袴田事件再審公判 検察側「弁護側のDNA鑑定に疑問」 弁護側は「信頼性を強調」 静岡地裁
いわゆる袴田事件の再審やり直し裁判が静岡地裁で開かれ、5点の衣類の血痕を巡るDNA鑑定の信用性に検察、弁護団がそれぞれの主張を展開しました。
袴田巌さんは1966年、旧清水市でみそ会社専務一家4人を殺害したなどとして死刑が確定しています。
24日の公判を前に取材に応じた袴田さんの姉ひで子さんは。
袴田ひで子さん(91):
「きょうで最後だと思っている私は。次は22日はおまけだろうと思っている。だから22日は最後までお付き合いするしかない」
死刑判決の大きな決め手となった5点の衣類の血痕を巡り、東京高裁は2018年、弁護側DNA鑑定の信用性に「深刻な疑問がある」として、静岡地裁が出した再審決定を一度取り消しました。
山﨑琢也記者:
「午前10時20分です。雨の降る中、支援者に見送られながらひで子さんと弁護団らが静岡地裁に入ります。きょうの裁判では弁護団が信用性を主張してきたDNA鑑定について検察の反論が行われます」
弁護団はこれまでの再審公判で「DNA鑑定は高い信頼性が担保されている」などと主張してきました。
しかし…
船引とわ記者:
「法廷では検察がみそ漬けにされたDNAを鑑定することは極めて困難と強調した上で、弁護側の鑑定は信用できないと改めて主張しました」
24日の公判で検察は大学教授らの意見書を示し「衣類に付いた血痕のDNAは長期間の高熱処理やみそしょうゆの発酵処理で分解が進む」と主張。
さらに「鑑定した教授自身のDNAが混在していることが疑われる」として鑑定は恣意的だと訴えました。
これに対し弁護団は「鑑定はDNAが混在する可能性が極めて低い環境で行われた」と信頼性を改めて強調しました。
結審前の再審公判を終えて袴田ひで子さんと弁護団が会見を開きました。
袴田ひで子さん(91):
「最後の裁判ということで終わってほっとしています。検察が何をおっしゃろうと巌は無実でございます。今は何にも言えなくて猫みたいなもんですけど。せめて人間らしく生きてほしいと思う」
小川秀世主任弁護人:
「有罪立証すること自体は彼ら(検察官)の仕事かもしれないが死刑の求刑をしていいのかと。それは今強く思っている」
一方検察は、「必要な証拠については提出し立証できたと考えている」とコメントしています。
次回は5月22日で被害者遺族が書面で提出した袴田さんへの処罰感情を検察官が読み上げ結審する予定です。