とろけるチーズの奥に、44年守られた味 焼津市「洋食屋 ミッキー亭」

 洋食一筋56年の初代、小串文芳さん。その隣には、東京や海外で修業を重ね、2025年に店へ戻った2代目の健太郎さんが立つ。焼津市三ケ名の「洋食屋 ミッキー亭」は、開業から44年。親子が厨房をともにする現在も、長く親しまれてきた味が変わらず客を迎えている。
 看板は、ディナーの「モッツァレラ入り煮込みハンバーグ」。創業当初から続く料理で、一般的なハンバーグよりかなりやわらかく仕上げる。肉だねでモッツァレラチーズの塊を包み、肉汁を閉じ込めるように表面を焼く。そこへブイヨンをたっぷり注ぎ、味を含ませながら煮込んでいく。オーブンだけで火を通さないのが、ふわりとしたやわらかさを生む理由だ。仕上げには店秘伝のデミグラスソース。ナイフを入れれば、中から熱いモッツァレラがとろりと現れ、肉の甘みへ濃厚なソースが続く。単品での提供だが、追加料金でライスまたはパン、スープ、サラダを付けられる。

モッツァレラ入り煮込みハンバーグ(1705円)
モッツァレラ入り煮込みハンバーグ(1705円)

 同じくディナーで味わえる「豚ヒレカツレツ チーズ焼」は、揚げ物の軽快さと洋食らしいコクを併せ持つ。あっさり食べられるよう豚ヒレ肉を選び、表面だけをサクッと揚げ焼きにしてからオーブンへ。じっくり火を通した後、ゴーダとモッツァレラ、2種類のチーズをのせて再度焼き上げる。皿には自家製トマトソースを敷き、その上へ熱いカツレツを置く。油に沈めて揚げればとんかつになるが、フライパンで揚げ焼きにするからこそカツレツになる。店の説明には、洋食屋としての譲れない一線がにじむ。

豚ヒレカツレツ チーズ焼(1650円)
豚ヒレカツレツ チーズ焼(1650円)

 リピーターが多い「国産若鶏のステーキ マルサラソース」は、香りで記憶に残る。国産若鶏をフライパンでじっくり焼き、果実酒のマルサラ酒を注いでフランベ。皮目はパリッと、中には肉汁を保つ。カラメルを思わせる芳醇な甘い香りが鶏肉に移り、親しみやすいチキンステーキに独特の風味を与える。小串さんが「とにかく1回食べてもらいたい」とすすめるのも、この香りに代わるものがないからだろう。

国産若鶏のステーキ マルサラソース(1595円)
国産若鶏のステーキ マルサラソース(1595円)

 昼の人気No.1は「ミッキー亭ランチ」。ハンバーグ、海老フライ、自家製カニクリームコロッケを一度に楽しめる。カニクリームコロッケにはズワイガニを使い、なめらかなクリームの中からカニの旨みが現れる。洋食店で何を選ぶか迷う客にとって、うれしい盛り合わせだ。

ミッキー亭ランチ(1540円)
ミッキー亭ランチ(1540円)

 帰り際に「おいしかった」と声をかける客が多いという。その言葉に応えるため、家族でミッキー亭の味を守っていきたいと健太郎さんは話す。初代の経験に、2代目が外で学んだ技術が加わった。44年目の厨房は、昔のまま止まるのではなく、次の世代へ進み始めている。

とろけるチーズの奥に、44年守られた味 焼津市「洋食屋 ミッキー亭」

洋食屋ミッキー亭
住所:焼津市三ケ名724ー1
電話番号:054-627-3058
定休日:火曜日
営業時間:11:00~13:30 L.O. / 17:00~20:10L.O.
P12台