祭りの山車が横転1人死亡18人けがした惨事「下りの態勢」をとらないまま下り坂に進入した可能性 静岡・伊豆の国市
3日伊豆の国市で祭りの山車が横転し、1人が死亡、18人が重軽傷を負った事故で、山車は本来とるべき態勢をとらないまま、下り坂へ進入したと見られています。
白鳥衛記者 伊豆の国市三福:
「事故発生から3日が経ちましたが今もこちらの下り坂には当時の痕跡が残されています。また下り坂の奥には亡くなった佐藤さんを悼み花が添えられています。」
3連休初日のお祭りで、痛ましい事故が起きてしまいました。
近くにいた男性
「高さ3mの山車が転倒して、人が落ちた」
先週金曜、伊豆の国市で行われていた祭りの最中に“山車”が横転。
19人が病院に搬送され、うち1人が死亡、5人が骨折などの重傷を負いました。
搬送された中には、小学校低学年の男の子もいましたが、軽傷だということです。
事故直前の現場
事故直前の映像 視聴者提供
当時現場では、4年ぶりに、伊豆の国市最大の秋祭りとされる廣瀬神社の例大祭が行われていました。
5つの地区から山車が練り歩き、事故を起こした山車は出発地点から、ゴール地点の廣瀬神社へと向かう途中でした。
事故直後の現場
これは事故“直後”の映像。
騒然とした雰囲気 「救急車!」の叫び声
横転した山車は人力で引いて動かすもので、上部は人が10人以上乗れる構造となっています。
亡くなったのは、伊豆の国市田京の男性72歳。
事故翌日、現場には花を手向ける知人の姿が。
亡くなった人の知人
「人柄のいいお宅だったし、男性も素晴らしい方でしたから惜しく思う。それ以上の言葉は見つからない」
山車にはブレーキがある
一体なぜ、今回の事故が起きてしまったのでしょうか。
白鳥衛記者
「横転事故のあった現場。現場は緩やかな下り坂になっていて、現在。奥の横転した山車の前で、警察が現場の状況を確認するなど捜査を進めている」
この下り坂を進んでいる最中に、山車が止まらなくなったとみられています。
ただ、万が一そうなった時のために、山車には「ブレーキ」がついていました。
伊豆の国市 交通指導員:
「本来(坂は)後ろにロープを引っ張って、徐々に下りていく」
通常、山車の前にブレーキがあり、坂道では後方の人間がロープを引っ張り、速度を調整するそうです。
横転した山車の写真にも、木の棒のようなものが見えます。
なぜ速度調整ができなかったのか
なぜ、速度調整ができなかったのでしょうか。
事故直前に通った“橋がポイント”だとする証言もあります。
事故の目撃者①
「普段なら道を上に曲がっていく。上のスペースでUターンして下って橋の向こう側を下る。ただ今回は橋を渡っていきなり左折し、坂を下りていこうとした。そこで一気に山車が下っていって5m先ぐらいで横転した」
本来なら橋で一旦止まり、縄をひっぱる“下り態勢”をつくるそうです。
しかし、事故の目撃者によると、
今回は橋でその態勢をつくらず、そのまま下り坂に進入したのではと話します。
事故の目撃者②
「川のところを左に曲がって、止まることなく坂道を下りていった。(4年ぶりの祭りで)うまく仕切りがいっていなかったのかなという感想」
警察は山車を警察署に運び、引き続き損傷の状況などを詳しく調べているほか、関係者から話を聞いて、業務上過失致死傷などの疑いも視野に調査を進めています。