土石流災害で市が復興について住民説明会 被災者と行政の認識にズレも 被災者「先の話でなく今どうするか…」 静岡・熱海市
熱海市 斉藤栄市長:「この地域の復興に向けた第一歩として、河川、道路の復旧改良に取りかかりたい」
説明会に参加したのは、土石流災害で今も自宅などが警戒区域に設定されている住民ら185人。逢初川の復興工事をめぐっては、7月中に国土交通省が二次災害を防ぐため、上流部に砂防ダムを新たに設けることを発表しています。
また、河川の管理者である県は「中流部をゆるやかなカーブ」にするほか、「大雨にも耐えられるよう川幅の狭い箇所を広くする」事などを計画しています。工事は再来年8月までに完了させる予定です。
「第二の盛り土」は…
一方、説明会で県の熱海土木事務所は、住民が恐れている土石流の起点付近にある「第二の盛り土」について、雨水や地下水が集まりにくい事などから、今回のように盛り土が崩れ落ちる可能性は低いと話しました。ただ、「第二の盛り土」の土砂の撤去作業など早急な対策が必要としています。
自宅が全壊した男性:「このソーラーパネルの、この西側の斜面なんかはさっき、大きい土嚢(どのう)を金網で抑えられるようなことを言ってたけど、そういう工法でもなくて、崩れかかっている土嚢があるわけですよね。皆で行ってほんと確認しなければ」
住民からは批判の声…
熱海市の斉藤栄市長は、今回の復興工事にあたり「伊豆山地区が災害に強く住みやすくなる街づくりを目指したい」としました。その上で「将来、上流部沿いに遊歩道を設置する」として、伊豆山地区のワーケーション誘致にもつなげていきたいと語りました。
しかし、この復興方針について、住民からは多くの批判の声が…。
妻を亡くした男性:「冒頭のね、市長のビジョンていうのはやっぱり、逆撫でするよね。どっちの方向にハイキングコースだなんだ、そうじゃないだろって話が。まずはそこにいけるだけの工事期間をいつにするんだと」
自宅が全壊した男性:「市の行政の行動というか考えとかと、被災者の疎通が出来ていないていうか。今、先の話じゃなくて、今どうするのかて、そっちが最優先だと思うね」
被災者:「きょうの段階で河川の話をしたけど、こんな話の前に違った(盛り土の)責任追及の方法だとか、もっと全容解明だとか、そういうものの段階があったんじゃないか」
熱海市 斉藤栄市長:「私は結果として振り返ったときに、的確なタイミングで、的確な対応が、行政としてやったと、いうことであれば私市長として批判されても全然、自分としては構いません」
県と市は土石流災害で起点となった盛り土の現在と前の土地所有者に対して、過去に行政がとった対応の調査の内容を18日に発表する予定だということです。