浸水・土砂崩れ・断水 静岡県に大きな被害を残した台風15号からあすで1年 ②浜松市天竜区の今

梅田航平記者
「1年前、台風15号の大雨で土砂災害にあった浜松市天竜区緑恵台です。現在も浜松市による応急復旧工事が進められています」

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浸水・土砂崩れ・断水 静岡県に大きな被害を残した台風15号から23日で1年 ②浜松市天竜区の今

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 去年県内を襲った台風15号は、浜松市にも土砂災害をもたらしました。

伊地健治アナウンサー
「斜面を利用して多数の住宅が立っている住宅地だが、数十メートルにわたって崩れ落ちているのが分かります」

 この土砂崩れでは、住宅3軒が損壊3人がけがをしました。

土砂崩れに巻き込まれた 佐藤聖徳さん:
「裏側から『カラカラカラカラ』と音がしてきて、『おや?』って思って考える間もなく飛ばされた」

佐藤聖徳さん(64)。

発災当時、妻と息子の3人で自宅にいたところ、突然強い衝撃が襲い、家とともに10m以上先の道路に投げ出されました。

全員命に別状はありませんでしたが、佐藤さんはろっ骨を骨折。

9歳だった息子も深い傷を負いました。

土砂崩れから1年

土砂崩れに巻き込まれた 佐藤聖徳さん: 
「これでしょうかね、たぶんこのあたりだと思うんですけど。 こういう感じで」

Q土砂が?屋根が?

「家丸ごと全部。ちょっと思いだしても怖いです。先日も雷が夜鳴っていたが、音がすると未だに怖い。自分の気持ちの中で、回復していないのかなとすごく実感する。家族みんなそうだと思う。子どもも妻も」

 この土砂災害を巡っては、その後、起点に盛り土が造成されていたことが判明。

 10年ほど前に家を建てたという佐藤さんは、当時まったく異変に気が付かなったといいます。

 あれから間もなく1年。

 今は家族のけがも回復し、近くの住宅で暮らしているといいます。

 6月には再崩落の危険性があった盛り土の撤去や、排水対策が完了するなど応急工事にひと区切りつきました。

 そこで、佐藤さんは再びこの土地に家を建てることを決意。

土砂崩れに巻き込まれた 佐藤聖徳さん:
「(息子が)『僕転校しないよね?』と聞いてきたんですよ。最初に。それって、ああそうか、あの子はここで生まれて育ったんだという。ふるさとなんですよね。そこで気持ちがふっと固まった」

 2月に完成予定だという新居。

 以前と比べると一回り小さくなるそうですが、行政の支援や保険で、自己負担はゼロに。

 望むのは、日常の復活です。
 
土砂崩れに巻き込まれた 佐藤聖徳さん
「昨年の記憶が残っていることが、これからどうフラッシュバック
してくるかは分からない。わからないからとにかく住んでみて、早くここに家がもとに戻って、3人この中で、とにかく命が助かった
ことを新しく立て直した家の中で3人でかみしめたい。普通の日常の時間が戻ってくると思うので、「早く戻ってきて」という感じ」

 この土砂崩れを巡っては、起点にあった盛り土への、浜松市の行政対応を検証するため、第三者委員会が設置されました。

 報告書では市の対応について、「個別の対応に違法性は見当たらなかったが、調査・検討を進めなかったのは慎重さを欠く対応だった」と指摘し、各部署間の連携について不十分だったとしました。

 これを受け浜松市は、「盛土等対策協議会」を設置するなど、14項目の新しい取り組みを発表し、再発防止に向けて取り組む方針です。