屋根にカッターの跡が…わざと壊す手口も 屋根の修理名目の詐欺が多発 瓦店「ずれただけでは雨漏りしない」 静岡
多発する屋根の修理に関する「詐欺事件」。9月、修理の必要がないにもかかわらず、屋根の修理費用をだまし取ったなどの疑いで、神奈川県の男ら7人が逮捕されました。
警察によると、7人は共謀して4月下旬、富士宮市に1人で暮らす71歳の女性宅を訪問。屋根瓦修理業者を名乗り、女性に「屋根瓦がずれている。このままだと雨漏りする」と修理を勧めたといいます。
男らの犯行とみられる詐欺被害はおととし2月から今年4月ごろまでに、静岡・山梨・神奈川で少なくとも100件以上にのぼるとみられています。
狙われるのは築30~40年の高齢者の家
被害にあっているのは60代から90代のシニア世代。こうした悪徳業者による詐欺事件に、屋根修理業者は憤りを隠せません。
長澤瓦商店 長澤宗範代表取締役:「そういった(悪徳)業者はとても一方的で、不安を煽って工事内容が適正ではない金額でやってしまうというところで、本当に業界としてイメージダウン。本当に悲しい気持ちになる」
静岡市内で瓦の販売や屋根修理を行う「長澤瓦商店」。代表の長澤さんによると、こういった悪徳業者による被害は昔からあったものの、3、4年前から被害が多くなったといいます。
なかでも、被害を受けやすいのは、築30年から40年経っている家で、やはり、高齢者が住んでいることがポイントだといいます。また、今回の事件のように、県外の業者による被害が増えているのも特徴だといいます。
この必要のない屋根瓦の修繕工事による詐欺、実は被害に遭う可能性が高い、身近なトラブルの1つです。
富士宮市民:「ちょっと何年か前ですけど、知り合いで、一人暮らしの女性の方がいるが、まさにそういう感じで来て、屋根に上がって、『ここがこうなっていて、すぐ雨漏りします』みたいに言われて、その場で契約してしまった。でも、私友達なので、それ絶対詐欺だからと言って、ちゃんとした契約になる前に断った」
屋根瓦がずれただけでは「雨漏りしない」
女性が機転を利かし、詐欺を未然に防ぐことが出来たといいますが、そもそも屋根瓦がずれているだけで、雨漏りにつながるのでしょうか?
長澤瓦商店 長澤宗範代表取締役:「基本的に屋根材(瓦)が一時防水として雨漏りを守ってくれる。もし屋根材から水が入り込んだとしても、二次防水としてルーフィングという下地材(防水シート)が敷いてあるのが普通なので、直結する雨漏りはないと思う」
わざと屋根を破損する手口も
屋根の修理は建物の寿命に影響を及ぼす可能性もあり、不安な気持ちにつけこみやすいことが、詐欺に遭いやすい1つの理由。最近は、わざと屋根を破損させる新手の犯行も多く見られるといいます。
実際、長澤瓦商店でも、悪徳業者による被害を受けた家から屋根の調査依頼が…。
近くで屋根工事をしていたという業者が、いきなり訪問してきて、点検と修理をしてもらったが、不安なので見てほしいというものでした。
※屋根瓦を外し点検する実際の映像
「どうみても人為的に、ここの辺り、ベニヤをはがしてある」
「問題は補修した箇所、防水テープが貼ってあるが、これをめくってみると、どう見てもカッターナイフの跡がある」
「カッターナイフで穴を開けている」
こうした詐欺被害は氷山の一角とも言えます。見えない屋根に、冷静な判断ができない高齢者を狙った卑劣な犯行。詐欺に遭わないためにはどうしたらいいのでしょうか?。
長澤瓦商店 長澤宗範代表取締役:「まず、訪問してきた方が名刺を持っているか、名刺を持っていたらそれが他県の方ではないのか、もし名刺を持っていないというのであれば、乗ってきた車のナンバーを控えること。とにかく屋根に絶対に上らせない。怖くて、もし契約を結んでしまったら、周りに相談してクーリングオフがすぐできるので、そういうふうに対処してもらえばいいと思う」
巧妙化する、屋根修理の詐欺。最近では、ドローンを導入した業者も多く、画像で一緒に確認しながら、今後の補修計画を立てることもできます。そういった最新の技術も活用しながら、まずは詐欺の手口を知っておくことも必要なのかもしれません。