弁護団主張「血痕は袴田さんの物でも、真犯人の物ですらない」 袴田事件再審公判
「血痕は袴田さんの物でも真犯人の物ですらない」と弁護団は主張しました。
いわゆる袴田事件の再審やり直し裁判が静岡地裁で開かれ、5点の衣類に付いた血痕のDNA鑑定の信用性について審理が行われました。
和田佳代子記者:
「午前10時20分です。袴田巌さんの姉ひで子さんと弁護団らが静岡地裁に入ります。きょうは袴田巌さんの犯行着衣とされる『5点の衣類』に付いた血痕のDNA鑑定について審理が行われます」
袴田巌さんは1966年、旧清水市で、みそ会社専務一家4人を殺害したなどとして、死刑が確定しています。
最大の争点「5点の衣類」に付いた血痕について、東京高裁は2018年、弁護側DNA鑑定の信用性について「科学的原理などに深刻な疑問がある」として、静岡地裁の再審決定を取り消した経緯があります。
17日の公判を前に浜松市で取材に応じた袴田さんの姉ひで子さんは。
袴田ひで子さん(91):
「きょうはDNAの鑑定ということで私は、巌の血痕も被害者の血痕も出なかったと信用しているので安心している」
栗田麻理アナウンサー:
「裁判では弁護側が再審決定を導いたDNA鑑定の信頼性を主張し袴田巌さんの無罪を改めて訴えました」
17日の公判の中で弁護団は、当時推薦した筑波大学の本田克也教授のDNA鑑定を示して「着衣に付着した血痕は巌さんのものでも真犯人のものですらない」と主張。
さらに「鑑定で使われたキットは世界的に流通し、手法もマニュアル通りで信頼性が高い」と訴えました。
そして本田鑑定は「捜査機関によるねつ造などありえない」という偏見を打ち砕いたと強調。
これに対し検察は「本田鑑定は5点の衣類発見後に付いたDNAなどを調べた可能性がある」と反論。
さらに「血痕のDNAはみその分解酵素の影響で鑑定が困難になる」として本田鑑定は信用できないと述べました。
17日の再審公判を終えて、袴田ひで子さんと弁護団が会見を開きました。
袴田ひで子さん(91):
「きょうは角替弁護士と伊豆田弁護士の勝ち。検察庁の者が何か言った。難しいことばっかり言っていた。ちょっと分からなかった。笹森弁護士が理科の時間みたいだったって言ったけど全くその通り」
小川秀世主任弁護人:
「伊豆田さんと角替さんが本当に分かりやすく簡単に理解できるような形で説明していただいて本当に非常によかった。DNA鑑定についても我々としては非常に裁判所の判断を期待したい」
一方検察は「もともとDNA試料の保管方法や鑑定方法に問題があった」と繰り返し主張しています。
関係者によりますと、5月22日に予定されている公判で、被害者遺族が書面で提出した袴田さんへの処罰感情などを検察官が読み上げるということです。