静岡・熱海土石流災害 発災から3年3カ月 進まぬ用地買収に住民も不信感
28人が犠牲となった静岡県の熱海土石流災害は、10月3日で発災から3年3カ月です。被災した市道の一部が復旧しましたが、帰還した人は少なく、復旧に向けた用地買収も進んでいません。
消防に最初の通報があった午前10時28分。自宅が被災した太田滋さんとかおりさん夫婦は犠牲者に黙とうを捧げました。
太田さんの自宅があった岸谷地区では1日、旧警戒区域内では初めて土石流で寸断された市道が仮開通しました。地区の住民は生活道の再建を喜ぶ一方こんな声もー。
●住民:
Q復興が進んでいる実感はありますか
「はっきり言うけどないね。申し訳ないけど」
土砂が流れ下った逢初川周辺は9月、警戒区域の指定が解除され1年となりました。熱海市によりますと、当初避難していた160世帯ほどのうち、帰還したのは25世帯52人で多くが市内の別の場所で生活を再建させているということです。
復興が実感できない理由のもう一つが工事の遅れです。市や県は逢初川両岸の道路整備や川幅の拡張工事を3年後の3月完了を目標に進めています。しかし、そのために必要な用地取得率は現時点で市担当分が75%。県担当分は58%にしか過ぎません。
●熱海市都市整備課・渋谷義男専門監:
「スケジュール感で言えば遅れはあるんだと思っております。その部分については我々の説明が足りなかったところもあるんだと認めながら、用地の交渉についてご理解いただけていないところにつきましては今後も継続してご理解いただけるように努力してまいりたい」
太田さんの土地の一部も用地買収の対象ですが、市の復興計画や対応に不信感があり、応じていません。太田さん夫婦はたびたび市の復興事業の説明会に参加していますが、これまで納得のいく説明は得られていません。
●太田かおりさん:
「目に見える形で(市道)岸谷2号線が開通しましたけれども、まだ問題は山積みだと思う。どういうふうにしたら住民の生活が良くなるのか、今までの生活レベルを落とさずに帰りたい人はここに帰ってこれるのかもう一度真摯に向き合っていただきたい」