熟成が引き出す肉の奥行き 藤枝市「アルティジャーノ」

 ナイフを入れた瞬間、抵抗はわずかで、その奥から肉の密度が伝わってくる。焼き目の香ばしさの下にあるのは、時間をかけて引き出された旨みだ。JR藤枝駅南口近くに店を構える「Artigiano(アルティジャーノ)」は、熟成肉を軸に据えたイタリアン肉バルである。
 主役は2週間ほど寝かせた国産和牛。低温のオーブンでじっくり火を入れたあと、高温で一気に焼き目をつける。「イチボ」は、きめ細かなサシが特徴で、赤身の弾力の中から脂の甘みがじわりとにじむ。対してランプはより赤身らしい輪郭を持ち、しっとりとした質感の中に肉そのものの味が際立つ。同じ“赤身”でも、その表情は明確に異なる。

熟成された肉は旨味の塊だ
熟成された肉は旨味の塊だ

 「前菜盛り合わせ」はテーブルを華やかにする。キッシュ、ローストビーフ、ロマネスコのガーリックソテー、タコとナスのマリネ、白レバーのペースト。季節の野菜を取り入れながら構成され、低温調理のローストビーフはしっとりとやわらかく、皿全体にリズムを生む。

前菜盛り合わせ・2人前(1408円)
前菜盛り合わせ・2人前(1408円)

 肉の旨みをさらに押し出すのが「ピザ ビスマルク」。熟成牛を5〜6時間煮込んだラグーは、香味野菜とトマトを合わせながらも、主役はあくまで肉。そこに温泉卵を重ね、崩しながら食べることで、濃厚なソースにまろやかさが加わる。もっちりとした生地が、その重層的な味わいを受け止める。

ピザ ビスマルク(1958円)
ピザ ビスマルク(1958円)

 同じラグーを使ったパスタもまた力強い。ごろりと入る肉の存在感が際立ち、ステーキとは異なる角度から満足感を引き出す。噛むほどに広がる旨みは、熟成という工程の確かさを物語る。

熟成牛のラグーパスタ(1848円)
熟成牛のラグーパスタ(1848円)

 火入れ、熟成、そして組み立て。派手な演出に頼らず、積み重ねた工程で味を深めていく。気づけば皿の上には、静かに輪郭を増した“肉の時間”が残っている。

熟成が引き出す肉の奥行き 藤枝市「アルティジャーノ」

Artigiano
藤枝市前島2-1-3 谷川澤ビル1階
電話番号:054-625-9249
定休日:火曜日
営業時間:11:00-14:30 L.O.14:00
※土日祝-15:00 L.O.14:30
17:00-24:00L.O.23:00
※日曜日-22:00 L.O.21:00
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