裁判の主な争点は「責任能力」 浜松市で家族3人が殺害された事件の裁判 静岡地裁浜松支部
●男性被告(初公判):
「人を殺した自覚がないし、記憶もありません」
2022年3月、自宅で同居する祖父ら3人の頭部をハンマーなどで複数回殴り、殺害した罪に問われている男性被告(25)。10月の初公判で起訴内容を否認しています。
この裁判で争点となったのは、被告が患う精神障害。それは…。
裁判で明らかになった、被告の別人格。過去に家庭内で受けた虐待の身代わりとなった「亮くん」と弁護側が犯人だと主張する「ボウイ」という、2人の別人格が被告の中に存在するといいます。検察側も被告の別人格の存在は認めていて、裁判の主な争点は「責任能力」に。
検察側の被告人質問では…。
●被告(被告人質問):
検察「ボウイには人をコントロールしようとする特性がありましたか?」
被告「ありました。威圧的で命令的になる部分があって逆らえません」
検察「ボウイを自分が生み出したということは?
被告「僕自身の意志で生み出したという認識はありません。
4日、地裁浜松支部で開かれた裁判には、亡くなった被告の兄(当時26)の妻が証言台に立ちました。
◆被害者の妻:
「あの日から私と息子の時間は止まったままです。1日も忘れることはありません。被告人は別人格がいると言って許されて普通の生活をしていく。命の価値はなんなのか、3人もの命を身勝手に奪ったのだから、それに見合った罪を受け、償うべきです」
検察側は論告で、3人に連続して犯行に及んでいることから、「被告の主張する人格の入れ替わりはなかった」などと指摘。凶器を準備したことや血の付いた犯行着衣を洗い、証拠隠滅を図ったことも踏まえ、「完全責任能力を有している」として、無期懲役を求刑しました。
一方で、弁護側は「別人格のボウイによる犯行で、行動をコントロールできない状態だった」として無罪を主張。無罪となれば、被告を入院させて治療すると訴えました。
「責任能力」が争点となった、注目の裁判。判決は1月15日に言い渡されます。