七夕豪雨から50年 50年前に起きたことは今後も必ず起きる 教訓を語り継ぐ必要性 静岡市
七夕豪雨から今年で50年が経ちました。教訓を継ごうと、およそ20年ぶりに慰霊式を開いた静岡市の町内会があります。
山﨑琢也記者
「静岡市葵区の丸山町です。こちらでは50年前の七夕豪雨の土砂災害で亡くなった8名の方を悼む、慰霊式
が開かれています。」
静岡県内で44人が死亡、およそ8万棟が浸水被害を受けた1974年の七夕豪雨。
特に被害が大きかった今の静岡市では、24時間で観測史上最多の508ミリの雨量を記録。
27人の犠牲者が出ました。
静岡市葵区の丸山町では、賤機山の山肌が崩れて家屋13棟が倒壊。
8人の死者が出ました。
その丸山町で7日地元住民らによる慰霊式が開かれました。
参列者の中には、当時土砂災害の現場を見ていた人がいました。
自治会長の岡村紘さん(83)。
50年前のあの日の記憶を、今も鮮明に覚えているといいます。
岡村紘さん
「外でドンドン戸を叩く音がするんで出ていったら、ここの裏に住んでた方が『土砂が入ってきたもんだからうちへ居させてくれ』って。それでここへ来てみたんです。一階建てか二階建てかわからないんですけど、(家が)崩れてこの道路に屋根がだっと落ちてた。助けにとても入れないんで、それでどうしようかなと思っていたら二度目のひどいのがバーっと。それはもうすごかったですよ地鳴りがしてね。ここでも地面が揺れましたから」
河川の氾濫が注目される七夕豪雨ですが、静岡市で出た犠牲者27人のうち、実に21人が土砂災害によるものでした。
静岡大学 牛山素行教授は
土砂災害による被害は近年も後を経ちません。
去年6月には大雨による土砂崩れで、当時の浜松市北区で住宅が倒壊。
住民の35歳の男性が死亡しました。
一昨年9月にも台風15号による大雨で掛川市で土砂崩れが起き、45歳の男性が死亡しました。
豪雨災害などを研究する専門家は、どんな山でも土砂災害は起こりうると指摘します。
静岡大学 牛山素行教授
「うちの裏山は頑丈で崩れないんだ、昔からそう言われているということを聞くことがあるんですけど、残念ながらそれは迷信というしかないんですね。基本的に日本の山で、頑丈で崩れない山なんてないんですよ」
静岡県によりますと、県内では1万8千か所以上が土砂災害警戒区域に指定されていて、県や市町が砂防施設を整備するなど対策を講じています。
ただ、牛山教授は「砂防施設があれば土砂災害が起きないということではない」と指摘します。
牛山素行教授
「やっぱりまずはハザードマップですね。ここは危険性があるんだということをまずは把握して、そこから先どうするのかは私たち一人ひとりの事情で考えていくしかないんじゃないのかなと」
そして、七夕豪雨の記憶を伝える意義については。
牛山素行教授
「50年前に起きたことは今後も必ず起きる。そして被害が起きた時の姿っていうのは多分ほとんど同じような姿になるとおもうんですよね」
連合自治会長
「私の息子、いま50くらいになるんですが、全然知らないです。七夕豪雨って知らないよって。知らない人ばっかになっちゃった。命ある限りっていうかね。すこし下に(記憶を)つなげていく必要があろうかなと」
岡村紘さん
「当時経験した人も記憶が薄れてきて、若い方は全然覚えていませんので、これからも町内会としても続けていきたいと思っている」