静岡・熱海市の土石流災害、被害ナゼ広がったか 記録的な大雨、発表されなかった「避難指示」、盛り土崩落
記録的大雨
気象庁によりますと、静岡県熱海市では網代で3日午後3時半までの48時間降水量が408.5ミリを観測。これは1976年の観測開始以来、7月として史上最大です。7月、1カ月の平年降水量は242.5ミリ。わずか2日間で1カ月分の雨量を大きく上回ったのです。
崩落の起点は河口からおよそ2キロ離れた、伊豆山の中腹です。被害前の様子を見ると、山の斜面に沿って多くの住宅が立ち並んでいます。
ハザードマップでは、被害にあった周辺が、「土砂災害警戒区域」に指定されているのが分かります。
「避難指示」はなく 市長「雨のピークは越える、と予想されていた」
土石流が発生する前日、熱海市は5段階の警戒レベルのうち、レベル3の「高齢等避難」を発表。その2時間半後、気象庁はレベル4に相当する「土砂災害警戒情報」を出しましたが、市は「避難指示」を出していませんでした。
熱海市 斉藤栄市長(3日)
Q.避難指示の判断はなかったのですか
A.「きのうの段階でレベル3を出した時点で、すでに雨のピークを越えることが予想されていました」
Q.けさの段階で改めるという考えは
A.「当然、けさかなり早い朝の段階で、午前中で雨量はほとんど止まると予想で聞いていましたので、その時点で変えることはしておりません」
土石流の起点の盛り土崩落…10万立方m流出か
一方、4日、静岡県は土石流の被害を甚大化したとみられる要因について…。
静岡県交通基盤部 和田直隆部長(4日)
「最上流部に存在した開発行為による盛り土は、上部の一部を残してほとんどすべて崩落しています。急傾斜地にある最上流部の大規模崩落が被害を甚大化したものと現時点では推定しております」
県がドローンで撮影した土石流の起点近くの映像を見ると、斜面は大きく崩れ、山肌があらわになっています。
土石流の起点は幅およそ100メートル、長さ100メートルほどにわたって、深さ10メートル程度が崩れたとみられます。
起点の周辺から流れ出た土砂の総量はおよそ10万立方メートル。県はそのうちの半分程度が盛り土によるものとみています。
藤井章人記者(4日):「土石流の起点です。県の職員が常時監視を行っています。山肌の茶色が露になっています。かなり広範囲で崩れています」
現時点で土石流との因果関係はわかっていませんが、川勝知事は調査を進める方針を示しました。
静岡県 川勝平太知事(4日):「住宅造成のための盛り土がなされているところ。そこはどうも水路、水が流れる路があったところが造成されている可能性があるとの報告が来ております。結論から言うと、原因はわからない。今回の土石流のメカニズムはわからない。上の方に開発行為がみられるというのは歴然たる事実でございますから、この関係は明確にしておかねばならない」