきっちりと一致する。
量の多さだけで語るには、少し違う。どの皿も、理由があってこの形に行き着いている。腹一杯という言葉の中に、きちんと“満足”まで詰め込まれている店だ。
魚啓
御殿場市印野1648
電話番号:0550-89-0941
定休日:火曜日
営業時間:11:00-14:00 L.O.
17:00-20:30 L.O.
Pあり